知人のFCに懐かしい名前が出てたので、つい書き込みをしてしまった(汗
「ガーラード 301」 、英国BBCお墨付きのプロユースのターンテーブル。
今から30年ほど前になるが、行きつけのオーディオショップの試聴室にあったソレに魅了されて無理言って入手した。
通常の 「301」 は白色の塗装仕上げだが、ハンマートーンと呼ばれる特殊仕上げのものがある。
文字通り、金属地をハンマーで叩き付けたような荒々しい仕上げとなっている。
元々数が作られなかったらしく、恐らく現存する好程度なものは少ないと思われる。
聴き比べると、同じ301の型番でも白よりハンマートーンの方が豊かで緻密な音が奏でられる。
原因は判らないが、別物と言えるほどの違いに驚いたっけ(普通の301も良かったが)。
希少価値もあり、当時の白301が15万程度で入手できた頃に3倍近い値段になっていた。
この 301ハンマートーン に中古のアームをリビルドしたものを付けてもらい、貧乏サラリーマンとしては精いっぱいの買い物に。
針はオルトフォンの SPU(定番かな)を選んだ。
ジャズも聞いてたので、普通のSPUではなく、四角いケースのSPU-Aです。
この組み合わせは至福の時間を与えてくれた。
スピーカーにハイスピードな アルテック A7(アルニコモデル)を使ってたので、ビル・エヴァンスとかかけると鳥肌が立つようだったw
ガーラード 301 ハンマートーン は手が掛かる。
軸にオイルベアリングを用いてるため、マメな「オイル交換」 を必要とする。
既にオリジナルの交換油は作られておらず、オーナー達は各自工夫してると聞いた。
サラッとした非鉱物系のオイルが必要との事だったので、私は半年に1度バラして 植物性のサラダ油を用いた。
これを怠るとオイルが酸化し、貴重なベアリングを痛めてしまう。
そんな手間暇がうっとおしくなってきたある日、「マイクロが記念限定モデルを出すけど買う?」ってショップから悪魔のささやきが…。
メンテナンスフリーで、ガーラード301よりも良くなる(と思ってた)ならと、BL-999S(ステンレス)を買ったのが負の連鎖の始まりだった。
マイクロ BL-999S は25kg(だっけかな)以上あるターンテーブルで、電源を入れて33rpmに到達するまで1分近く掛かるという代物。
重過ぎて駆動ベルトが加速するのに滑りまくる。
「質量の大きなターンテーブルなら良い音がするだろう」 という幻想は呆気なく打ち砕かれた。
線が細く、冷たい音色しか出ない。
原因が判らず、針を交換したり線材を変えたりし、気づけば給料がほとんどターンテーブルに費やされてた(汗。
維持費も音色も情報量も 「ガーラード 301 ハンマートーン」 に遠く及ばず、段々とレコード熱が冷め始める。
更に、重過ぎるターンテーブルが、只でさえ重量のある管球式アンプと重なり、床が傾き出してるのに気づき唖然。
「このままだとマジで床が抜ける!?」
時代はLPからCDと、デジタルへの過渡期。
両方維持は困難と腹を括り、ターンテーブル一式を手放してレコード歴を終えた。
それまでの膨大な資産(クラッシックやジャズのLP)は高校の恩師に引き取ってもらった。
主に秋葉の石丸電気で輸入盤を買ってたから、CDで復刻されるものは少ない。
結局、手元には今も愛着の薄いCDが少し残っただけ。
床が抜ける前に手放せてよかったが、ガーラード301でピリオドを打っていたら今でもLPを聞いていたかもしれないなぁ、懐かしい…