きょうは一篇の詩を紹介します。
さまようものら
ねぐらに帰らないカラスが増えている
夕刻
電線に集まってきて
そこで夜を明かすのだ
(七つの子との約束はどうしたのだろうか)
おびただしいその数に
ひとは首をすくめて通り過ぎる
ビルの谷間
地べたにたむろするヒヨコたち
うち?
つまんなぁい
おかね?
なぁーい あははは
ごはん?
ここにいればだれかが声かけてくる
しんぱいなぁーい
薄っぺらな服装に病人のような化粧
ケータイがずっと光ったままだ
陣を敷いたまま
とつぜん、総大将が退散した
胃腸の具合が悪かったということらしいが
行き場を失くした沢山の美しいコトバたちは
浮遊霊となって秋の空をさまよっている
約束はなにひとつ果たされないまま
一斉に番ふとんぼう日和かな やす