博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

入院前後に読んだ本

2010年09月18日 | 中国学書籍
入院前後に読んだ本シリーズ第3弾です。

大島正二『唐代の人は漢詩をどう詠んだか ―中国音韻学への誘い』(岩波書店、2009年6月)

タイトルの「唐代の人は漢詩をどう詠んだか」は、実は単なる話の枕で、実質は中国音韻学の入門書、それも世界一分かりやすい入門書です。しかしその話の枕のために、YouTubeに本文で取り上げた唐詩の唐代長安音(推定)と現代北京音の音読をアップしているのはとても偉いと思います。(YouTube「大島正二」)あとがきで「本文で取り上げた漢詩の音読をYouTubeでアップする予定」云々という記述を見た時は目を疑いましたよ(^^;)

関川夏央『おじさんはなぜ時代小説が好きか』(集英社文庫、2010年7月)

要するに「おじさん」が時代小説をどう読んできたか、時代小説にどんなファンタジーを託していたかというお話。かつては時代小説やその背景となっていた清水次郎長などの物語が基本教養となっていたが、今はそんなもんは消滅してしまったよねえなんて書いてますが、時代小説がジャンプ漫画やらドラクエやらガンダムやら『三国志』やらと入れ替わっただけで、基本教養は厳然として存在するのですとツッコミたい……

笈川博一『物語エルサレムの歴史 旧約聖書以前からパレスチナ和平まで』(中公新書、2010年7月)

ある程度予想していたとはいえ、知ってる話が陳列されてるなあと思ってたら……本書の本当の読み所は終盤の現代史の部分でした。長年現地に居住していた著者による生々しい体験談が随所に挿入されてます。
コメント (2)
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