2019/04/17
いつも行く図書館の「冬季スポーツ」の棚でこの本を見つけました。
2018年2月10日発行といえば、昨年の平昌オリンピックに合わせての発行ですね。こんな本が発行されていたとは知らなかった。
2018年2月10日発行といえば、昨年の平昌オリンピックに合わせての発行ですね。こんな本が発行されていたとは知らなかった。
早速読んでみました。
なぜ、1年も経つのに、この本は数あるフィギュアスケートのブログで紹介されなかったのでしょう。
鈴木ふさ子さんという方も、かなり前から語学力を生かして海外スケーターの取材をして、フィギュア雑誌に記事も書いていらっしゃるらしいのに、なぜ私はお名前を存じ上げませんでした。
この本がフィギュア本というより、ご本人が書いていらっしゃるように〈美の評論〉、「 フィギュアスケートという芸術に材を取ったいわば印象批評的な美の記録」だからでしょうか。
美しい男子スケーターたちを、文学の主人公と結びつけて書いています。
羽生結弦 ―怜悧な眼差しのロミオ
高橋大輔 ―悩める王子、ハムレット
ブライアン・ジュベール ―恋をしないラーンスロット
トマシュ・ベルネル ―彷徨える青春、ランボー
ジョニー・ウィアー ―氷上のドリアン・グレイ
私は大変におもしろく読みました。
ご本人はフィギュアスケートのライターという以前に、かなりのファンであるとお見受けしました。
羽生さんの項では「あ、16歳の羽生君に堕ちてしまったのね」と思わせ、高橋大ちゃんの項では、「いやいや、ずっと大ちゃんファンだったんだ」と思わせ、ジュベールの瞳に男を感じて戸惑う作者、トマシュの誠実な人柄に惚れ、ジョニーの美しさと悩みにため息をつく。
ジョニーのドリアン・グレイを本の題名にしているので、ジョニーに最も気持ちが入っているのかな。
作者とフィギュアスケートとの出会いについて、こんなふうに書かれています。
「2006年 トリノの冬季オリンピックで、ジョニー・ウィアーのフリ―『オトナル―秋に寄せて』の演技に魅せられた。無惨な結果に終わったフリー。 類まれな美しいスケーターの挫折ほど、当時の私の心に呼応するものはなかった。この時以来、蜜月が始まった。」
スケーターたちの悩みも苦しみも含めて、魅力的に描かれています。
私としては、無邪気な16歳の羽生君の姿が一番おもしろかったですよ。