熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。送料込み5000円。
残部僅少、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

只今の心境

2023-12-22 19:37:15 | 文章

      生涯2冊目の本づくり

 今年80歳の小生。この際にと思い立って生涯2冊目の本を制作することにした。42年前、38歳で上梓した『名駒大鑑』以来で、着手は6月。傘寿を迎えての先行きを考えての決断で、只今はその制作工程の真っ最中。内容は半世紀以上を駒と向きあって、永年のテーマ「水無瀬駒」をはじめとした研究成果や論考、あるいはその時々で各種メディアを通じて発表したり、採り上げられてきたものを集大成して『名駒大鑑』の続編とも言えるものだが、それらを1冊に纏めて残すことにも意義があると思う。

 今回は自身の生きざまにも触れる要素もあって、書名を『熊澤良尊・駒と歩む』とし、読む本というより、カラー写真を多用して「観る本」を目指している。

  第1章と第2章は「水無瀬駒」関連。第3章は11年間連載した月刊誌近代将棋の「駒に生きる」132ページの復刻。以下、第9章ままでの総数は270ページ。当初は240ページを想定していたものが、あれも入れたいこれも入れようと、結果的にここまで膨らんでしまった。駒に関心がある人の資料にもなればとの思いもある。

       自費出版のなやみ

 自費出版本の上梓には思った以上に手間と時間がかかる。前回は着手から出来上がりまでに1年半を費やした。今回はそれほどでなくてもその間は本業の駒づくりは二の次となって、ウツウツとすることもしばしばだが、思い立ったことだからと自分に言い聞かせている。

 そのほかにも悩みはあって、発行部数と売価をどうするかだった。発行部数の多寡は1冊当たりのコストと売価にも直結するし、思ったように捌き切れなければ在庫の置き場にも窮しかねない。前回もこれには悩んだものの、最終的には需要動向をつかむための先行予約の広告をして発行部数を決めた経緯がある。

 今回はどうか。現在は毎日500人ほどのビュアーがある自身のSNSブログ「熊澤良尊の将棋駒三昧」で自己宣伝を兼ねて、ときおり本の進捗状態を伝えているのだが、今回はかなり周りの状況が違う。  

 前回は広告のみでなく、時には記事として「コレコレの本が出た。興味ある方はどうぞ」と取り上げられて、その効果は絶大で、購買者数数を大きく伸ばしてくれた。

 今は「週刊将棋」「近代将棋」は無く、現在の専門誌は「将棋世界」と「将棋ペン倶楽部」のみ。

 細々と運営する自身のブログでは、効果のほどはたかが知れていて、あとは一般誌紙が採り上げてくれるかどうかにかかっていて、心細いのは否めない。それゆえ、今回はグッと絞っての発行部数にならざるを得ず、売価にも影響が及ぶ。これは避けることが出来ないジレンマで、思案していても前には進めない。
 今は決断の時を迎えて、値段はギリギリ抑えながら、前回と同様に「エイヤー」と決めることにした。

 『名駒大鑑』は2700部の発行だった。売価は当初3800円で売り出して数年後に4500円へと改定した経緯があったものの、本はことのほか好評で、将棋関連の出版社社主から「熊澤さん。この本はいつまで経っても陳腐化することはない。10年ほどで完売できる」との嬉しい言葉をいただいて、実際、そのとおり全てが出払って、後に古書店ではかなりの高値がつくようになった。

 現在は校正も終わり、いよいよ印刷工程に進み、やがて本が出来上がるのを待つ。これが今の心の支えである。

                           (了)                                                                                                                                     

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

久しぶり、古水無瀬の彫り駒

2023-12-18 10:31:52 | 写真

映像は、お待たせしていた「古水無瀬」の彫り駒。

材は、薩摩ツゲの根杢。
3玉で作りました。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本づくりの記

2023-12-09 13:05:54 | 文章

52歳で退職した日本板硝子の定年退職者の会の会報が届きました。
年に1回、次回の発行は1年先ですが、それを見て、こちらも投稿しようと思って、次のような原稿を作りました。
日付は年明けで、チト、早トチリかもしれませんが、アップしますので、ご笑覧ください。

    ーー 生涯2冊目の本づくり ーー     熊澤良尊
 80歳傘寿ともなり、思い立って生涯2冊目の本を制作することにした。前回の『名駒大鑑』以来で42年ぶり。着手は昨年6月。自身の行く先を考えての決断であった。只今は制作工程の真っ最中で、この記事が載ったときには出来上がっているはず。
 内容は永年「駒」と向きあって、水無瀬駒をはじめとする研究成果や論考などを1冊にしての270ページで、今回は自身の生きざまにも触れる要素もあって、書名を『熊澤良尊・駒と歩む』とした。
 駒との関りは入社してまもなくの頃。先輩らとサークルを作って師範に八段・南口先生を迎えてのレッスンと、昼休みには将棋を楽しむ毎日だったが、宝石のような輝く駒を見て、欲しいと思った。それは「盛上げ駒」といって、プロのタイトル戦で使われるかなり高価な駒で、思い立ったのが自分で作ることだった。
 ノウハウの何もわからないまま、失敗を踏み越えて半年後に出来上がった一組を南口先生に「これで教えてください」と持参したところ、「良くできている。今度の中原名人と加藤(一)九段の記念対局で使おう」と。それが後に続く幾多の幸運の始まりであった。
 駒づくりが面白くなって、その楽しさを全国の将棋ファンに広めるべく「駒づくりを楽しむ会」を立ち上げようとして、念のため許可がほしいと願い出て、快諾してくれたのが当時人事係長の出原さん。ありがたかった。
 話を戻して、自費出版には思った以上に手間と時間がかかる。前回は着手から出来上がるまでに1年半を費やした。今回はそれほどでなくても、その間は本業の駒づくりは二の次となってウツウツとすることもしばしばだが、そのほかにも悩みはあって、発行部数と売価をどうするかである。発行部数の多寡はコストと売価にも直結するし、さばき切れなければ在庫の山となる。前回もこれには悩んだものの「先行予約」の広告を出して部数を決めた経緯がある。

 今回はどうか。現在はSNSブログ「熊澤良尊の将棋駒三昧」で自己宣伝を兼ねて、本の進捗状態をお伝えしているのだが、今回はかなり周りの状況が違う。前回は、時に記事として「コレコレ云々の本が出た。興味ある方はどうぞ」と紙誌に取り上げられて、その効果は絶大で購買者数を大きく伸ばしてくれた。 今は専門誌の半分は休刊となって、残るは2誌。あとは一般紙が取り上げてくれるかどうかだが、心細いのは否めない。それゆえ今回はグッと絞っての発行部数にならざるを得ない。
 今は決断の時を迎えて、総てを「エイヤー」と決めることになる。まもなく校正も終わり、いよいよ印刷工程で、あと、ひと月ほどで「本」が出来上がってくる。そして本誌が出たころには、残った在庫の山がうず高くのさばっているだろうが、でも、それが今の心の支えである。(令和6年1月の記)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

苦言

2023-12-01 18:11:11 | 文章

あるSNSブログに、「摩訶大将棋」という言葉が出ていました。
「まかおおしょうぎ」というルビもついています。
しかし、元々は「摩訶大将棋」という将棋はありません。

昔の古将棋を広めようとする良いことことですが、

将棋正しくは「摩訶大々将棋」。
読み方は「まかだいだい将棋」であり、「まかおお将棋」というのも、別の「おお将棋」はあっても、このように言い方の将棋は、存在しなかった訳です。

単なる間違いは致し方ないとしても、後世の者が、勝手に違った名前に改変するのは、歴史の冒涜であり、してはいけないことだと思います。

間違いは正すべきと、今日は苦言を呈しました。

 

 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駒の写真集

リンク先はこちら」 http://blog.goo.ne.jp/photo/11726