11月7日(火)の朝は雨が降りましたが、その後は天気が回復して日差しが届きました。
生坂農業未来創りプロジェクト会議の視察研修2日目は。能登町に行き、一般社団法人 春蘭の里の視察をしました。
最初に私から生坂村の紹介と治水砂防関係の会議で先月に大森能登町長とお会いしたことなど視察対応のお願いの挨拶から始まりました。
そして、春蘭の里実行委員会事務局長の多田喜一郎さんから紹介され、金沢市内の大学を卒業し同町にUターンして、春蘭の里を一代で築いた父喜一郎さんから運営法人の理事長を引き継いだ真由美さんから挨拶をいただきました。
真由美さんは、水田が広がり小川の清流に囲まれた同町宮地を、幼い頃に友達と木の棒を振り回しながら山の中を探検したり、川に入ったりして生まれ育ったこの自然が昔から大好きで後を引き継ぎ、お父さんの仕事に学びながら、全国の若者にアピールしようと、SNSで民宿の周辺に咲く季節の花々や地元のキリコ祭りの風景を捉えた写真などを投稿し、大学生の協力をいただきキリコ祭りも復活させるなど頑張っていました。
続いて、多田喜一郎さんから説明していただき、この活動の始まりとして、「この宮地地区は若者が減り、10年後どうなってしまうのか、何とかできないか」という想いから、平成8年に7人のメンバーで春蘭の里実行委員会を立ち上げました。
設立までには、約600haを開墾して栗を植えましたが、10年ほどで失敗し、牛肉は自由化等で生計が立たず断念して、借金だけが残ってしまったなどの紆余曲折があり、山菜やキノコ採りが楽しめる山々、集落を流れる美しい川、雄大な自然の恵みを活かせないかなどと、5年間話し合って、賛同する人だけが集まって始まったとのことでした。
そして、農産物の販売で1億円を稼ぎ、地域の活性化を図ろうとしましたが、農産物や春蘭等は農協の規格が厳しく1年で止めてしまうなど上手くいかず、それなら「売るのではなく、田舎にあるものを食べてもらおう」と考え、多田喜一郎さんが家を改装し、民宿「春蘭の里」が開業しました。
多田さん達の民宿の方針は、「1日1客」で「輪島塗の膳」でもてなし、「手作りの箸」で、「山菜・野菜・川魚・きのこ等の地元産の食材」、「化学調味料を使わない」など、こだわりを持つことで付加価値を付け、農業体験メニューの田んぼや炭焼きなど、家で昔から生業にしてきたものを取り入れていました。
そして、1軒から5軒、30軒と賛同者も徐々に増えて、今では農家民宿が50軒、活動も2市2町まで広がってきて、入り込み客数も16,000人を数え、一般のお客さんだけでなく、修学旅行生や外国の方も来てくれるようになり、修学旅行は350名ほどを受け入れられるようになったとのことでした。
多田さんは「一つの民宿に週に十人が宿泊してくれれば、月に40万円ほどの売り上げがあり、経営者としても生活も十分でき、そういったビジネスモデルを移住希望者らにもアピールし、各地からさらに若者が集まる地域づくりにつながれば」と語っていました。
我々が研修を受けた場所は、廃校をリニューアルした交流宿泊所「こぶし」という施設であり、能登町から指定管理料を無料で運営管理を受けていて、10部屋を4集落で受け持ち、行政に頼らず高齢者に住んでいただくように取り組んでいました。
農山漁村振興交付金を活用して、国が二分の一、町が四分の一、春蘭の里が四分の一を負担して空き家8軒を改修し、台湾から2名や都会などからも移住され、12~13名の後継者が育ってきたとのことでした。
これらの経費は、多田さんの給料や年金で賄っている部分があり、活動は異常なエネルギーが必要となり、俗に言う「バカ者」「よそ者」「若者」が必須であるとのことで、今は地域おこし協力隊卒業後に、バーを経営している女性や多田さんが7年月賦でコインランドリーを設置するなど田舎では珍しい取組もありました。
ちょうど当日は小学生20人ほどが、自然農法で栽培した野菜の収穫体験をした後にお昼を食べるとのことで、用意された山菜・野菜・柿等の地元産の食材を使った昼食を見せていただきました。
小学生で背が低いので、お膳を直接テーブルに置いていましたが、普段は台に載せてお出ししているとのことでした。
石川県により「春蘭の里」における「宮地交流宿泊施所 こぶし」において、再生可能エネルギーを活用し、水素を製造し、製造した水素を燃料電池により電気に変え、施設に必要となる電力を供給する実証システムが構築されていました。
次に、石川県が県内20カ所で整備を進める寄り道パーキングの第1号として整備された「寄り道パーキング春蘭の里」を視察させていただきました。
大型バスが止められて、EVスタンドも整備され、特産品販売所では多田さんが「観光客向けだけでなく、近くにスーパーがない地域住民にとっても便利なコンビニエンスストアのような存在になれば」と地元の産品、食料や日用品を販売しているとのことでした。
最後は、農産物直売所 春蘭の里 のと夢づくりを視察させていただきました。
地元で収穫されたきのこを使用したうどんや限定の日替わり定食も準備され、予約により、お弁当の提供と配達もしていました。
地元農家で収穫された野菜などの能登の里山で育まれた農産物や手作りバスケットや折り鶴のピアス、手作りマスク、猫ちゃんが大好きなまたたびリボン、ハンドメイド商品などの雑貨も販売しておりました。
多田さん達にはお忙しい中、我々の視察に親切にご対応いただき詳細にご説明くださり誠にありがとうございました。
春蘭の里は、農山村の風景など「あるものを活かす」という「地域づかい」であり、ハード・ソフトよりもハート(アイデア・精神など)による地域活性化であり、今後10年後はここも後期高齢者が多数を占めることになり、都会で就職しているご子息が帰郷して家業を継いでこそ、農村の真の再生であると感じました。
帰路の途中に昼食を取りながら道の駅能登食祭市場を視察しました。
能登食祭市場は、みなとオアシスとして「みなとオアシス七尾 能登食祭市場」及び、道の駅能登食祭市場として、県道132号七尾港線の道の駅に登録されています。
能登食祭市場は、天然の良港として古くから栄えてきた能登最大の漁港の七尾港にあり、能登食祭市場の建物は、アメリカ・カリフォルニア州にあるモントレーシティーのフィッシャーマンズワーフを手本に、能登の新鮮なお魚をモチーフにして設計されました。
能登食祭市場では、「いい品・いい味・いい接遇」をモットーに、厳選した能登の味を多数取り揃えていました。
道の駅能登食祭市場は、大きな道の駅ですから、各テナントに業者が入って、能登の新鮮な魚介類が豊富に売られていているほか、能登の名産品や伝統工芸品などが沢山売られており、当村の道の駅いくさかの郷とは比較になりませんが地元産の新鮮な野菜やイクサカラット、かあさん家の灰焼きおやき、おまんじゅうなどの加工品、食堂のおにかけなどの郷土料理は、いくさかの郷の特色を出していて、来ていただける道の駅になりつつあると感じました。
万平集落上空からの風景
△▽ 毎朝恒例の写真は、先日撮影しました朝霧が晴れてきた万平集落上空からの風景写真です。
その他生坂村では、保育園で祖父母参観(以)、小学校でセレクト給食、中学校で能楽教室、いくさか歩こう部、PPA地区調整会議、1班の皆さんの元気塾などが行われました。