熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
残部僅少ながら、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

ツゲの燻煙

2008-11-30 19:38:23 | 文章
11月30日(日)、晴れ。

金曜日から、ツゲの燻煙を開始しています。
今日は3日目です。
朝、昨日までのツゲを、新しい木地に入れ替えて燻し始めました。
ツゲの燻煙は、ツゲをツゲの削りかすや、木っ端を使います。
これをすることで、木の樹脂がぐっと引き締まって安定し、木の色もよくなります。

駒の世界でこれをやっている人は居るのか居ないのか。
「燻し」のことさえ、余り知られていないと思います。
知っていても面倒なので、わざわざする人は居ないのではないでしょうか。

しかし、駒以外の世界、例えば「つげ櫛」の世界では常識です。
「つげ櫛」で、これをしないと細い櫛の歯が、捩れてしまうからです。
安物のおみやげ品は別として、信用のある「十三や」さんのような櫛専門店では、ツゲは必ず燻して使います。

駒の場合は、昔は燻したツゲを使っていたケースがあります。
それは昔、駒の材料を櫛屋さんが割れたりして櫛に使えなくなったツゲの板を買い集めて、駒にしていました。そのような駒は、年数が経てば、見事なあめ色です。
今は、そういうこともしなくなりました。

ところで、ツゲの燻煙は、大量の煙が出ます。
何でも、炭焼きのとき、炭にする木に混じってツゲの木が紛れこんでいると、焼いた炭にツゲの煙の匂いが付いて、商品の炭にはならないそうです。

写真は、今日の燻煙の様子です。火をつけたところで、まだ出ている煙は大した良ではありません。

とにかく、ツゲの煙は臭くて近所迷惑です。
以前は、隣近所に気兼ねして、冬場の寒い日、どこも窓を開けていない夜、天気が良く風が無く真っ直ぐに煙が立ち昇る夜を選んでやっていましたが、今は裏がJRの線路なので、かなり気が楽です。
最近は日中でもOK。晴れた日で、しかも煙が吹き飛ぶくらいの風の強い日がベストです。
曇の日などにやると、煙が横に広がって、家の中まで臭い煙が入ってきて、咽の奥がたまらなくイガラッポくなってしまいます。

しかし不思議なことに、燻したあとのツゲの木の匂いはいい匂いです。ほっとするような匂い。私は好きな匂いです。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「水無瀬駒」墨書きの謎、考察

2008-11-29 07:11:01 | 文章
11月29日(土)晴、時々にわか雨。

水無瀬駒の墨書きの謎について、早速シンがポールのKさんから「ずばり、下書きでしょう」とのご意見を頂きました。皆さんは、どうお考えですか。


それに対する返事と小生の考えは次のとおりです。

「さて、墨書き駒の件ですが、貴方のお考えを全く否定するわけではありませんが、非常に考えにくいと言えます。
と、言いますのも、水無瀬兼成さんのような達人になると、漆で書くのも墨で書くのもほとんど同じように一筆で書けるのです。

勿論、途中で筆の漆が少なくなると、墨次ぎならぬ、漆次ぎを必要としますが、まあ一筆で書けるのです。

小生の場合も何年か前から、それが出来るようになりました。
そのときの下書きは無用です。
ただし、文字の位置と大きさを揃えるために「見当」といって、書き出しの位置などや終わりの一画の位置の目印を入れる程度の目印を入れておくとか、文字の骨格だけ下書きする方法は使ったりすることはあります。
この場合、全ての点画の下書きではなく、ところどころだけで十分です。

むしろ、全ての点画を下書きしておくと、弊害が生じます。
つまり、上から書いた漆が下書きの文字の上に、いつもぴったり重ねることは不可能です。
はみ出したり、下書きの文字が残ってダブって見えたりして、出来上がりが汚くなるのです。

下書きの上にぴったり漆で書くのは、盛り上げの時のように大変面倒で神経を使う作業で、普通に書くより、5倍くらい時間が掛かりますし、生きた文字にはなりません。

それに、下書きなしで何枚か書くうちに、下書きがなくても位置や形、大きさがきれいに揃って書けてくるのです。この域に達すると、下書きは不要というより、かえって邪魔になります。

例えば、小生の根付もそうですが、先日のブログに掲載した「雛駒」、あれは、下書きもしていないし、見当もつけずに、白紙の木地にそのまま漆で書いたものです。

実際に雛駒の木地は、一組42枚のところ、歩兵と苦手な桂馬だけ1枚づつ多く準備して、その分だけ余計に作りましたが、その他の駒は2枚とか4枚とか丁度必要な枚数だけ、一筆で書きあげました。

盛り上げ駒の場合、表2文字を盛り上げるのに15分くらい掛かりますが、下地が白紙であれば、2~3分で気持ちよく掛けます。
その方が文字も伸びやかで、良い文字になります。

以上のような理由で、「下書き」ということは、非常に考えにくいわけです。

いかがでしょうか。」



別件ですが、頒布品の「字母紙」、少々説明不足でしたので補足説明します。

頒布品の「字母紙」は、小生が使う字母紙そのものではありません。
4年位前、小生がまとめ役になり「駒サロン」参加者の皆さんで分担して作った16種類の字母紙集です。

「菱湖」「源兵衛清安」「空蝉」などの字母紙は、小生が昔、駒づくりを楽しむ会で、木地とともに頒布したもので、今回の分に入っておりますが、「古水無瀬」等以前から小生専用にしているのものはは入っておりません。
あしからずご了承のほど。



「別件2」

もう一つ、「熊澤良尊の写真部屋」というブログを工事中です。
このブログに載せた作品や販売品の写真を集めたものにする予定です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

竜王戦

2008-11-28 20:07:21 | 文章
今期竜王戦は、いよいよ5局目へと進みました。

3局を終えたところでは、0-3と羽生さんに星が偏ったので、5局目があるかどうかと4局目を見守っていたのですが、渡辺さんの勝利で5局目が実現しました。

白浜には行きたいですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駒づくりを楽しむ会会報・合本

2008-11-28 19:13:54 | 販売品
25年ほど前の「駒づくりを楽しむ会」会報の合本です。
昭和52年からおよそ11年間以上、年4回程度発行した会報1号から、50号までの約400ページを1冊にしたものです。

5年ほど前に「駒サロン」参加者の要望もあって合本にしました。
そのときの残りが20冊ほどあります。
内容は、駒の話・駒作りの話・駒書体コンテストの応募作品など、駒にまつわる話題が満載で、3回実施した「駒書体コンテスト」の書体70作品ほども収録してあります。駒づくりをされる方には、良いバイブルになるかと思います。

在庫がなくなりました。
悪しからず。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古水無瀬

2008-11-26 20:18:08 | 文章
新作の「古水無瀬・彫埋め」。
材は御蔵島ツゲ柾目のオーダー品です。

ご予算のこともあって、彫埋めですが、「玉将」と「王将」は盛上げです。
銘は「良尊刻」。価格は盛り上げのおよそ半額です。
小生の場合、彫り埋めは数は少ないですが、オーダーがあれば作っています。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

兼成筆・中将棋駒

2008-11-26 19:34:20 | 文章
水無瀬神宮に伝えられた「兼成筆・中将棋駒」です。
一方の「玉将」尻には、「八十六才」と書かれています。
一組92枚のところ91枚。「歩兵」が1枚足りません。

材は、ツゲ。堂々とした文字は漆書きでなく墨書です。墨書の兼成筆の駒は、初めて見ました。
なぜ漆書きでなく墨書なのか、理由は分かりません。
小生にとって、新たな研究テーマが出来ました。

本日の参加者は、名古屋から鬼頭さんと三輪さん。福井から川井さん。大阪から古作さんと田中さん、掃部さん、富田さんと、もうひと方(宮居さんでした)。
富田さんは将棋連盟職員で、宮居さんとともに、中将棋の指し手です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水無瀬駒の文化財保護審議会諮問書(案)

2008-11-24 23:09:57 | 文章
 島本町・文化財保護審議会諮問書(案)を作ってみました。
 以下は、4つのうちの(その1)です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 
  文化財の名称 : 水無瀬駒(その1)、「八十二才」銘・小将棋駒

1、素材・形状
   黄楊(つげ)製、文字は黒漆書き。(堅木製の駒箱入り)
   正面から見た駒形は、先が細く薄く、手前が幅広肉厚の端正な五角形。

2、種類・員数・法量
 「小将棋」は現在の将棋と同じ。江戸時代以前は「少将棋」とも。
   [玉将]2枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)一方の底に「八十二才」の銘。
   [飛車]1枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)裏は「龍王」。
   [角行]2枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)裏は「龍馬」。
   [金将]4枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)。
   [銀将]4枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)裏は「金」。
   [桂馬]4枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)裏は「金」。
   [香車]4枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)裏は「金」。
   [歩兵]4枚、(全高  、裾巾  、底厚  、天厚  ミリ)裏は「金」。
   合計 39枚。(本来1組40枚中、飛車1枚が欠落)

3、製作年代と作者
  1595(文禄4)年。水無瀬兼成(安土桃山時代の公卿、権中納言)82歳の作。

4、(町)重要文化財推挙事由
  1)作者と作年が特定できる伝世最古の将棋駒として歴史的価値が高い。
   (注) 前項のとおり413年前、1595年の作。
     これより古い駒は土中から発掘品。自給自足の粗末な雑木造りが多い。
     高級駒の最適材として黄楊が用いられた初期の実証品でもある。

  2)能筆を謳われた権中納言・水無瀬兼成の漆書きの優雅な筆跡は、黄楊製の端正な駒形      
     と相俟って、安土桃山時代の古筆として美術工芸的価値が高い。
    (注) 水無瀬兼成の筆跡は「慶安手鑑」にあり。
      「駒の銘は水無瀬家の筆を以て宝とす。免許なきもの弄すべからず・・」(長春随筆)。
               
 3)当時上流社会で自家用、贈答にも持て囃された水無瀬駒は当地で製せられ、   
    本品は製造元たる水無瀬神宮(水無瀬家)にて代々伝えられた品である。
   (注)「摂津、将棋駒」の記述あり(毛吹草)。
       「駒は水無瀬を家とす・・」(萩原随筆)。
       兼成の水無瀬駒は少なくとも735組が製せられ、譲渡先には天皇(後陽成)、
      関白(秀次)、道休(足利義昭)、公卿衆、大名、高名な武将たちが
       繰返し入手するなど、中でも徳川家康には53組が渡る(将棊馬日記) 

  4)先が細く薄く手前が肉厚幅広な駒形は、兼成が確立させ、以後の高級駒はこれに倣い、
      今日の高級駒のルーツとして大きな影響を与えている。
     (注) より古い発掘品は、薄っぺらなずん胴形。
        江戸時代、駒形と文字を模した「水無瀬形」や「兼成卿写」の駒が造られたり、
       現代の高級駒「水無瀬書」の原始となっている。

  5)兼成作水無瀬駒は7組が現存し、内1組は国宝に指定されている。
    (注)「国宝・初音胡蝶蒔絵調度(徳川美術館蔵)にある小将棋駒」。
 
5、兼成作水無瀬駒は上記のほか、
    ・将棋所大橋家伝来「黄楊製、伝・秀次愛用の小将棋駒」(名人・木村家蔵)
    ・加藤清正ゆかり本妙寺寺宝「黄楊製、中将棋駒」(熊本県・本妙寺蔵)
    ・足利義昭発注品「象牙製、八十五才銘の小将棋駒」(福井県・個人蔵)
    などが現存する。   
                                 
                              [ 記述者 熊澤良尊 ]
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

錦旗

2008-11-21 19:49:29 | 作品
11月21日(金)、朝快晴なるも、急速に曇り、のち雨に。

朝から島本町から依頼された水無瀬駒の資料「文化財諮問調書」の作成作業。
調書は「八十二才」の駒、新たに見つかった中将棋駒、中将棋駒残欠、将棋図の4枚。夕刻までにほぼ原形を書き上げ、本日は終了。

「錦旗」。引き出しに入れたまま、ブログに未掲載につき遅まきながら掲載します。材は御蔵島つげ杢。

明日と明後日は富山行きです。
北国の雪に備えて、本日スノータイヤに交換しました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀将も出来ました

2008-11-14 20:11:26 | 文章
11月14日(金)、2日続きで快晴。

人形駒「銀将」が出来上がりました。
昨日の「香車」とともに写真に撮りました。
内側の2つが、補充作。外側が原形モデルです。

「香車」と「銀将」がなくなってしまったのが忍びなくて、自ら修復製作を買って出て3年余り、やっと作り上げることが出来ました。
これら武者人形駒は、16日の「将棋の日」、将棋会館での講演会会場で、410年前の水無瀬兼成筆象牙駒と一緒にご覧頂きます。
講演は、12時30分開始です。
テーマは、「水無瀬駒」です。興味のある方、是非おいでください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

香車が出来上がりました

2008-11-13 19:14:19 | 文章
写真は、武者人形駒。手前右が原型、左が補修(補充)製作したものです。
後ろは銀将の原型と、作りかけの馬です。今日の夕方現在の姿です。
大きさは約4センチ。土台の部分は普通の駒とほぼ同じ大きさです。駒台の上に乗せて撮りました。
なお、横のプロフィルのぼやけたような写真は、組み立て前の人形の頭。
小さいので、爪楊枝の先に固定して写真を撮ったものです。

出来上がった香車の顔は少し目鼻立ちが原型に比べてややケバいので、明日もう少し薄めに修正しようと思っています。
手にしている得物は、香車らしく槍にしました。

銀将の馬は飾りや鞍、目鼻を描いたり、騎馬武者の鎧、頭の取り付けと両者を合体させるところ残っていますが、何とか明日中には完成させることが出来ると思います。

ここまでで難しかったことは、大きさを原形に合わせて作ることでした。
それと、馬をそれらしく作ることですネ。まだまだ時間があれば、それらしくなったのだろうと思います。
銀将は明日、映像でレポート致します。

別件ですが、あさっての「駒サロン」ですが、大阪府島本町が昭和34年に作った「水無瀬駒」という小冊子をコピーして皆さんに配ろうと思っています。
ここには、中将棋の写真が載っていますが、小生が水無瀬神宮を初めて訊ねたときには行方が分からないままになっていました。
それが、このほど見つかったと連絡があり、来週、拝見させていただくことになリましたので、写真でご紹介できると思います。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

駒の写真集

リンク先はこちら」 http://blog.goo.ne.jp/photo/11726