ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

       天使

2005-07-04 08:47:44 | 



           満開の

           さくらの下

           寝かされて

           赤ん坊が

           わらっている

           ちいさな手

           天に向け

           のんのさま

           と

           おしゃべり


ドント・ルック・パック

2005-07-04 00:21:37 | 
          壊れたおもちゃ箱
 
          舞台の隅にすてられ

          あれやこれや

          はみ出している「時間の滓」

          怒りと悲しみ

          栄光と零落

          文明のあやつり人形

          ちいさくちいさく縮んでいく

          フロックコート

          跳ねながら

          回りながら

          昨日が光速で消える

            ドント・ルック・パック

          昨日の自分を掴むことはできない

          ふりかえるな!

          そこに見るのは「時間の滓」

          卓とイスと

          一枚の皿があればいい

          喝采に舞い上がった日

          ブーイングに泣いた日

            ドント・ルック・パック

          昨日という

          銀河のかなた


  *マリ・クロード・ピエトロガ
    フランス モダンバレリーナ




     昼寝覚め

2005-07-03 22:22:23 | 
          い草の青い海

          ゆらめく意識の縁を

          撫でているふうりんの風

          会いたい人に会えて

          賑わうさっきまでの世界

          ゆるやかに

          ふわふわ語る

          なつかしい人たち

          でもどうしたのかしら

          うれしくて泣いたのに

          声がしない

          花が揺れ

          音曲が流れているのに

          音がしない

          たしかに

          手を握り合ったのに

          ぬくもりがしない

          目覚めながら

          ぼんやり

          釣り忍を仰いでいて

          ここがどこかわからない


盆の道

2005-07-03 22:04:35 | 


          よいしょと立ち上がる

          すうっと背中がかるくなって

          爺ちゃ

          婆ちゃがおぶさってくる

          よみがえる

          あのふわふわ

          妻の背には父

          ぼくの背中にはだあれ

          ゆうぐれの草の道

          細くすずしい風が

          うなじを優しく

          くすぐるものだから

          ぼくは黙って

          なんどもなんども

          頷いてやる

          向うから

          お迎えのおさななじみ

          ちょうちんの灯に

          頬を染め

          そっと会釈して

          すれちがう




おかしな話三題

2005-07-03 15:52:52 | 
                一
          「おかしな話だ」
          犬を引いていた男が言う
          「おかしな話だ」
          スコッチを飲んでいた男が言う
          風が吹いて
          砂塵がとんで
          おかしな話は
          ほんとうにおかしな話となって
          世界を駆け巡る

                二
          音を出したのはおれだ
          右のてんひらが主張する
          冗談じゃない!
          音を出したのはおれの方だ
          左のてのひらが抗議する
   
          お賽銭がころころ笑う

                三
          人間は神を知ったときから
          殺し合いが始まった
          自分がいちばん神に近いと
          思い込んで