はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

如月サラ著『父がひとりで死んでいた』 

2022年11月23日 | 
2022/11/23



ショッキングな題名が目にとまり
本を手に取りました。

「ある寒い冬の日、遠く離れて暮らす父が
孤独死していた」

84歳のお父さんをひとりで死なせてしまった。
そして、それに1週間気づかなかった。

あとがきに「この本は父への詫び状です」
とありました。

私の両親も夫の両親も
既に他界していますが
それでも他人事でないような気になって
身につまされました。


 

本書を書くきっかけとなったのはnoteへの投稿。

父の死後、自責の念に駆られ
自分の思いをnoteに書いたところ
翌朝、アクセス数が数万に増えていて
同じような状況になりそうだと不安を
抱えている人が多いことを知ったそうです。

自分の気持ちの整理と
読んだ人が少しでも役に立つことがあれば
という気持ちで書いた、とあります。

副題は
「離れて暮らす親のために今できること」



著者の如月サラさんは
東京で一人暮らす50代のフリー編集者。

故郷で独り暮らしをしていた父には
1ヶ月に1度しか連絡をしていませんでした。

長年、夫婦2人暮らしだった両親。

母が熱中症で救急搬送されたことから
レピー小体型認知症とわかり
即刻、入院したのです。

父はそれを認めておらず
サラさんと話せばけんかになるので
距離をおいていたのでした。

コロナ禍で移動も制限されていた時期
でもありました。

母の入院から半年後、大丈夫だと思っていた父は
家で孤独死していました。


葬式、事務処理、相続、実家の片付け
実家の飼い猫4匹の引き取りなど
多くの作業が待っていました。

サラさんはひとりっ子で
お母さんは認知症で施設に入っているので
頼る人はいませんでした。

ですが、友人たちにも助けられたと
サラさんは書いています。


「自分の気持ちと他の人の気持ちを共有することが
何よりのケアだということ」

「誰もがいつか直面するであろう介護や相続について
親が元気なうちから備えて
おかなければならなかった」


なぜ、もっと気にかけてあげなかったのだろうと
悔いを残したサラさんに
「お父さんとはそういう関係性だったのだ」
と言った人がいたそうです。

私も、その言葉が印象に残って
そういうことなんだろうなと思いました。

家族の中で長い間かかってできた関係性は
ちっとやそっとでは変えられないのです。


私は、青木さやかさんのことを思い出しました。
青木さんの本も読んでいました。

青木さんは母親との関係性に苦労しながらも
終末期は意識して演技をしていたそうです。

そういう努力、誠意の表し方を
自分に課すこともありだと思いました。

病気がちな高齢の親がいる場合には
多少感情的な軋轢はあったとしても
別れの日はそんなに先のことではないはず。


 

終末期、そして送った後も心穏やかに
過ごすためには
親も子も元気なうちから
何をしておくべきか
優先順位は何なのか
意識して準備をすることが必要ですね。







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