博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『水滸伝と日本人』

2006年11月16日 | 中国学書籍
高島俊男『水滸伝と日本人』(ちくま文庫、2006年11月)

江戸時代以降の日本人が『水滸伝』をどんな風に読んできたかを追った本ですが、『水滸伝』だけでなく『三言』など他の小説についての言及もあり、日本での中国白話小説の受容史にもなっています。

17世紀から18世紀にかけて知識人の間で唐話(当時の中国語口語)学習熱が高まり、『水滸伝』がそのテキストとして用いられたとか、幕末から明治の初めにかけての時期が『水滸伝』(だけでなく白話小説全体)があまり顧みられなくなった空白期であるとか、興味深い指摘が多いです。

あと、『水滸伝』の翻訳者である吉川幸次郎と駒田信二との間で確執があったことなど、『水滸伝』に関わった人々のゴシップも多く盛り込まれており、その点も本書の魅力のひとつです(^^;)
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2006年11月14日 | 雑記
本日からgooブログで広告が表示されるようになりました。

ブログの内容に関係があるものが表示されるのかと思いきや、まるで脈絡の無いものばかりですなあ(^^;) 表示も少しずれてますし…… 

あと、ウイルスバスターを使用している場合、この広告に反応して警告メッセージが出るという不具合も発生しているようです。この広告は表示/非表示を随時切り替えられるということなので、しばらく様子を見て支障があるようなら非表示にしたいと思います。
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『大漢風』第6話

2006年11月12日 | ドラマ『大漢風』
前回の続きで、劉邦が母親を見殺しにした呂雉を斬り殺そうとする場面から始まりますが、父親の劉太公が取りなしてその場は何とか収まりました。しかしその後、劉邦が久しぶりに愛人の曹姫の所に立ち寄るのを呂雉の妹の呂須に見られてしまい、呂姉妹が曹姫のもとに怒鳴り込んでくることに…… 

ここで曹姫について説明をしておきますと、彼女は酒場の若女将で、旗揚げ前の劉邦一味にいつもタダで飲み食いさせていました。彼女は劉邦との間に劉肥という男の子もいるのですが、正式な結婚をしておりません。第2話あたりで劉邦が彼女から大金を借りて、それをたまたま出会った虞美人と結婚するための結納金に使おうとしたことから喧嘩になり、何となく彼女と疎遠になってしまったまま劉邦が呂雉と結婚したという次第。

さて、怒鳴り込んできた呂雉は曹姫を罵って平手打ちをくらわしますが、曹姫の方も「何よ、あんたなんか劉邦との間に子供もいないくせに!」と負けず劣らずやり返します。ここで初めて曹姫と劉邦との間に既に大きな子供がおり、二人の関係がかなり以前からのものであることを知って愕然とする呂雉。

結局劉邦は曹姫と別れることを承服せず、しかも呂雉に曹姫母子に手出ししたらお前を殺すと脅しつける始末…… この女の争い、最後はどう決着がつくんでしょうか。(まあ、最終的に呂雉が勝つことになるんでしょうけど……)
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始皇帝と彩色兵馬俑展

2006年11月12日 | 旅行・オフ会・展覧会
やっとこさ京都文化博物館で開催の「始皇帝と彩色兵馬俑展」を見に行って来ました。

青銅の鶴、石の鎧、力士俑、そして今回の目玉である跪射俑など、兵馬俑坑や始皇帝陵陪葬坑からの出土品は大体2年前の「中国国宝展」や「大兵馬俑展」で見たものが多いかなあと思いきや、宣和堂さんのブログによると、同じ種類のものでも違う俑などを持って来ているようです。図録を見比べてみると確かに違いますね。跪射俑も「大兵馬俑展」の時のものよりだいぶ彩色が残っています。また頭から胸の部分がいい具合に割れてしまって中の構造が覗き込める兵士俑なんかもありました。

その他、前漢の兵馬俑や皇后の玉璽(呂后のものとされているとのこと)、平安時代の『史記』の抄本、同じく日本の慶長年間の『史記』古活字本、『史記』太史公自序を漢隷で筆写した竹簡のレプリカなどが展示されていました。竹簡のレプリカなんかは、わざわざこんなもんを作って展示せんでもええやんと思いましたが……

前漢の俑の中には裸体の状態の宦官俑なるものもあり、他の男性の俑と比べて生殖器が小さく表されているとのこと。そんな所までこだわって作っていたとは、感心して良いのやら悪いのやら……と思いきや、男性器をかたどった青銅器なんてものもありました。しかし何で今回の展示に限ってシモを意識させるものが多いんでしょうか(^^;) 

で、もう一つの目玉の大型スクリーンでの兵馬俑坑の再現映像ですが、これはまあこんなもんかなという感じです。寧ろこの映像がDVDで販売されているという点を評価すべきだと思います。展覧会用に制作した映像作品をその場で販売するという試みは今後も続けて欲しいと思うのですが、しかし20分足らずの映像で1800円というのはちと高いですね…… 制作費が相当かかっているんでしょうけど、出来れば1000円前後の値段に抑えて欲しかったところです。
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『アラビア遊牧民』

2006年11月11日 | 世界史書籍
本多勝一『アラビア遊牧民』(朝日文庫、1981年)

『極限の民族』シリーズの最終作です。

今回は遊牧を生業とするベドウィンのある部族に入り込みます。著者は当初は彼らから手厚い歓待を受け、また宴会の席次を互いに譲り合う姿を見てベドウィンを親切で慎み深い人々だと感心しますが、次第に何だかんだと理由をつけて大金をせびってきたり、また金をふんだくるために平気で嘘をついたり、ミスを犯しても絶対にそれを認めず、逆に相手に責任をなすりつけたりといった、略奪に罪悪感を感じない文化の中で生きてきた彼らの本当の(?)姿を目の当たりにすることになります。

そして著者はアラビアでの体験によって、自分がミスを犯した時にすぐに誤ることが美徳とされるのは日本人や、著者がかつて出会ったカナダ・エスキモーやニューギニアのモニ族などごくごく少数の民族に限られ、世界的にはベドウィン(あるいは彼らを含めたアラブ人)のような考え方や態度を取る民族の方が多数派であることに気付きます。

著者はその理由を、日本人やモニ族などが異民族との接触によって侵略などの悲惨な体験にあまり遭っていないしていないからだろうとしていますが、この辺りは議論の余地がありそうです。

ただ、最近は日本でもベドウィン式の考え方や行動がだんだん広まってきているようですが、これは日本人の感性が国際標準に近づきつつあると喜ぶべきことなのでしょうかか、それとも嘆くべきことなのでしょうか……
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『封神榜』その2

2006年11月11日 | 中国古典小説ドラマ
『封神榜』第9~16話まで見ました。

このパートは西伯侯姫昌(周の文王)が羑里に囚われてから七年後に釈放されるまでの顛末と、哪吒(なた)の出生に関するエピソードが中心です。

我らが姜子牙は紂王を痛罵した罪でお尋ね者の身となり、朝歌から逃亡して西岐へと向かいますが、妲己の口利きで殷の国師となった申公豹がストーカーの如く彼を付け回し、彼の宿泊した旅籠に客が寄り付かないようにし向けたり、姜子牙の西岐への仕官を邪魔したりと、ショボい嫌がらせを繰り返します(^^;)

仕方がないので姜子牙は西岐の地でしばらく身を潜めることにしますが、その間に陳塘関の総兵・李靖の三番目の男の子として哪吒が生まれます。このドラマではどういうわけかナタの母が黄飛虎の妹ということになっていますが……

哪吒は陳塘関で暮らしている頃は子役が演じ、太乙真人によって蓮の化身として生まれ変わってからは冼色麗という女優さんが演じています。この辺は賛否両論あると思いますが、ボーイッシュな雰囲気であんまり違和感がないですし、男優が演じるとムサくなるのは免れないので、これはこれでいいと思います(^^;) ちなみにこちら哪吒役の女優さんの画像。一緒に写っているのは子役の方です。

こうして七年が過ぎ、伯邑考が父の釈放を願い出に朝歌に赴きますが、申公豹と妲己に陥れられ、処刑されてしまうことに…… このドラマでは伯邑考と妲己が婚約者だったという設定になっているので、このエピソードも原典とは多少趣が異なっております。息子の犠牲によって一度は姫昌の帰国が許されますが、妲己の差し金で帰国を阻むべく追っ手が遣わされ……
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『グリム童話の世界』

2006年11月09日 | 世界史書籍
高橋義人『グリム童話の世界』(岩波新書、2006年10月)

『シンデレラ』や『白雪姫』といった日本でもお馴染みのメルヘンの世界観を探っていくと、一見キリスト教的な価値観でもって語られているように見えても、実はキリスト教がヨーロッパで広まる以前の神話や民俗が反映されていることがわかる。そういった主旨の本です。

例えば『蛙の王子様』と日本の昔話の『鶴の恩返し』を比較して、日本人が人間と動物との間の距離が非常に近く、動物の方が人間より尊いと見るのに対し、キリスト教的な価値観ではあくまでも動物は人間より劣った卑しい存在であり、人間と動物との間には断絶があると見ているが、かつてはヨーロッパ人も日本人と同じような自然や動物に対して同じような感性を持っていたのではないかと論じています。

ただ、この本の著者がやたらと「メルヘンの本質」とか「メルヘンの法則」、「メルヘンらしくない」といった言葉を使うのが気になりました。ペローの童話集は民衆が語り継いできたメルヘンを現実化・世俗化したものに書き換えたが、これはメルヘンの本質を損なうものであるとか、グリムの童話集はメルヘンをより神話化させ、よりメルヘンの本質に沿ったものに修正したといったような表現がしばしば出て来るのですが、そもそも著者のいう「メルヘンの本質」なるものが本当に妥当なものなんでしょうか。民衆の間で語り継がれていたメルヘンはペロー童話の世族性とグリム童話の神話性の丁度真ん中の性質を持っていたのではないかという気がするのですが……
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『封神榜』その1

2006年11月06日 | 中国古典小説ドラマ
『封神榜』第1~8話まで見ました。

最新のCG技術により『封神演義』を映像化!というのに惹かれてDVDを購入してしまいました。序盤の冀州侯蘇護と北伯侯崇侯虎との戦いでの、武将が乗る霊獣や仙術を使うシーンなどはそれなりに見栄えがしてます。(無論、『ロードオブザリング』や『ナルニア』並みとまではいきませんが……)

このパートでは蘇護の反乱から妲己の入内、そして姜子牙が殷に仕官して妲己を懲らしめようとするあたりまでを扱っていますが、(原典のあらすじはサイト本館の方をご覧下さい。)伯邑考が妲己の許婚で姫発(後の武王)とも親しい間柄という設定になっていたり、申公豹が妲己のボスになっていたりと、細かい所がアレンジされていますね。

配役は紂王役の馬景涛が、ワイルドで自分に自信がありすぎる暴君という役柄をうまく演じていると思います。チョイ役でなぜか唐国強(元始天尊)や午馬(商容)も登場します。しかし妲己役の范冰冰(ファン・ビンビン)は着物の肩出しルックが似合いますなあ(^^;) 清純な役所だったはずの『PRIDE 小魚児与花無欠』でもそんな格好をさせられてましたが……

あと、おまけで紂王の墓とか鹿台、牧野古戦場跡など『封神』ゆかりの場所を探訪する映像も付いてます。
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『大漢風』第5話

2006年11月05日 | ドラマ『大漢風』
今週はいよいよ陳勝・呉広の乱が勃発し、劉邦一味や項梁の一党も蜂起を決意するといったあたりの話です。

沛県県令と連携して蜂起するということで劉邦一味が逃亡先から戻って来たところ、県令側が恐れをなして劉邦一味を逆賊として討伐しようとし、また兵隊を派遣して彼の家族を捕らえようとします。

蕭何が事前に劉邦の父母や呂雉、兄嫁らを馬車に乗せて逃がそうとしますが、劉媼(劉邦の母)がグズグズしている間に兵隊がやって来て、彼女だけが乗り遅れてしまいます。劉媼は何とか馬車から垂れたロープをつかんで乗り込もうとしますが、そこで呂雉はなぜか手に持っていた手斧でロープを断ち切ってしまいます。馬車から振り下ろされた劉媼は兵隊に囲まれて滅多斬りです。

(((;゜Д゜))))ガクガクプルプル  今まで散々姑にいじめられてきたとはいえ、その仕打ちはあんまりです。

その後劉邦一味は城内の民衆と呼応して県令を打ち破り、沛公となりますが、呂雉のせいで母が死んだと知るや怒りのあまり彼女を斬り殺そうとし、ここで今週は幕引きです。うーん、次回も目が離せません(^^;)
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『中原の虹』第二巻

2006年11月04日 | 小説
浅田次郎『中原の虹』第二巻(講談社、2006年11月)

今巻は張作霖一味の出番は抑え気味で、春児・西太后・光緒帝・蘭琴ら前作以来のキャラクターによる展開がメインです。幼な子の溥儀も初めて登場します。しかし西太后と溥儀の対面はえらく美化されてますなあ(^^;)

今巻のラストで光緒帝と西太后の死が描かれたわけですが、最終的にこの物語ではどの時代まで描かれるんでしょうか。最初は張作霖爆殺事件までかなあと思いましたが、このペースだと辛亥革命かせいぜい袁世凱の死あたりで話が終わっちゃうんじゃないかなあという気がしてきました。まあ、途中で一気に北伐の前あたりまで話が飛ぶ可能性もあるわけですが…… 
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