古来より桜の名所として有名な桜川市の雨引観音は、雨引山、加波山、足尾山などの連山の一画にあり、その位置する山腹の約3,000本の桜が満開の頃には一帯を桜色に染めます。
正式には雨引山楽法寺といい、587年に中国から帰化した法輪独守居士が開山、本尊に延命観世音菩薩(国指定重要文化財)が安置されおり、「一に安産 二に子育よ、三に桜の楽法寺」と昔から桜とともに安産・子育てや厄除け延命にご利益があると親しまれてきました。
仁王門は、1254年宗尊親王の建立した門で、鎌倉時代の仏師康慶の彫刻した阿吽の仁王尊二躯を祠っています。現在の建物は、1628年再建のもので、茨城県指定文化財です。
鐘楼堂は、1254年宗尊親王の御願によって建立し、その後1682年に再建、その後大破したため1830年(文政13年)に再度建立したもので、昭和50年瓦葺きに葺き替えられましたたが、他は文政年中建設当時のものです。
桜に覆われた打込み接ぎの石垣は、まるで古城のような威厳があり、江戸時代には徳川幕府からの厚い庇護を受けてきた格式の高さが感じられます。
見下ろせば南東に広がる旧真壁町は石の生産地として有名で、このお寺の有力なスポンサーが多かったかもしれません。遠くに名峰筑波山が見えます。