博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『物語 近現代ギリシャの歴史』

2012年03月17日 | 世界史書籍
村田奈々子『物語 近現代ギリシャの歴史』(中公新書、2012年2月)

19世紀のギリシア独立戦争から21世紀の経済危機まで、近現代のギリシャ史をまとめた本ですが、「どうしてこうなったorz」と言いたくなる話ばかりで読み進めるのが辛いです(^^;)

どうしてこうなった その1
独立後、共和制ではなく君主制を選択したことで、他国から国王を迎えることになりましたが、バイエルン王室から迎えられた初代国王オトンはクーデタで国を追われ、ついでデンマーク王室から迎えられた2代目のゲオルギオス1世は暗殺されるという憂き目に遭い、以後も国を追われる国王が続出し、最終的に1974年に君主制が廃止されることに。初代ギリシャ国王の座を寸手の所で辞退してベルギー国王となったレオポルドが超絶な勝ち組に見えてきます……

どうしてこうなった その2
近現代のギリシャでは民衆の口語であるディモティキと、文章語として継承されてきた古代ギリシャ語を口語と折衷させたカサレヴサという二つのギリシャ語が通行し、どちらが正しいあるべきギリシャ語であるか、どちらをギリシャの公用語とすべきであるかをめぐって国民が二つに切り裂かれた。これと比較すると、中国近代の白話運動なんかかわいいものに見えてきますなあ……

どうしてこうなった その3
1910年代から30年代にかけてギリシャの政治を牛耳ったヴェニゼロス。しかし彼の台頭により、ギリシャはヴェニゼロス派は反ヴェニゼロス派に二分され、国家の分裂をもたらした。これと比較すると、橋下派と反橋下派が対立する今の大阪の状況など(以下ry

どうしてこうなった その4
ナチス・ドイツによる占領を脱したのも束の間、今度は共産主義勢力に対する白色テロが横行し、ギリシャ人同士が殺し合うという「兄弟殺し」の状態に。やはりどうしてこうなったとしか……

おまけ
本国では食えないのでアメリカに移住してみたら、アメリカ人から「お前ら本当に古代ギリシャ人の子孫なのかよ?とてもそうは見えないぜw m9(^Д^)プギャー」と、あからさまに侮蔑されるギリシャ人。もうやめて、ギリシャ人のライフはゼロよっ!
コメント (2)
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