二月に入って、親しい人が相次いで亡くなった。
二人とも自ら命を絶って・・・・・・
未だ50代半ばの有能な男たちであった。
昨年の夏には抱えきれないほど巨大な西瓜を
秋には新米を担いでやってきた。
30年ぶりの再会であったが
年月はたちまちフラッシュバックして
君もぼくも若き日のウェルテルに戻っていった。
ぼくのやっていたレストランで暖炉を囲み
恋愛論や芸術論、あるいは文学や政治について
夜の白むまで語り明かした仲だった。
それが突然・・・・
昨日、別な用件があって電話をしたら
奥さんが出て、今しがた亡くなったばかりだと言う。
〈 主人はマスターから贈られた詩集をとても喜んでいました 〉と
悲しみを押しころしながら話してくれた。
君がよくよく決断したことに
何一つ言葉をさしはさむ余地はないが
それにしても何故、今なのか!・・・・・
春になったら再たやってきてくれるものと心待ちにしていた。
はにかみながら 〈 ぼくが作ったから 〉と、野菜をいっぱい抱えて・・・・。
沈黙の受話器を耳に冴え返る やす