ドント・ルック・パック 2005-07-04 00:21:37 | 詩 壊れたおもちゃ箱 舞台の隅にすてられ あれやこれや はみ出している「時間の滓」 怒りと悲しみ 栄光と零落 文明のあやつり人形 ちいさくちいさく縮んでいく フロックコート 跳ねながら 回りながら 昨日が光速で消える ドント・ルック・パック 昨日の自分を掴むことはできない ふりかえるな! そこに見るのは「時間の滓」 卓とイスと 一枚の皿があればいい 喝采に舞い上がった日 ブーイングに泣いた日 ドント・ルック・パック 昨日という 銀河のかなた *マリ・クロード・ピエトロガ フランス モダンバレリーナ
昼寝覚め 2005-07-03 22:22:23 | 詩 い草の青い海 ゆらめく意識の縁を 撫でているふうりんの風 会いたい人に会えて 賑わうさっきまでの世界 ゆるやかに ふわふわ語る なつかしい人たち でもどうしたのかしら うれしくて泣いたのに 声がしない 花が揺れ 音曲が流れているのに 音がしない たしかに 手を握り合ったのに ぬくもりがしない 目覚めながら ぼんやり 釣り忍を仰いでいて ここがどこかわからない
盆の道 2005-07-03 22:04:35 | 詩 よいしょと立ち上がる すうっと背中がかるくなって 爺ちゃ 婆ちゃがおぶさってくる よみがえる あのふわふわ 妻の背には父 ぼくの背中にはだあれ ゆうぐれの草の道 細くすずしい風が うなじを優しく くすぐるものだから ぼくは黙って なんどもなんども 頷いてやる 向うから お迎えのおさななじみ ちょうちんの灯に 頬を染め そっと会釈して すれちがう
おかしな話三題 2005-07-03 15:52:52 | 詩 一 「おかしな話だ」 犬を引いていた男が言う 「おかしな話だ」 スコッチを飲んでいた男が言う 風が吹いて 砂塵がとんで おかしな話は ほんとうにおかしな話となって 世界を駆け巡る 二 音を出したのはおれだ 右のてんひらが主張する 冗談じゃない! 音を出したのはおれの方だ 左のてのひらが抗議する お賽銭がころころ笑う 三 人間は神を知ったときから 殺し合いが始まった 自分がいちばん神に近いと 思い込んで