熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。送料込み5000円。
残部僅少、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

人形駒

2008-10-31 21:37:09 | 文章
10月31日(金)、曇がち。

10月も今日で終わりです。
記録的な株の下落、世の中は記録的な不景気だと言うのに、テレビで見る首相は、どこかルンルン気分。
よほど欲しかったのでしょう。思いもよらず首相の座が転がり込んできたのだから誰だって浮かれてルンルン気分にもなるというもの。
まあ、見識はさておき、正直者なんだろうね。

一方、野党やマスコミたちはこぞって「選挙管理内閣」とか「早期解散」と騒ぎ立て、そうなると勝手読みしていた訳だが、やっと手にした地位を簡単に手放す人はそういない。
そのことをすっかり忘れていた彼らの動きや言動には、どこか違和感が強かった。
単純な人の心を読めない民主党の連中の早とちりと、コロコロ変わる議会運営はお粗末。実質、官僚が支配し膨れ上がって歪でメタボな日本をここに託そうと思っていた人は少なくは無かったはず。
今回は、この党の底の浅さを露呈したわけで、果たして政権をまかせられるかどうか。心許ないと思うのは私だけでしょうか。


今日は、ほとんど雑用で一日が暮れました。

先ずは、ふと思いついて始めていた修復中の盤覆いは桐製と樅製の2つ。
樅製は、昨日までに隙間を接着して砥の粉を塗ってペーパーをかけたあと、四隅の角には吉野紙を漆で貼りつけて乾くのを待っていて、今日はその続。外側の5面に漆を塗る作業。
道具は、漆刷毛でなく薄っぺらな桧製の三角ヘラ。
先の一辺をナイフのように研いで使う。そこで漆をしごきながら塗るわけだが、広い平面を塗る時には刷毛よりズーっと能率的で使いやすい。

桐製は拭き漆で仕上げるつもり。表面の桐の木目を際立たせるために「うずくり」で力強くこすりあげる。「うずくり」は、宗絽の表皮の繊維を束ねたもの。
これも三角ヘラで漆を塗った後、布でごしごしと表面を吹き上げる。
漆は出来るだけ残さないのがコツ。これを何日か繰り返す。

昼からは、手紙を3通書いた後、ズーっと気にかけていた「人形駒」2つの修復作業を開始。
中々厄介。今日は、どれだけ厄介か試行錯誤してどのように進めれば良いかの感触を確かめることが主眼でした。
この2週間で完了させなければの思いです。

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駒の写真

2008-10-30 19:16:04 | 文章
10月30日(水)晴れ。

先日締め切った「駒写真」。上はその一例で、約10年前の作品です。
このほどある方から下取り的に預かった駒です。お問い合わせいただいた皆様には
これを含め12組の写真をお届けしました。

その後、さらに2名の方から問合わせを頂きましたので、お2人にはその時点で残っている駒の写真のみお届けしましたのでご了承ください。

「駒」が良く分かるように実物に近い大写しA5判の写真をお届けしたところ、鮮明で分かりやすいと褒めていただいたり、カメラの問い合わせもありました。

カメラは6年前、東大寺での名人戦の前に買った「キャノン・パワーショットG3」という、35ミリカメラほどの大きさで400万画素のデジカメです。
当時は200万画素が主流だったのですが、少しでもキメが細かいと愛用のフィルムカメラ(中判カメラと35ミリカメラ)の補助としても使えそうなので、これに決めたわけです。

デジカメはその場で結果が分かり重宝ですが、雑誌大に大伸ばししたときのキメ細かさでは、やはりフィルムカメラにはかないません。
それで、実際は余り使っていなかったのですが、ブログをやるようになって、多用するようになりました。

ところで、「駒」を美しく撮るためのポイントを聞かれるのですが、デジタルカメラを前提にして、気が付いたこと、小生が心がけていることを書きます。

①カメラは、出来るだけ大きいのが良い。(ブレ難い。レンズが大きく明るい)
②画素数は、大きいのが良い。(最近の1000万画素なら申し分なし)
③望遠ズームで、離れて撮る。(歪が少ない)
④フラッシュ撮影は、出来るだけ避ける。(表面反射しがち)
⑤特に、正面からのフラッシュはしない。(正面からだと、必ず反射する)
⑥駒の表面反射の写り込みに注意する。(空や壁の色が、写りこむ場合がある)
⑦カメラは、動かさないよう固定して撮る。(3脚がベスト。腕を支えて撮る)
⑧反射板で影の部分を明るくする。(ポスターの裏、発泡スチロール板の活用)
⑨何枚か、カメラアングルと距離、光の具合を変えて撮る。
⑩駒の配置、角度を少し変えて撮る。
⑪漆が反射する光を撮る。
⑫蛍光灯は、消してみる。(種類の違った光は避ける)
⑬やわらかな太陽光を、大いに活用する。(直射でない自然光がベスト)
⑭駒の表面や漆文字の反射を逆利用する。(立体感、質感を引き出せる)
⑮カメラは一歩近づけて撮る。(画面いっぱいに、大写しで)

いろいろ書きました。一見、矛盾するようなことも書きました。
プロのカメラマンでも、「駒」は経験がないと戸惑う場合もあるそうです。

デジカメを買い換えようと思っている方で、少しでも美しい写真を撮るためならば、大きなカメラをお奨めします。


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日曜サンデ

2008-10-26 17:58:09 | 文章
10月26日(日)、朝から小雨が振ったり止んだり。

昔、「朝だ夜明けだ・・」で始まり、「月月火水木金金」で終わる流行り歌が良くラジオで流れていました。小学校の頃です。日本の誰もが一生懸命働いた時代の歌です。
土曜も日曜も無く、夜明けとともに元気に起きて働く。とにかく元気でハイテンポな明るい歌でした。ひょっとすると、もともとは戦前か戦中に作られた歌かも知れません。声を出して良く唄った覚えもあるのですが、途中の正確な歌詞は忘れてしまいました。

それから半世紀以上が経ちました。
小生のDNAにはこの頃の歌が刻まれているのでしょうか。日曜日と言えども、何かかにか仕事をしているのです。

今日は先ず、昨夜に受信したfaxを確認する。昨日までを加えると数通に。幸いダブルことなく、それぞれに返事を書きました。

次に昨日から漆室に入れていた竹の器。しっかりと漆が乾いていていい感じ。家で使うにはこれで十分。変な加飾は加えない方がいいと思ったり。

続いて修復中の盤覆いの続き。今日は、11時20分ごろ奈良方面へ出かけるので、余り時間が無く、それでもちょと手を加えておくのは、あとの工程がはかどるからです

雨が止む。コーヒーは2杯目。手を休めてテレビをつけると、若手同士の中盤の戦い。それを少し見て工房を出る。

今日の午前中は、以上のとおりです。
何かばたばたと、目先をこなすだけだと少し反省する。
「たまの日曜、サンデというのに、何が因果というものか・・」という唄も、その頃はやりました。
とにかく、1時間でいいからじっくり考える時間を持ちたいと思うのだが、中々出来ません。
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雛駒その2

2008-10-25 19:06:50 | 文章
雛駒が出来ました。
裏の文字、いかがでしょうか。
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工房の風景

2008-10-25 18:18:53 | 文章
10月25日(土)曇。今日は雨の気配が無いので、数日ぶりに盛り上げが出来そう。

先ずは漆室のチェック。昨日の雛駒の裏。結果はべりグッド。
次に、竹の器。また水砥ぎして漆を塗りました。器の地肌は砥ぎを重ねるにつれていよいよ滑らかです。

俄かに思い立って、古い桐製の盤覆いを再生させる作業をやり始めました。
盛り上げは先送りです。

盤覆いの再生作業の手順は、都度状態によって一定しませんが、参考までに、今日の手順を説明しておきます。
先ず砥粉を水でしゃぶしゃぶにして、それを堅い刷毛で全体を塗って、ぼろ布でこすります。こうすると、表面の汚れが粗方取れます。
次に、接着剤で板の剥れているのを直します。接着剤が完全に乾かないうちは次の工程には進めませんので、別の仕事です。

そこで、「無剣」の盛り上げを始めました。
素材は薩摩ツゲの根杢。彫りや埋めは7月の頃にとっくに終わって、そのまま4か月ほど寝かしておりました。
盛り上げは調子を見る意味もあって、裏の文字を先にすることが多いのですが、今日は歩兵の表から始めました。理由は特にありません。
今日は歩兵を20枚書きました。

修理が終わった盤覆いは、ペーパーで軽く擦って表面を整えます。
打ち傷などで凹んだところは、砥の粉で汚れたままですが気にしません。
もう一度、水でといた砥粉を刷毛で塗り、半乾きのとき、ぼろきれでごしごしと擦りますと、段々艶が出てきます。
大きな傷や汚れが無い時は、これでokですが、もっと艶を出したいときは、木蝋を付けた布で全体を拭き上げます。
汚れがひどいときには、最後に漆を拭きますと、汚れが目立たなくなります。

写真は、工房の建物です。奥がJR、左手の緑色が隣のお茶屋さん、その隣がうどん屋さんです。その向こうに小さく写っているのがJRの列車です。
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トピックスです

2008-10-25 02:32:49 | 文章
10月25日(土)。先ほど眼が覚め、片耳・片眼で「朝まで生テレビ」を聴きながら入力しています。

一昨日、水無瀬神宮から「中将棋の駒が見つかった」と言う、びっくり電話が入ったことをお伝えします。
早い時期に、折を見て拝見に行こうと思います。

実は昔、地元の島本町の教育委員会から「水無瀬駒」という20ページほどのパンフレットが出ていました。
中味は当時の水無瀬神宮の先先代宮司さんが執筆したものですが、そこには中将棋駒の写真が出ていたのです。しかし、小生が30数年前に訪れた時には拝見出来ませんでした。

写真は、戦前に撮られたものだろうと思っていたので、以来、頭の隅には「あの駒はどこへ行ったのか」と常に残っていたのですが、口にはしていなかったままでした。
電話でそのことを訊ねたところ、今回見つかったのは、その駒なのだそうです。

「ホーっ」と、声を出してしまいました。詳しい経緯は訪ねたときにと、思っています。

3時になりました。これでまた寝ることにします。おやすみなさい。

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空砥ぎ

2008-10-24 20:09:44 | 文章
写真は、空砥ぎ途中のワンカットです。
手前は、ペーパーの上に溜まった削り滓。
向こう側、左は未着手の駒。右の塊りは1回目の研磨をしたものです。
この段階では漆は全部落しません。1日か2日経ってからです。理由ですか、それは実際にやってみると良くわかると思います。

一部は少し文字が見えかけているのがありますね。書体は何でしょう。写真が小さいので、分かりますか。
この夏に注文を頂いていた「古水無瀬」。仕様は彫り埋め仕上げです。

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竹の器

2008-10-24 19:34:10 | 文章
10月24日(金)。

今日は朝から雨が降ったり止んだり。
今日のような日は、盛り上げは敬遠して、先ずは竹の器に手を加えることに。
表面をサンドペーパーで摩って、朱合い漆を薄く塗ってから写真を撮る。
表面は赤褐色になりましたね。

そのあとは、昨日までに漆を埋め込み終わった1組を、粗研磨することに。
粗研磨は、彫った跡に埋め込んで真っ黒にこんもり盛り上がった余分な漆を木地の表面まで削り取る作業です。
黒い漆の粉が出るので、水と砥石を使った水とぎをする人が多いようですが、折角の木地を傷めるので、小生は水を使わない空砥ぎです。

勿論、家の中ではやれません。外の作業です。粉が空気に舞わないようにバキュームをまわし続けて鼻に吸い込まないようにし無いといけません。
空砥ぎの途中をワンカット写真に撮りましたのが次のページです。
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雛駒

2008-10-24 00:23:03 | 作品
只今製作中の雛駒です。
御蔵島ツゲの杢。表の文字を書き上げたところです。
肉筆です。文字の中で「歩兵」が一番難しいですね。裏側の文字と銘は、これから書くところです。

厚紙に書いた桝目は20ミリx19ミリ。大きさ比較の参考に、愛用の万年筆を添えました。

駒は実用を考えて、摘みやすいように肉厚、そして歩兵は意図的にやや大きめにしましたが、多少小さくした方がよさそうなので、撮影後、ほんの少し幅を縮めました。

多分、将棋の日にお目に掛けられることでしょう。


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竹の器

2008-10-23 10:30:37 | 文章
竹に生漆を3回塗っています。
中にある植物は関係ありません。
竹は、夏に三重県の山間部に旅行した帰りに、この中に入った観賞用の「芽と葉が出たくわい芋」を買って帰って、3ヶ月が過ぎて中味を地植えにして残った青竹の器です。
大きく、中々立派なので、仕事の息抜きに漆を塗ることにしました。

竹は、外皮を小刀で削いで取り、内側の繊維に塗らないと漆が剥げてしまいますので、そうしています。生漆でも塗り重ねるとこのくらい黒くなります。
この後、一旦ペーパーで研磨して素地を出して下地調整します。黒色は薄まって赤褐色混じりになる見込みです。
その後、透き漆で何回か拭き上げて、素材の色が少し残るようにしたいと思っています。

これで竹の器は一応出来上がるのですが、さらに加飾するかしないか、加飾するならどうするか、本物の駒でも散らそうかなどと考えながらもう少し進めることにします。
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駒の写真集

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