仕事の都合でハワイに来た。
本来であればワイキキビーチでマイタイなどを舐めながらホゲーっとするのが筋だが、オアフ島を沖縄本島とすると、ここは西表島のような離島であり、クライアントからあてがわれた宿は農家の民泊、バカンス感ゼロのとほほな状況。
お仕事関係をせっせと済ませて捻出した日々をいかに過ごすか。
10エーカーの畑に囲まれて今まで出来たことといえばもっぱら馬の餌やりとか。
「ホノルルなんて沖縄でいうと北谷みたいなところ」
「ワイキキは美浜ビーチだから」
などと呪いの言葉をぶつぶつとつぶやきながらひたすら人参を与えていた。
飼っている犬の散歩に出かけようと、主人にリードはどこにあるかきいたところ
「リード? それは何をするものか。 綱・・・綱で何すんの?」
と、リードがこの世に存在することさえわからない風に言う。
ここんちの犬は生まれてこのかた綱にひかれた散歩など一度もしたことがないし、なんなら犬小屋さえもないわけで、さすがは農場の犬、10エーカーのすべてが自分の犬小屋ということなのだろう。
このままではワーホリになってしまうので街でレンタカーを借りてどこかにでかけてみたい。
しかし街に行こうにも足がない。タクシーなんか全く通らない。
こういう時にUberホント便利。
成田空港のタクシーみたいに近場の移動で舌打ちされるような不愉快な思いをすることもないしチップも不要。
日本でも解禁してほしい。
街のハーツレンタカーはBMWとフォードとVWと日産が同料金だった。
「どれが人気なの?」
「そりゃBMWが一番ね、あとVWパサートも。燃費重視なら日産かな」
フォードを無視する理由がちと気になったが、燃費は大事なので、日産車セントラという見たこともない車を借りることにした。
インテリアがプラスチッキーで、トルクはのっぺり、病院食のようなつまらない車だった。
そして日産といえばかわいそうなゴーン。
フランス政府が助け舟を出さないのは
「だってあいつはレバノン人だから」
なんだそうです。
フランスに税金収めてないんだからそりゃ仕方がないわな。
フランスって4ヶ月働くと、給料の6割の失業保険が1年くらい支給されるんで、国は税金足りなくって大変なんだって。
それって労働者にとっては天国だよね。
そういうことを公約に掲げた政党があったら支持しちゃうかも。
でもそんときゃ国は破滅しちゃうかも。
なんとか足をゲットできたので、ぷらぷらドライブ。
それではイッテミヨー。
道路沿いの公園でバスケットボールを楽しむ現地人たちがいて、それがいかにもアメリカ的な光景だったので車をとめて写真をとっていたところ
中のひとりが、「こっち来いよ!一緒にやろうぜ!」と手招きをする。
まるで二十年来の友を呼ぶかのように、カモンインコーク。
なれなれしいにもほどがある。
アメリカか。 ん、アメリカだ。
ここで断ったら男が廃る、売られた喧嘩は買わねばならぬ。
ので、参戦。
で、惨敗。
8頭身の黒人と、空飛ぶ冷蔵庫みたいに身軽な白デブの間で、ピンボールの銀玉のごとく翻弄されるちんちくりんな東洋人を想像してほしい。
その悪夢のような映像は、思い出すだけで脳内BPOに審議が入る。
老犬のように肩で息をしながら、無条件降伏。
覚えてろよ、このやろう。
リメンバー・パールハーバー! うん、それは間違った使い方。
運動して腹が減ったので地元民の彼らが「愛している」とオススメされたダイナーで飯を。
一番人気のカニのオムレツを頼んだらコレ
オゥ・・・何か餌のようなものがでてきて20ドル、ウィズチップ15%(計2500円)・・・ノゥ
チーズソースドバドバの圧倒的プレゼンテーションのおかげで蟹の味など微塵も感じられないないうえに、殻はしっかり混入しているという安定のアメリカンクオリティ。
物価が安いという離島でこれだから、オアフ島はもっとすごいことになっているのだろう。
ああ、行かなくてよかった、と心に無理やり念を押す。
景気が良いと街場の定食屋でさえこういうことになる。
バブルに浮かれていた頃の日本も外国人にとっては、なんでもかんでも高い国だった。
それが今はランチが3ドルで食べられるすっかり安い国になってしまった。
訪日観光客数がうなぎのぼりになるのも頷けるわな。
こんなところで夜に外食なんかしていたら確実に破産してしまうので、スーパーマーケットへ食材を買いに行く。
なんてことないキハダマグロのお刺身パックが1600円、ここは広尾か紀伊国屋か、というお値段で状況は好転せず。
酒はどうか。
アメリカの地酒といえばウイスキーとワイン。
うまそうなカリフォルニアワインが10ドル台で売られていたので 狂って10本くらいあれこれ買った。
そうさ酒に関しては懐がゆるゆるなのさ。
いなり寿司は甘めの沖縄味だった。英語で「コーン・スシ」っていうのね。
なぜ沖縄味かっていうと、このスーパーの創業者は沖縄からの移民、それもよしざるが住んでいた小禄出身だから。
沖縄が戦後の焼け野原の頃、創業者は故郷の未来のために小禄小学校に図書館を寄付したんだって。
娘の母校、小禄小学校の図書館はハワイ会館として大事に保存されています。
沖縄の味が二世、三世、四世と、お婆さんから孫たちへ、時を越え海を超えて、今でも頑なに受け継がれていたことに感銘を受けました。
宿に戻ると、ホストの奥さんが
「夕陽を見にあそこの山にのぼるといいよ」
「すっごーーーく、ビューーティフルだから」
「車で頂上までいけるから」
っていうから登ってみた。
しかし、1時間近く登れどもなかなか頂上までたどり着かず、ふとグーグルマップをみたら、あらいやだ、標高4,100メートル。
富士山より高いじゃないのさ
空気が薄いゆえ車まで老犬のように咳き込みだしたので、外に出てみたら氷点下、こちとらビーサンと短パン姿。
雲海の下でゴロゴロと雷が鳴りだしてきた。
と思ったら、それは米軍の照明弾の演習だった。
ホストの軽いおすすめで遭難しかけたことも、何千メートルもの高さに打ち上げる照明弾も、彼の国はなんともスケールがでかいなぁと再び感銘を受けましたことよ。
ワインとウイスキーの飲み比べの報告はいずれまた。
ちんちくりんの心象風景
、
本来であればワイキキビーチでマイタイなどを舐めながらホゲーっとするのが筋だが、オアフ島を沖縄本島とすると、ここは西表島のような離島であり、クライアントからあてがわれた宿は農家の民泊、バカンス感ゼロのとほほな状況。
お仕事関係をせっせと済ませて捻出した日々をいかに過ごすか。
10エーカーの畑に囲まれて今まで出来たことといえばもっぱら馬の餌やりとか。
「ホノルルなんて沖縄でいうと北谷みたいなところ」
「ワイキキは美浜ビーチだから」
などと呪いの言葉をぶつぶつとつぶやきながらひたすら人参を与えていた。
飼っている犬の散歩に出かけようと、主人にリードはどこにあるかきいたところ
「リード? それは何をするものか。 綱・・・綱で何すんの?」
と、リードがこの世に存在することさえわからない風に言う。
ここんちの犬は生まれてこのかた綱にひかれた散歩など一度もしたことがないし、なんなら犬小屋さえもないわけで、さすがは農場の犬、10エーカーのすべてが自分の犬小屋ということなのだろう。
このままではワーホリになってしまうので街でレンタカーを借りてどこかにでかけてみたい。
しかし街に行こうにも足がない。タクシーなんか全く通らない。
こういう時にUberホント便利。
成田空港のタクシーみたいに近場の移動で舌打ちされるような不愉快な思いをすることもないしチップも不要。
日本でも解禁してほしい。
街のハーツレンタカーはBMWとフォードとVWと日産が同料金だった。
「どれが人気なの?」
「そりゃBMWが一番ね、あとVWパサートも。燃費重視なら日産かな」
フォードを無視する理由がちと気になったが、燃費は大事なので、日産車セントラという見たこともない車を借りることにした。
インテリアがプラスチッキーで、トルクはのっぺり、病院食のようなつまらない車だった。
そして日産といえばかわいそうなゴーン。
フランス政府が助け舟を出さないのは
「だってあいつはレバノン人だから」
なんだそうです。
フランスに税金収めてないんだからそりゃ仕方がないわな。
フランスって4ヶ月働くと、給料の6割の失業保険が1年くらい支給されるんで、国は税金足りなくって大変なんだって。
それって労働者にとっては天国だよね。
そういうことを公約に掲げた政党があったら支持しちゃうかも。
でもそんときゃ国は破滅しちゃうかも。
なんとか足をゲットできたので、ぷらぷらドライブ。
それではイッテミヨー。
道路沿いの公園でバスケットボールを楽しむ現地人たちがいて、それがいかにもアメリカ的な光景だったので車をとめて写真をとっていたところ
中のひとりが、「こっち来いよ!一緒にやろうぜ!」と手招きをする。
まるで二十年来の友を呼ぶかのように、カモンインコーク。
なれなれしいにもほどがある。
アメリカか。 ん、アメリカだ。
ここで断ったら男が廃る、売られた喧嘩は買わねばならぬ。
ので、参戦。
で、惨敗。
8頭身の黒人と、空飛ぶ冷蔵庫みたいに身軽な白デブの間で、ピンボールの銀玉のごとく翻弄されるちんちくりんな東洋人を想像してほしい。
その悪夢のような映像は、思い出すだけで脳内BPOに審議が入る。
老犬のように肩で息をしながら、無条件降伏。
覚えてろよ、このやろう。
リメンバー・パールハーバー! うん、それは間違った使い方。
運動して腹が減ったので地元民の彼らが「愛している」とオススメされたダイナーで飯を。
一番人気のカニのオムレツを頼んだらコレ
オゥ・・・何か餌のようなものがでてきて20ドル、ウィズチップ15%(計2500円)・・・ノゥ
チーズソースドバドバの圧倒的プレゼンテーションのおかげで蟹の味など微塵も感じられないないうえに、殻はしっかり混入しているという安定のアメリカンクオリティ。
物価が安いという離島でこれだから、オアフ島はもっとすごいことになっているのだろう。
ああ、行かなくてよかった、と心に無理やり念を押す。
景気が良いと街場の定食屋でさえこういうことになる。
バブルに浮かれていた頃の日本も外国人にとっては、なんでもかんでも高い国だった。
それが今はランチが3ドルで食べられるすっかり安い国になってしまった。
訪日観光客数がうなぎのぼりになるのも頷けるわな。
こんなところで夜に外食なんかしていたら確実に破産してしまうので、スーパーマーケットへ食材を買いに行く。
なんてことないキハダマグロのお刺身パックが1600円、ここは広尾か紀伊国屋か、というお値段で状況は好転せず。
酒はどうか。
アメリカの地酒といえばウイスキーとワイン。
うまそうなカリフォルニアワインが10ドル台で売られていたので 狂って10本くらいあれこれ買った。
そうさ酒に関しては懐がゆるゆるなのさ。
いなり寿司は甘めの沖縄味だった。英語で「コーン・スシ」っていうのね。
なぜ沖縄味かっていうと、このスーパーの創業者は沖縄からの移民、それもよしざるが住んでいた小禄出身だから。
沖縄が戦後の焼け野原の頃、創業者は故郷の未来のために小禄小学校に図書館を寄付したんだって。
娘の母校、小禄小学校の図書館はハワイ会館として大事に保存されています。
沖縄の味が二世、三世、四世と、お婆さんから孫たちへ、時を越え海を超えて、今でも頑なに受け継がれていたことに感銘を受けました。
宿に戻ると、ホストの奥さんが
「夕陽を見にあそこの山にのぼるといいよ」
「すっごーーーく、ビューーティフルだから」
「車で頂上までいけるから」
っていうから登ってみた。
しかし、1時間近く登れどもなかなか頂上までたどり着かず、ふとグーグルマップをみたら、あらいやだ、標高4,100メートル。
富士山より高いじゃないのさ
空気が薄いゆえ車まで老犬のように咳き込みだしたので、外に出てみたら氷点下、こちとらビーサンと短パン姿。
雲海の下でゴロゴロと雷が鳴りだしてきた。
と思ったら、それは米軍の照明弾の演習だった。
ホストの軽いおすすめで遭難しかけたことも、何千メートルもの高さに打ち上げる照明弾も、彼の国はなんともスケールがでかいなぁと再び感銘を受けましたことよ。
ワインとウイスキーの飲み比べの報告はいずれまた。
ちんちくりんの心象風景
、