藪椿
「鬼が来る!」 と
押し入ってきては勝手に
ふとんをかぶり
中で念仏など唱える女
ぼくら家族は黙々と
塩引きで昼ごはん
女は
裏の藪に独りで住んでいる
連れ合いは
南の島で戦死した
椿が咲くと
脳ミソを食いに
鬼がやってくるという
ぽとぽとぽとぽと
藪が血をしたヽらせ
女だけに見えている鬼のすがた
白い人たちに連れられて
居なくなることもあるが
いつの間にか藪に戻ってきている
行き先を尋ねると
「お・に・た・い・じ」と
髪を掻きながら仏のように
やわらかくわらう
むこう三軒
あぶない女もお隣さんの戦後の昭和
だれもが貧しく
だれもがかなしく
村のあちこち
藪椿がたくさん咲いていた
ぼくは茶をやりませんので、気づきませんでした。でも確かに野点と書きますね。
ところでぼくの叔父は枚方にアトリエを構えていたので、あなたの関西弁をとても懐かしく思います。
貴人点ってこんな字書くんです。
かんにん・・すんませーん。
気ぃついてはりました・・??
何のことかいな、おもわはったでしょう・・・。
藪椿
椿が咲くと鬼が来る
ぽとぽとぽと・・と
藪が血をしたたらせ・・・
以前、いつもの散歩道(海抜200M位の小山)に、「はっ」とするほどまっかにその大木を染めて、椿がさいていた事がありました。
咲くほどに、ぽとぽと・・・と花は落ち、辺り一面が、血に染まったようでした・・・
でも・・・、我が知るやぶ椿は、あくまで清楚なお茶花なんですよねぇ~・・・
お茶のおけいこで、お床拝見のおり、すっ”と一輪花入れに入れられた・・・質素なやぶつばき。
「今日のお手前は、何だろう・・・貴人立てかしら?」などと考えながら、見ていた頃がなつかしい・・・