顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

秋の色を探して…②

2017年11月11日 | 季節の花

秋の色といえばやっぱりモミジ(紅葉)、殆どがイロハモミジという種類のようですが、紅く色付いたものの総称のように使われています。(茨城県歴史館)
散りがてに粧ひがてに冬紅葉  後藤夜半
枝々を透きて日の照る紅葉かな  久保田万太郎


紅くなった葉だけでなく、まだ緑の色などが交じるとまさに錦繍の趣になります。(偕楽園公園・もみじ谷)
紅葉してしばし日の照る谷間かな  村上鬼城
ちる紅葉ちらぬ紅葉はまだ青し  正岡子規

最近街路樹に多く見かけるモミジ葉楓(アメリカ楓)、カエデ(楓)もモミジも同じ仲間のカエデ属ですが、葉が5~7片に切れ込むモミジに対して、カエデはカエルの手(名前の由来)のような葉です。(水戸市東部工業団地)

杉の木を飾るツタウルシ(蔦漆)は名前の通りツル性で、気根が大木に絡みながら上に伸び紅葉が綺麗ですが、木のウルシよりも強いかぶれ成分なので、落ち葉も拾わないほうがいいようです。(護国神社裏)

ニシキギ(錦木)は紅葉の美しさを錦にたとえて名がついたほど、鮮やかな濃紅色の葉がひときわ目立ちます。枝に翼が付くことからカミソリの木とも呼ばれます。

クロガネモチ(黒鉄黐)は花の少ない時期に赤い実をいっぱい付けます。「苦労がなく金持ち」の語呂合わせで縁起のいい庭木として人気があります。

ドウダンツツジ(灯台躑躅・満天星)は春に咲く白い壺形のかわいらしい小花もさることながら、秋の紅葉の美しさで生け垣などに使われています。

黄葉の代表はやはりイチョウ(銀杏)、雌雄異株のため公園などは実の落ちない雄株を選んで植えますが、苗段階での見分けが難しく最近では接ぎ木の雄苗を植えると聞きました。(茨城県歴史館)

ところで冬の季語、落ち葉と枯葉の違いは?落葉は散った木の葉、枯葉は枯れた葉と歳時記の出だしの説明ですが、枯葉は地に落ちたばかりは生々しいがやがてカサカサに渇き文字通り枯葉になってしまう、枯葉の場合は落ちずにまだ枝に残っているものもあると書かれています。
さびしさにたへし跡ふむ落葉哉  西山宗因
つかのまにくもり果てたる落葉かな  久保田万太郎


ということは、枯葉は枝についているもの、落ちつつあるものの他に、落ちたものでも質感と重量感の違いで詠むとすれば、こちらの方は枯葉になるような気がします。イブ・モンタンのシャンソン「枯葉」の歌詞訳にも「♪シャベルに集められた枯葉~♬」という一節があります。
降り積めば枯葉も心温もらす  鈴木真砂女
枯葉一枚はりつく石の化石めき  山口青邨