博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』(原題『楊門女将之軍令如山』)

2012年03月20日 | 映画
『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』(原題『楊門女将之軍令如山』)の中文DVDを見てみたわけですが、まずは↓の日本語版予告編をご覧あれ。



これだけ見ると「どんなトンデモ映画w」ということになりますが、実際のストーリーは……時は北宋。西夏遠征に出ていた楊家将の第3代当主楊宗保が戦死したという知らせが伝わり、悲嘆に暮れる天波府。しかしそこへ楊家唯一の男子となった楊宗保の子楊文広にただちに出征せよという非情な勅命が。実はこれは楊家の男を根絶やしにしようとする朝廷の奸臣たちによる陰謀であった!楊文広を守るため、楊家の実質上の主である佘太君、文広の祖母六娘柴郡主、そして文広の母で山賊出身の穆桂英ら楊門女将もともに出征することになり……

ということで、実体はごくありふれた中華アクション映画というか、『楊家将』映画です。本当の敵は西夏軍などではなく味方であるはずの朝廷の奸臣だったり、忠君愛国?なにそれ、おいしいの?という展開になる所までしっかり『楊家将』してます。中国ドラマの『楊家将伝記』(原題『少年楊家将』)など、近年の『楊家将』映像作品が忠君愛国の尊さを訴えているように見せかけて、実は忠君愛国のバカらしさをさらけ出すという原典のテーマをスルーする傾向にある中、本作では一応そのテーマに触れているあたり、評価すらできるぐらいです。

しかも「天門陣」とか「降龍木」、「太祖皇帝が柴氏皇族に授けた免死鉄券」(楊文広の祖母六娘は宋に禅譲した後周の皇室出身で、太祖の義妹として宋の皇室に準じた待遇を受けている)など、観客が『楊家将』の物語を大体知っているということを前提にした用語が何の説明もなく出て来るのですが、日本語字幕ではこれらがどう処理されてるのか不安でたまりません(^^;)

……まあ、この作品が色々とネタ要素に満ちているという点は否定しませんけど。でもこんなんで「史上最強のトンデモ映画」ということになるのなら、同じくセシリア・チャンが出演していた『PROMISE』は人類史上に残る世界遺産レベルのトンデモ映画とかいうことになるのでしょうかw
コメント (4)
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