一日二回猫の餌を食べに
白いスマートな犬が庭にやってくる。
首輪はしてないが何処かで飼われているような
おとなしく品の良い犬。
わが家ではタローとよぶことにしている。
猫たちも騒ぐことなく
餌を食べるのを近くで見守っているが
ネムに見つかると大変!
この猫だけは気が荒く
屋敷は自分が守っているといわんばかりに
タローを威嚇する。
タローもなんとか餌に有りつこうと
わん、わん、吠えるのだが
ネムは器を前にして一向にひるまない。
自分の体の三分の一ほどしかない小さな相手でも
油断するとデリケートな鼻面に
強烈な猫パンチが飛んでくる。
とうとう諦めてすごすご帰っていくタローの姿が
憐れ。
ネムに気づかれないよう
別の器にたっぷり入れて呼びもどしてやる。
ところで、姫シロさまは
スマートなタローにめろめろ。
姿を見つけると
タロサマ、タロサマと、まるで韓流もどき。
ガラス戸に体を擦りつけては甘えた声で鳴く。
一方、タローの方は箱入り娘などに関心がなく
満足しながら横眼もふれず帰っていく。
しばらくはシロさまの片想いがつづきそうだ。
猫がゐて婆がゐてこそ秋日向