顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

偕楽園萩まつり 2017

2017年09月14日 | 水戸の観光
第50回になる偕楽園の萩まつりが9月20日まで行われています。
水戸藩第9代藩主徳川斉昭公が、開園時に仙台藩から譲り受けた宮城野萩の他、山萩、江戸白萩、日光白萩、丸葉萩の5種類、何株かを寄せ植えした群が約750群あり、涼しげに咲き競います。

また、まつり期間中は毎日、偕楽園の開園時間を夜9時まで延長し萩をライトアップしています。
萩はマメ科の落葉低木、偕楽園では10月末頃にすべて刈ってしまい、その枝を竹林周りの柴垣(萩垣)の材料とします。残った株から春にたくさん芽を出すため、生え木と呼ばれ、それがハギに転化したといわれています。

さて、マメ科の花のかたちを蝶形花冠といい、5弁の花びらにはすべて名前が付いています。

旗弁(きべん・はたべん)は、最も大きく,目立つ花弁で昆虫を呼び寄せる役目をします。翼弁(よくべん)は鳥の翼にたとえた左右の花弁、舟弁(しゅうへん)は舟の形の下部の花弁で二枚合わさった中に蕊が隠れています。
蜜の在り処を示すランドマーク(蜜標)は旗弁の根元にあり、昆虫が顔を突っ込んで蜜を吸う時の足場が翼弁で、その時に昆虫の腹に押されて舟弁が開き雄蕊、雌蕊が昆虫に触れて受粉するという自然の仕組みになっているそうです。

いつ刈ると問はるる萩を不憫とす  後藤夜半
さびしさをこぼれて見せつ萩の露  立羽不角
猪も抱かれて萩のひと夜かな  高尾太夫


なお、梅の花に雄蕊の一部が花弁になる旗弁現象が見られます。昆虫を呼ぶためにさらに高く旗を上げるのか、その理由は解明されていませんが、種類によっては数多く見られ面白いので説明させていただくことがあります。