2022/09/06
本の紹介です。
ほとんどしゃべっているような
文章のおもしろさ。
と思ったら、それもそのはず。
ウェブマガジンNews picksの
ロング・インタビューをもとに
再構成したものだそうです。
着眼点のおもしろさ。
解釈のおもしろさ。
スピリチュアルな部分もかなりあり
科学的根拠はわからないけれど
「〇〇とはこういうものです」
と言われると
「なるほど、そうだったのか」
と納得してしまう。
内田氏は1950年生まれですが
50年代の東京の下町
当時の日比谷高校の学友
東大駒場寮の話
助手という研究者生活
大学教員採用試験に32回落ちたこと
神戸での大学教員生活
父子家庭の子育て
「時代の空気」を知るうえで役に立つ証言が
できればいいかなと思ったと
できればいいかなと思ったと
書いています。
上にあげたものはどれも
「へぇ、そうなんだ」と興味深かったです。
上にあげたものはどれも
「へぇ、そうなんだ」と興味深かったです。
HPの立ち上げから
それがもとで本の出版に至る
内田氏は1998年代からHPを始めています。
これはわりと早い方でしょうね。
これはわりと早い方でしょうね。
発信したいことが山のようにあったそうで
元々書くことが好きな人だったんですね。
60年代後半から70年代の大学の雰囲気
当時の大学の教養主義とか。
思想の潮流とか。
出版社のこととか、本の編集とか。
夫のやっていたことと重なる部分もあり
昔の夫を知る手掛かりになったり
しました。
内田氏のものの考え方は
合気道から学んだことが大きいように
感じられますが
そもそも合気道を学びたいと思い
それが何十年も続き
自宅兼道場まで建てていることを思うと
もともと合気道と近しい心性が
あったのでしょう。
「第3章 生きていくのに、一番大切な能力」
に書かれているアドバイスの数々。
ここが一番面白かった。
世の常識からするとちょっと斜に構えている。
しかし、そうかもしれないなと
思わせられてしまう。
しかし全体を読むと、昔ながらの
世話好きオジサンが
「こうしたほうがいいよ」と
言っているような雰囲気もあります。
引用させていただきます。
・・・・・・・・・
「侍は用事のない所には行かない。」
というのは多田先生(合気道)の教えでもあります。
トラブルというのは、
いなくてもいいときに、
いなくてもいいところにいるせいで起きるものです。
トラブルというのはまさに
不適切な時間と場所の産物なんです。
どこにいっても長居は無用です。
用事が終わったら、さっと立ち上がって、さっと帰る。
(P.196∼197)
決断とか選択は
できるだけしないほうがいいと思う。
右の道に行くか、左の道に行くか
選択に悩むというのは、
すでにそれまでにたくさんの選択ミスを
犯してきたことの帰結です。
普通に自然な流れにそって道を歩いてきたら、
「どちらに行こうか」と
悩むということは起こりません。
決断を下さなくてはいけない状況に
立ち至ったというのは、
今悩むべき「問題」ではなくて、
実はこれまでしてきたことの「答え」なのです。
やりたくないことはやらないほうがいい。
稽古に行くつもりだったけど、朝起きてみたら
「なんとなく行きたくないな」と思ったら、
その直感を優先したほうがいい。
身体が「行ってはいけない」と
アラームを鳴らしているんです。
体が行きたくないと
警告を発しているのを無視して、
いわば「アラームを切って」
出かけているわけですから、
センサーが働かない。
要らぬトラブルに巻き込まれる。
(P.203)
「自分らしさ」が際立つのは、
「なんとなく」選択した場合においてです。
特に計画もなく計算もなく、
意図もなくしたことにおいて
「自分らしさ」は鮮やかな輪郭を刻む。(P.213)
いつも頼まれ仕事が転機になった。
自分からやらせてくださいと頼んだことはない。
「そんな仕事僕にできるかな。
(したことないし)」
と思いながらも引き受けたことが
きっかけになって、
予測もしなかった繋がりが成立し、
自分が蔵していた思いがけない
潜在的な資質を発見した。
若い人に話すときには
「決断するときに、
その理由がはっきり言えることは
どちらかというと選択しないほうがいい」
と申し上げる。
自分が本当にしたいことについては
すらすら理由が言えるはずがない。
(P.234)
心と直感に従ってなんとなく選択する。
理由はうまく言えないけど、
なんとなくやりたいことを選択的にやったほうがいい。
それが実は自分がいちばんしたかったことだった
とは後になってわかる。
・・・・・・・・・・・
ずっと読んでいくと
外向性とおしゃべりと柔軟性、行動力。
自分を枠にはめていないところが
内田氏の成功の秘訣かなと感じました。