木質バイオマス。
「バイオマス」のバイオは生物資源、マスは量という意味で、化石燃料を除く、再生可能な生物由来の資源を指します。
そのうち、木材からなるバイオマスを「木質バイオマス」といいます。
木質バイオマスの種類(?)は、立木の伐採・造材の時に発生する枝、葉など、製材工場等から発生する樹皮・のこ屑など、建物の解体材、街路樹の剪定枝などがあります。(”などなど”を連発して使うって、日本語として正しいのかわかりませんが・・・)
近年、環境という観点から「自然エネルギー利用」、産業という観点から「未利用木材の有効活用による林業経営の改善」ということで、木質バイオマスの利用が注目されています。
とは言え、昔から木質バイオマスの利用は課題になっていました。
10年くらい前から、今より規模は小さいものの発電や熱利用を行っている施設や自治体もいますし、実際、そういう法律もありました。
平成24年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度」が始まりましたが、平成14年6月に「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」、通称「RPS法」というものが公布されています。
この法律は、「電気事業者に対して、一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付けることにより、新エネルギー等の利用を推進していくもの」でしたが、FIT制度開始に伴って、廃止されました。
このままいくと、とても難しい話になりそう・・・
要は、「利用されていない木・枝・葉やただ廃棄・焼却される木材を有効的に利用し、環境に配慮したエネルギー利用を進めましょう」ということ
前置きが長くなりましたが、ここで、今回のタイトルの「広葉樹資源」の話に。
広葉樹資源こそ「未利用資源」の代表格ではないか・・・と個人的に考えています。
一言に広葉樹資源といっても、薪や炭(薪炭材)、シイタケ原木、枕木、下駄、工芸品、家具、床や天井板(内装材)など色々です。
建物の柱や土台、梁、桁といった構造材の利用は、スギやヒノキなど針葉樹がメインなので、それらと比べると、地味なものが多いです。
もちろん、ケヤキやクリなど構造材に使われる広葉樹もあります
サクラは床材(フローリング)、トチノキは家具材(テーブルなど)としても有名ですし
カゴノキは、木質が硬くて滑らかなので「引き戸の戸車(コロコロ)」に。
もちろんカゴノキ以外でも戸車に使っていた木はありますが、カゴノキが一級品だったそうです。
(この模様がシカの子供の模様に似ているので、鹿の子「かご」の木)
キリはタンス。「桐箪笥」は一級品ですね。
昔、娘が生まれたら、桐の木を植えて、娘が嫁ぐときに、それでタンスを作って、嫁入り道具として持たせたそうです。
あと、下駄。
クリは、耐朽性が高く、腐りにくいことから、湿気の多い「土台」、雨水にあたる「枕木」に使われていました。
なので、昔は、かなりのクリが伐採されました
クリは、縄文時代から食用だけでなく、器具材として使われていましたし。
ホオノキは、材質が刃物の刃当たりが良いことから、まな板や刀の鞘に使われていました
あと、ピアノの鍵盤
アオダモはバット
まだまだ地味な用途あります。
ヤマグルマやタラヨウの樹皮は鳥餅、タブノキの樹皮は線香を固める粉として使われました。
(タラヨウ。葉の裏に字が書ける。郵便局のシンボルツリー。葉書の由来はこの木から。)
(タブノキ。新芽の形が特徴的。)
地味だからこそ、一級品としての価値が隠されているような気がします。
ただし、マニアというか、こだわりの強い人がどんどん増えない限り、広葉樹資源の地味な用途を進めていくことは非常に難しいと思います。
加えて、需要と供給のバランスを維持していくことは、スギやヒノキ以上に難しい・・・。
ちなみに僕が生活に取り入れたい広葉樹資源
桐たんす、ホオノキのまな板、マイホームの土台はクリ、トチノキの1枚板のテーブル、ケヤキの1枚板のテーブル、ブナのフローリング、ホオノキで鉈の鞘、ミズメやケヤキ、トチノキの食器。
実際、生活に取り入れているものもありますが
自然なものだから、自然と大切に使います
あと、ここぞという時に使ったりしています。
何より、高かったので、自ずと大切に使ってしまいますね
あれもこれも、広葉樹で・・・って考えていると、「自己満足の世界」だな~って感じます。(実際そうですけど・・・)
広葉樹に、こだわりのある人たちが集まって、語り合うと、面白そう
〈つづく〉