11月6日(月)の朝方は日差しが届きましたが、段々と雲が優勢になり夜には雨が降り出しました。
今年度の生坂農業未来創りプロジェクト会議の視察研修1日目は、委員各位と私と事務局の12名の参加により、朝8時頃生坂村を出発し、石川県輪島市三井町の「里山まるごとホテル」を視察研修しました。
輪島市までは5時間以上もバスに乗車し、午後2時30分から予定通りに研修が始まりました。
最初に私から生坂村の紹介や東京農業大学の先輩であることなどの視察対応のお願いの挨拶をさせていただきました。
そして、「株式会社百笑の暮らし」の代表取締役の山本亮さんは、東京都のご出身で、ご両親が隣の池田町に9年前に移住されているとのことで、最初から親近感を感じていただきながら、「里山まるごとホテル」の取り組みなどを話し始めてくれました。
三井町は、薪炭や木材の供給地として栄えましたが、今は日本で初めて世界農業遺産に選ばれた能登半島の典型的な里山地域で、観光地ではないですが、美しい里山に惹かれて輪島市内の中では移住者が多い地域とのことでした。
里山まるごとホテルは、地域を一つのホテルに見立てて里山の暮らしをまるごと楽しめる場所を提供し、里山時間と里山の恵みで月に一回お腹も心も満たされるお店になるように取り組まれていました。
夕食は、宿泊者向けに予約制で、ばぁばの手づくりの天ぷらや山菜などの地元の食材を活かしたものであり、朝食はキッチン付きのお部屋で、コンロでご飯を炊くなどの簡単な調理を楽しめる体験型でした。
宿泊者向けに野菜の収穫体験付きで里山の暮らしをつなぐ「里山散歩」を毎日開催し、7割ほどのお客さんが利用されているとのことで、後はサイクリングやオリジナル和紙づくり、餅つき体験、味噌づくり体験、釜戸でのご飯炊き体験、ばぁばによる料理教室などを体験できるとののことでした。
山本社長は、東京農業大学のゼミ合宿で初めて輪島市三井町を訪れ、この時の美しい農村風景や、里山とともにある暮らしの豊かさに惚れ込み、この暮らしを自分自身が受け継ぎたいと思うようになったとのことでした。
そして、平成26年に三井町へ移住し、地域おこし協力隊として「能登輪島米物語」をプロデュース、「みい里山百笑の会」の立ち上げに携わり、協力隊終了後は、自身が惚れた里山の暮らしを訪れた人により楽しんでもらいたい、住んでいる人がより楽しく笑顔で暮らせるようにしていきたいと、茅葺庵(かやぶきあん)を中心とした里山まるごとホテルを構想して、地域の人たちと一緒に夢を実現しました。
農泊の推進体制については、「株式会社百笑の暮らし」が中核法人となり、地域住民から農産物の仕入れやスタッフとして雇用し、福祉施設とは、お散歩ツアーのガイドや宿の清掃の委託をされているなど、地域住民と里山での暮らしを楽しみながら、次代に引き継いでいく取り組みを行っていました。
茅葺庵お食事や「里山散歩」から「里山ディナー」の流れなど、お客さんからの評価が高く、茅葺庵の経営を引き継いでから来客数は約5倍になり、コロナ禍の影響で集客に苦戦をしながら少しずつ宿泊者を伸ばしてきました。
しかし、開業から5年目を終え、経常利益は黒字になってきましたが、商売的にはまだまだとのことで、暮らしの中に残っている地域ならではの文化を活かし、昔の暮らしにあったものを復活させるなどで、お客さんの満足度をアップさせ、訪れた方との1回だけの関係ではなく、継続的な関係を結ぶことで「里山の暮らしを楽しむ仲間」を増やしていきたいとのことでした。
スライドで詳細な説明を聞いた後は、里山まるごとホテルに行き、視察をさせていただきました。ここは、15年間空き家であった古民家を一棟貸しの宿にリノベーションされた粋な佇まいのホテルでした。
現在、2棟目と3棟目の宿泊施設を計画中とのことで、田んぼの再生と合わせて新しい宿を早ければ来年度にオープンする予定とのことでした。
山本社長は、地元のお父さんが言われた「都会の人ってお金がないと何もできないよね。だけど、うちらは里山があるから食べるものには困らない。だから、例え貧乏だって人に優しくできるんだ。」の言葉に心を打たれたとのことで、私も共感できると思いました。
株式会社百笑の暮らしは、能登に惚れ込んだ一人の移住者が、地域の“じぃじ”と“ばぁば”、東京からのお嫁さん、全国の協力者を巻き込んで、農泊推進対策事業を活用し地域全体を1つのホテルに見立て、能登の里山をまるごと楽しめる取り組みを行っていました。
山本社長にはお忙しい中、私たちの視察研修に、親切丁寧にご対応いただき感謝申し上げます。
生坂村の現状からは、道の駅いくさかの郷に村民の皆さんが出荷された、地元産の農林水産物を今まで以上にやまなみ荘で使用し、粉食文化の郷土食や地元産の食材100%に近いお料理を提供するとともに、一年を通してやまなみ荘に宿泊し、生坂村の山紫水明の豊かな自然や農林業などを体験できるプログラムも提供し、田舎でノンビリしていただける宿泊パックを検討したいと感じました。
小舟集落上空からの風景
△▽ 毎朝出勤前恒例の撮影は、我が家からフライトさせ、明るくなってきた小舟集落上空からの風景を撮影しました。
その他生坂村では、保育園で干し芋作り(年中)、小学校で身体測定・視力検査(高)・縦割り清掃(~17日) 、中学校で全校集会・校長講話・相談旬間(学級懇談)実施(~17日)・運動教室、地区担当職員会議、PPA地区調整会議などが行われました。