顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

二人静と一人静

2017年05月22日 | 季節の花

貰ってきたフタリシズカ(二人静)が庭の木陰で咲いています。センリョウ科の多年草で、名前は謡曲「二人静」に由来し、2本の花穂を静御前とその亡霊の舞う姿になぞらえたものといわれます。粒状の白い花は、3本の幅広い雄蕊が内側に巻いて花のように見えるもので、花弁は付いていません。
花穂の数が多い、三人静や五人静も見られますが、五人になると、姦し(かしまし)とでも言うのでしょうか。

隣には、本家のヒトリシズカ(一人静)、同じセンリョウ科の多年草ですが、花期は1か月ほど早く、すでに実になっています。葉の形などはよく似ていますが、花は糸状の白い花がブラシのように咲き、見た目は全然違います。これも白い糸状の部分は雄蕊で花弁や萼はありません。
静御前が一人で舞っている姿を連想して付けられたと言われますが、名前負けしているような地味な花です。

二人静ひとり静よりさびし  角川照子
一人静こぞりて咲くもしずかなり  佐浦久江