熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
残部僅少ながら、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

ビリたんさん

2019-07-30 20:04:30 | 文章

7月30日(火)、晴れ。

菊折れ枝蒔絵の将棋盤。図録を正面でなく、少し下の方からの撮影につき、盤の画像がいびつに映り込んでおりますが、ご容赦。ご容赦。

昨日、ビリたんさんからの質問に答えました。ビリたんさん、ご覧いただけましたでしょうか?

ところで、そのビリたんさんですが、どこにお住まいの方でしたか。ボヤッとしたきおくでは、一度、工房に来られたような気がするのですが、はっきりとはしません。

ビリたんさん、小生の答えをご覧になって、いかがでしたか。感想など、あるいは反論などありましたら、ご意見をお聞かせください。

 

 

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ビリたんさんへのお答え

2019-07-29 19:23:14 | 文章

7月29日(月)、概ね晴れ。

晴れた日でも、朝方は空が見えないことが多い。今日はそんな一日でした。

ビリたんさんからの質問で、図録本を10冊ぐらい探したのですが、カラーの映像が見つかったのは「菊折れ葵蒔絵の盤」だけでした。カメラに撮ったのですが、カメラを別のところに置いたままで持ってくるのを忘れてしまいました。ということで、以下は薄っすらした記憶のままに、私の見解を述べさせていただきます。

 1)葵・浮線菊紋散唐草蒔絵の盤は劣化が生じ、 目盛り線の剥離がありました。 剥離した跡には明らかにV字に彫った跡が見えました。 菊折枝蒔絵の盤は目盛りの剥離は見られませんでしたが これもいわゆる「彫り駒」仕様に見えました。 こういった彫り駒あるいは彫り埋め仕様の 盤師が彫刻を施すといった製法もあったのでしょうか?
 
これに対するお答え。 
ビリたんさんがご覧になった盤は、書かれてあった経線が剥離して、その下に黒い漆の線が残っているように見えた。「それは、よく見ると経線の下がが彫られているようだった」とのことですね。
 
そのところを私は見ていないので、なんとも言えませんが、おそらくは漆で書かれた線ではないでしょうか。理由は、そのほうが簡単だからです。
因みに、私の持っている脚付きの明治時代の将棋盤(榧)には、目盛りのところが「象嵌(ぞうがん)」と言って、1ミリくらいの紫檀の細い材が埋め込まれています。このような「象嵌」の手法は、昔むかし(平安時代)からあって、それを将棋盤に応用したわけです。
ところで本件は、剥離した線の下が彫られていて漆が埋まっているように見えたとのことですが、残っていた漆の黒い線の痕跡が残っていて、それが見えたのかもしれませんね。
そのあたりはどちらなのでしょうか。単眼鏡でも、遠目ですから、どこまでしっかりと見られたのかが気になるところです。
 
 
  2)葵・浮線菊紋散唐草蒔絵の盤のみでしたが 目盛りの星が、まるで赤いマジックで点を打って 少し滲んだような質感でした。 星のみ赤という仕様は他にも例はあるのでしょうか?
 
これに対するお答え。
「将棋盤の目盛りの交点の星が、赤っぽく見えた」とのことですね。
漆にも、いろいろあって、本来の漆(生の漆)は、乾くとやや赤っぽい透明感のある茶色ですが、不純物によって、やや濃かったり、やや黒くなるものもあります。
黒い漆にするには、生の漆から不純物を取り去り、鉄漿(お歯黒)といって、漆に鉄の成分を加えて黒くするわけです。
文面によれば「星だけが赤っぽく見えた」ということなのでしょうね。普通、盤の目盛りは縦と横、そして星がありますが、それを全部、一日で終えることはむつかしいのです。1日目は縦の線。それが乾いた2日目が横の線となります。星は2日目の最後か、場合によっては3日目に入れるわけです。
縦横が乾いた後の3日目に入れるとなると、星のところが3回重なる漆になり、膨れ上がるわけです。星があまり盛り上がると好ましくないので、最後の星はできるだけ薄く塗ることになるわけです。薄く塗れば漆の厚みも色も薄くなり、透けたような赤っぽい色合いに見えたのではないでしょうか。
 
 3)菊折枝蒔絵将棋盤と一緒に展示されている 駒は確かに水無瀬兼成さんの書体に似ていて、 しかし、清安の「花押」(?)が駒尻に入っていました。 当時の一流の書家が水無瀬兼成さんの書を 模して制作したという可能性は無いのでしょうか?
 
これに対するお答え。
「清安の駒」は、私も7~8年前に、名古屋の徳川美術館で、ガラス越しで遠目で見ることができました。文字はもちろん文字通り「清安」さんであり、水無瀬兼成さんとは少し違います。
この駒が作成された19世紀は、兼成作の水無瀬駒がまだまだ多く残っており、当時、最上の駒として、ご指摘のように、文字にも影響を受けたことは強かったと思います。ですが、参考にしても、模写というべきではなく、清安さんの文字というべきではないでしょうか。
因みに、小生が持っている「紫檀材の駒」は、水無瀬兼成さんそっくりの文字に作られており、それには「兼成筆写」とあり、これは完全な模写と言えるでしょう。
 
  4)江戸の書き駒は現代の盛り上げ駒みたいな 仕上がりになっているものと思っていましたが 文字は木地とツライチの彫り埋めみたいに見えました。 見る角度の問題なのでしょうか? それともそういう漆で書かれているのでしょうか?
 
 これに対するお答え。
現今の駒好きな人の中には、「盛り上げ駒の漆のもりあがりは、できるだけ高いのが良い」 と思っている人が、結構居られるように思います。
しかし、「ほどほどが良い、自然が良い」のです。
加えて、昔の人は、漆の盛り上げの高さには、こだわりはまったくもっていなかったと思うのです。駒の本筋にかかわることではないからです。本筋は、別のところにあり、それについては、機会があればお話ししたいと思います。
 
「ほどほどが良い」。それはなぜか。
その第一は、「漆の文字の盛り上がり過ぎは、上品さが品が無くなる」ということ。
その第2は、「使いずらく、実用には向かない」ということです。
何十年も前のことですが、私の知人で、アマ名人クラスの方が「これは◆◆さん(アマチュアの人)が作った駒だが、漆が高すぎて使いずらい。漆を半分くらいに減らせないか」と持ってこられたので、減らしました。作者は、名前だけは知っていた人ですが、盛り上げは高いのが良いとの一心で作られたもののように思いました。
 
では、実際の盛り上げでは、使う漆の種類や状況で、厚く盛り上がりやすい漆と、あまり盛り上がらない漆があります。それは、漆の粘りっこさの関係です。
元々の生の漆は、サラッとしています。それを不純物を取り除いて、熱を加えて精製して、或る場合は、鉄漿を混ぜて黒漆にしたり、何も混ぜないで透き漆にしたり。それを漆屋さんから買うわけです。精製に時間をかけると、だんだん粘り気が強くなる。実際は、そういったいろいろの漆を使うときに混ぜて、一番良いと思う状態で使うことにしたいのだが、それが難しい。実際は、いつも結果を見てから、良かったとか、イマイチだったとかで、手探りなのです。
 
国産漆は中国産漆の約9倍の値段差があります。
高価な国産漆は、一般的にはあまり盛り上がらりにくい性質を持ち、対して、中国産漆は盛り上がりやすいのです。
余談ですが、私の場合、最後の工程の盛り上げには、断然、国産漆のロイロ漆を使います。理由は、仕上がりの感じが違うからです。
 
 
本日は、以上です。
 
 
 
 
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ある方からの質問

2019-07-28 23:59:29 | 文章
昨夜、ある方から質問がコメントで寄せられました。次の通りです。
 
蒔絵盤に関する疑問
  東京のサントリー美術館で行われている 「遊びの流儀 遊楽図の系譜」にて 葵・浮線菊紋散唐草蒔絵碁盤・将棋盤・双六盤を 単眼鏡を使って細部を鑑賞してきました。 帰りに徳川美術館様にも立ち寄って 菊折枝蒔絵碁盤・将棋盤も観てきました。 気づいた点に関して幾つか教えて頂けないでしょうか?
 1)葵・浮線菊紋散唐草蒔絵の盤は劣化が生じ、 目盛り線の剥離がありました。 剥離した跡には明らかにV字に彫った跡が見えました。 菊折枝蒔絵の盤は目盛りの剥離は見られませんでしたが これもいわゆる「彫り駒」仕様に見えました。 こういった彫り駒あるいは彫り埋め仕様の 盤師が彫刻を施すといった製法もあったのでしょうか?
  2)葵・浮線菊紋散唐草蒔絵の盤のみでしたが 目盛りの星が、まるで赤いマジックで点を打って 少し滲んだような質感でした。 星のみ赤という仕様は他にも例はあるのでしょうか?
 3)菊折枝蒔絵将棋盤と一緒に展示されている 駒は確かに水無瀬兼成さんの書体に似ていて、 しかし、清安の「花押」(?)が駒尻に入っていました。 当時の一流の書家が水無瀬兼成さんの書を 模して制作したという可能性は無いのでしょうか?
 4)江戸の書き駒は現代の盛り上げ駒みたいな 仕上がりになっているものと思っていましたが 文字は木地とツライチの彫り埋めみたいに見えました。 見る角度の問題なのでしょうか? それともそういう漆で書かれているのでしょうか?
 
 以上の質問について、夜にでも間違いがないように、図録を見ながら私なりの見解を述べさせていただきます。
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雛将棋盤と駒木地セット

2019-07-26 04:50:08 | 文章

7月26日(金)、曇り。

昨夜、「雛将棋盤と駒木地セット」について、書きましたところ、中山様、今中様の2名の方からコメントで購入希望をいただきましたので、それぞれ確保いたします。なお、個々へのメールでのご返事は事務煩雑につき、この記述にて返事と致しますので、現金書留にて、希望の明細と代金をお送りください。早々に、駒木地セット整形作業に取り掛かることにいたします。

なお、その他にも購入希望の方がまだいらっしゃるときは、引き続き、コメントでお知らせください。

 

 

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雛将棋盤と、駒木地

2019-07-25 19:28:18 | 販売品

7月25日(木)、晴れのち雨。

梅雨明けかと思っていたら、夕刻は土砂降りの雨。奈良辺りは大雨警報。太平洋にある熱帯低気圧の影響なのでしょうか。

雛将棋盤と、小生作の雛駒「古水無瀬」の映像です。

盤のサイズは30x27センチ。材は榧でなく、ヒバです。厚みは2.5センチ。映像では写りこんでいませんが、盤の裏側の周りには、扱いやすいように、1センチほどの切り欠き(手掛け)が付けてあります。小生手作りのケース付き。

これが3面ありますので、これに雛の駒木地をつけた3組限定で、希望者にお分けしようと思います。駒木地は、実用に優れた薩摩つげ。もちろんこの盤用に成型したもので、予備駒を含めて、玉3枚、飛車角5枚、金銀9枚、桂馬5枚、香車5枚、歩兵22枚の合計49枚と、小生特製の桐箱付けたセットで、消費税、送料込みで45000円です。(駒木地49枚と駒箱のみセットの値段は、2万6千円)

なお、駒木地の整形は普通サイズの駒木地から小さく再整形するので、2週間程度かかります。ご了承ください。                                                     ご希望の方は、まず取り急ぎコメント(非公開扱いです)にてお名前・連絡先などお知らせの上、現金書留めにて、今月中に、ご注文ください。

また、映像にある「古水無瀬」は彫り埋めで、よろしければ、一組限定15万円でお譲りします。桐製の駒箱と友禅の駒袋付き、消費税・送料込み。今月末限りです。

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雛盤と雛の駒型木地

2019-07-24 19:59:58 | 作品

朝、真っ白に垂れこめていた空は、まだらの青空に変化。気温もグングン上昇。ということで、気象庁は「近畿地方は、梅雨明けとみられる」発表しました。いよいよ今年も本格的な暑い季節がやってきます。

中山さんから、以前にアップした雛将棋の盤について、問い合わせをいただきました。一年半ほど経過していて、記憶が薄れていたので、早速、仕事場に入って残っているかどうかを調べましたが、2面とも見当たりません。すでにどなたかにお譲りしたようでした。申し訳ありません。

ところで今、気が付いたのですが、これとは別に30x27センチ(厚さ25ミリ程度)の雛盤を保有しています。これは自作の雛駒用に10何面か作って、3面ほど残してるものです。明日、その映像を撮影して、ブログにアップしようと思います。中山さんからのその後のコメントでは「駒は自作したいので、雛の駒木地も入手できれば・・・」、ということでしたので、2~3週間、日にちをいただければ、この盤に合う大きさで整形した駒木地も一緒に、お渡しできるかと思います。

詳細はあす整理して、ご連絡しますので、コメント(個人情報があるコメントは、非公開)にて連絡先など、お知らせください。

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新作の「源兵衛清安」

2019-07-23 12:51:48 | 作品

出来上がりました「源兵衛清安」。

予備の木地があったので、玉玉王の「三玉」げ作りました。

 

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投票日の一日

2019-07-21 19:17:26 | 文章

7月21日(日)、だいたいは雨でした。

今日は、参議院選の投票日。投票を忘れてはいけないと、出かけた昼食前に、家内と行ってきました。投票所には、見覚えのある役所の人もいました。ご苦労さん。ニュースでは、投票率が低調なのだそうです。

外出の前後は、いつものように仕事でした。漆も固まったので、既に盛り上げていた「水無瀬兼成卿写」の最終研磨。その映像です。

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「水無瀬兼成卿写」と「源兵衛清安」

2019-07-18 19:22:12 | 文章

7月18日(木)、曇りのち雨。

朝は晴れ間も見受けられたので、暫く保留していた「水無瀬兼成卿写」の盛り上げを再開。ですが、午後はいつの間にか雨。ということで、クーラーと除湿機を併用フル稼働して一日が終わりました。

結果は、明日朝です。納期は、一応7月末ということでご了解いただいていますので、それまでには悠々でき上がります。出来上がり次第、映像でアップしますので、暫くお待ち願います。

これが終われば「源兵衛清安」。これも久しぶりの仕上げとなります。

 

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久しぶりの「空蝉」

2019-07-15 19:42:31 | 文章

7月15日(月)、曇りがち、小雨。

まだ、梅雨が明けません。ということで、漆仕事は保留して、彫り終えた駒の磨きとか面取り整形主体の一日でした。久しぶりの「空蝉」です。出来上がれば、映像でアップしようと思っています。おッとその前に「源兵衛清安」の盛り上げの仕上げが待っています。

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駒の写真集

リンク先はこちら」 http://blog.goo.ne.jp/photo/11726