博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

入院中に読んだ小説

2010年09月11日 | 小説
入院中に読んだ小説の感想を列挙しておきます。小説以外にも色々読みましたが、そちらはまた気が向いたらということで……

冲方丁『天地明察』(角川書店・2009年12月)

渋川春海による貞享暦の制定をめぐる歴史小説。正直、それほど騒ぐような作品とも思えないのですが、暦を変えるとは(主に政治的に)どういうことかを描いていたのが良かった。

チャンバラとか戦争のシーンとかは無いものの題材としてはドラマ化に向いていると思うので、再来年の清盛の次は是非とも本作を大河ドラマにしていただきたい。みんな大好きな保科正之とか、水戸黄門も出て来ますよw

荻原規子『薄紅天女』(徳間文庫・2010年8月)

荻原規子の勾玉三部作がいよいよ文庫化。本作はアマテラス・ツクヨミ・スサノオ神話をモチーフとした『空色勾玉』、ヤマトタケル神話の外伝的な『白鳥異伝』に続く第3部で、桓武朝の長岡京遷都や坂上田村麻呂による蝦夷討伐をモチーフにしています。

まとめて読み返してみると、第1部から2部・3部と進むに連れ話が面白くなっていくという不思議なシリーズです。主人公も話が進むにつれ女々しかったのが男らしくなっていきます。それと反比例してヒロインはどんどんどうでもいい存在になっていくのですが(^^;) 本作に至っては主役男2人が腐れたご婦人方が好みそうな関係に設定されている始末w

以下は友人からの差し入れ。

池波正太郎『スパイ武士道』(集英社文庫・1977年)

物凄いタイトルがついていますが、要するに隠密物。エラくベタな設定&展開で、読んでて何度も吹きそうになりました。『鬼平犯科帳』や『剣客商売』と同じ著者が書いたとはとても思えません(^^;)

伊藤計劃『メタルギアソリッド ガンズオブザパトリオット』(角川文庫・2010年3月)

同名ゲームのノベライズですが、著者は何と『虐殺器官』で話題となり、先頃亡くなられた伊藤計劃。長年のコナミというか小島ファンで、ノリノリのノベライズだったようです。この手のノベライズにありがちなラノベ臭さがなく、ちゃんと一個の小説になってます。

松智洋『パパのいうことを聞きなさい!』1~2(集英社スーパーダッシュ文庫)

意外と面白かった。正直書店のブックカバーなしでは読むのがとても恥ずかしいのですが、面白いからまあいいじゃないか(^^;) ただ、途中からいきなり説明もなしに物語の語り手が変わるなど、技術面でこの人小説家としてどうなの?という要素が時々目に付くのですが、ラノベ作家なんてみんなこんなもんなんでしょうか……
コメント
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