yabanjin-soulのTシャツ魂

ロック魂を手描きで表現するyabanjin-soulのたわごと・ひとりごと

映画「シャッター・アイランド」

2012年03月05日 | 映画

Photo_2 マーティン・スコセッシ監督作品の映画、

「シャッター・アイランド」のDVDをレンタルして観た。

主役がレオナルド・ディカプリオだし、

現実なのか夢なのか妄想なのか区別しづらい構成になっていたので

どうしても以前観た「インセプション」という映画とかぶってしまう。

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《ココから先はネタバレも含まれますよ》

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まず、捜査を依頼されて施設に乗り込んできたFBI捜査官の主人公がだんだんと妻やユダヤ人収容所の幻覚を見はじめることから、何かおかしいと観客に暗示させており、

観ているこちら側も何が現実で、何が幻覚なのか、

一体この施設内で何が起こっているのかを気にしながらの観賞となってしまう。

それはそれでかまわないんだが

結局のところ、すべてが治療のために収容された主人公を治療するために

主人公の妄想に付き合って病院のすべての職員が芝居をしていた、というオチには

正直なところちょっとがっかりしたかな。

最後の最後に

いつまでも妄想のループを続ける主人公が

最後のこの治療は上手くいったらしく、現実に戻ることができたんだが

彼にとってみると、その現実は受け入れがたく、

病気が治っていないことをアピールし「モンスターとして生きるか、良いヒトとして死ぬか」の選択をして良いヒトとして死ぬことを選んだことで

監督の主張がなんとなくわかった気がした。

第二次世界大戦での大量虐殺も

その報復であるドイツ将校に対する銃殺刑も

妻の3人の子殺しも

その妻を殺してしまう自分自身も

精神科医が治療と称し、薬漬けもしくは脳外科手術をして患者を廃人同然にしてしまうのも

すべてはみなヒトに対する「暴力」であり

実は何も変わらないんじゃないか、

見方を変えれば「正義」、だが一歩間違えると単なる「暴力」なんじゃないか。

監督はそう投げかけてる映画のように感じた。

が、

一緒にみてた息子はそう受け取らず

「病院側の洗脳が結局成功して主人公の手術を行い、病院内の悪事は表に出てこなかったという映画なんじゃないか」と強く主張するではないか。

そう言うので改めて映画を見直すと・・・

うん、確かにそう解釈しようと思えばできる。

だけど、この監督さんは以前「タクシードライバー」でも同じようなテーマの映画も撮ってたし、

第一に息子の主張するような病院側の陰謀説を裏付けるエンディングが結局表現されてないからね。

んで、もしそういう映画だったら

そんな映画誰も観ないでしょう、基本的に。

だって気分悪いモンね、悪いモンが結局勝っちゃうなんていうお話。

現実には「ごね得」とか「ずるしたモン勝ち」とかよくある話なんだから

それをわざわざ映画で追体験しようなんて誰も思わないよね。

まあ、しかし

そうやって自分の解釈を自分なりに主張できるなんてすごいもんだなあ、成長したなあ

と感心してたら、なおすごいことを言ってのけた。

「それなら、最初に『モンスターとして生きるか、良いヒトとして死ぬか・・・』のシーンを入れて始めてくれれば良かったのに・・・」

たしかにそうだ!!

そういう主観としての「正義」と「暴力」のハザマの危うさをテーマにするんだったら

変な謎解きのお話なんかにせずに

だんだん「モンスターとして・・・」というくだりに向かうまでの

主人公の苦悩や葛藤をメインに表現した方が良かった気がするよ。

そのセリフを言ったシーンからロボトミー手術(頭蓋骨に穴を開け、前頭葉をかき回して廃人同様にさせる手術)を受けるために手術台に上がり、目を閉じ、

そうしてから最初のフェリーのシーンになれば

最後に、この最初に挿入したシーンの意味もわかり

主人公が自らの苦悩からの解放のために手術を受ける決心をしたことも理解できるし、

そこまでの苦悩を引き起こさせた「暴力」=「トラウマ」のすさまじさ、も訴えることができるんじゃないかと思った。

いや~、我が息子ながらいいアイデアも言うようになってきたね。

しかし、そういった意味ではこの映画は映画的にはイマイチだったのかなという気がする。

もっとストンと理解できるような作りにしないとだめなんじゃないか?

難解すぎるのもね・・・、こうやって家族といろいろ話ができるからそれはそれでいいんだけど・・・。

どうしてもね、話がもっと複雑で込み入ってたのに

すごくストンと理解できた「インセプション」と比べて

「ちょっと落ちるな」という感想をぬぐえない。

素材としては優れものだっただけに惜しい映画だった・・・。

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コメント (2)
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