割れてしまった高麗茶碗を金で繕い、ご飯茶碗として長いこと使ってきた
掌にすっぽりと収まる丁度いいサイズと、ザリザリとした肌の感触が気に入っていたのだが、経年で金が剥がれはじめた
電子レンジが使えないという不便を感じていたので、そろそろ買い替えようと思っていたそんな折、北陸行きの用事ができた
当地の九谷焼はご飯茶碗にはいささか華やかだろうか
鉛色の空とぐちゃぐちゃの海 冬の日本海はこうでなくっちゃ
富山・石川・福井の3県をひたすら走る
車窓からこの夏に縦走した北アルプスが見えた
かなり無理をしたので、いまだに膝が痛む
登山はしばらくおあずけだ
途中、永平寺に寄った
せっかくなので座禅を組ませてもらった
コロナ対策で座蒲の間隔がスカスカ
久しぶりの結跏趺坐で足がつってしまい困ったが、本場の座禅は普段やっているマインドフルネスと一味違い、頭がすっきりシャープになった
もっと高みへ行きたくて呼吸を指先まで行きわたらせたが、ふと例のマンガの「全集中!」とか「水の呼吸」などを思い出してしまい、心が波立って終わった
(輪島ナビより)
同行者が揚げ浜式塩田の塩を買った
江戸の頃から変わらない方法で作った塩はほんのり甘い
江戸の塩といえば思い出すのは阿茶局のエピソード
家康に「この世で一番うまいものはなにか」と問われ
「塩にございます 山海の珍味も塩梅しだいにて」
「では、一番まずいものは」
「それも塩でございます 勝れば食べることができませぬ」
武芸、馬術に優れていたスーパー未亡人、阿茶
家康は戦場にも連れて行き、駿府城に隠居したときも側室の中で彼女だけを呼び寄せた
大河ドラマにしてほしい
通りがかった港で酒肴を求め、今夜の宿へ
地元の品々で一杯
日本酒の神様といわれる、農口尚彦研究所の酒を入手できたのは幸運だった
それは甘海老のネットリとした甘みや、香箱カニの濃厚な味噌に負けない素晴らしい酒だった
こんなすごい酒は自分史上NO.1!とかいうと世田谷自然食品のCMみたいだが、本当に米の香り・ちから強さ・キレが抜群で、杯が止まらずに2時間たらずで失神したから間違いはない
翌朝、ぼーっと窓の外を眺めると朝日の中に静かな海が見えた
でもよく見ると、それはソーラーパネルだった
座禅の効果は一晩で消えてしまった
帰りがけ、瀬戸物屋に寄ってもらい茶碗を物色した
九谷焼には珍しいシンプルな水墨画の絵付けを見つけた
田中正人さんという作家の品で、ふわりと軽く、よく手に馴染む
家に帰り、米の研ぎ汁で30分ほど炊いて目止めをした
肌合いはざりっとしながらもどこかしっとりして良い感じ
ユーモラスな鯛の眼が、肥えていく俺の腹を睨んでいる
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電子レンジが使えないという不便を感じていたので、そろそろ買い替えようと思っていたそんな折、北陸行きの用事ができた
当地の九谷焼はご飯茶碗にはいささか華やかだろうか
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富山・石川・福井の3県をひたすら走る
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かなり無理をしたので、いまだに膝が痛む
登山はしばらくおあずけだ
途中、永平寺に寄った
せっかくなので座禅を組ませてもらった
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久しぶりの結跏趺坐で足がつってしまい困ったが、本場の座禅は普段やっているマインドフルネスと一味違い、頭がすっきりシャープになった
もっと高みへ行きたくて呼吸を指先まで行きわたらせたが、ふと例のマンガの「全集中!」とか「水の呼吸」などを思い出してしまい、心が波立って終わった
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同行者が揚げ浜式塩田の塩を買った
江戸の頃から変わらない方法で作った塩はほんのり甘い
江戸の塩といえば思い出すのは阿茶局のエピソード
家康に「この世で一番うまいものはなにか」と問われ
「塩にございます 山海の珍味も塩梅しだいにて」
「では、一番まずいものは」
「それも塩でございます 勝れば食べることができませぬ」
武芸、馬術に優れていたスーパー未亡人、阿茶
家康は戦場にも連れて行き、駿府城に隠居したときも側室の中で彼女だけを呼び寄せた
大河ドラマにしてほしい
通りがかった港で酒肴を求め、今夜の宿へ
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日本酒の神様といわれる、農口尚彦研究所の酒を入手できたのは幸運だった
それは甘海老のネットリとした甘みや、香箱カニの濃厚な味噌に負けない素晴らしい酒だった
こんなすごい酒は自分史上NO.1!とかいうと世田谷自然食品のCMみたいだが、本当に米の香り・ちから強さ・キレが抜群で、杯が止まらずに2時間たらずで失神したから間違いはない
翌朝、ぼーっと窓の外を眺めると朝日の中に静かな海が見えた
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座禅の効果は一晩で消えてしまった
帰りがけ、瀬戸物屋に寄ってもらい茶碗を物色した
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田中正人さんという作家の品で、ふわりと軽く、よく手に馴染む
家に帰り、米の研ぎ汁で30分ほど炊いて目止めをした
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ユーモラスな鯛の眼が、肥えていく俺の腹を睨んでいる