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平成4年に茨城県住宅供給公社(その後経営破綻)が高級住宅地として分譲を開始した百合ケ丘ニュータウンは、53.2ha、912戸の大規模団地で、ブロックなどの塀を廃して生け垣などを推奨した画期的な街づくりが当時話題になりました。
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その北西にある六反田池を含む北街区公園一帯は、豊かな自然を残した緑地帯です。いま訪れる人もまばらな中で、街中とは思えないほどの見事な紅葉を惜しげもなく見せています。
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いたるところに驚くほどしっかりした敷石や石の階段、木製のデッキが贅沢に設置されており、確かに高級住宅地のコンセプトにはしっかと合ってはいます。
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この巨大な橋の片側は行き止まりで道路がありません。現代建築の粋を集めたような立派な構造物が、どのような経緯で出来上がりしかも何年もの間不思議がられずに存在していることに驚いてしまいます。
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しかし自然はそんなことお構いなしに、公園の中で秋の顔を見せてくれます。
アキグミ(秋茱萸)は少年時代のおやつ、今摘むとその酸っぱさに顔をしかめますが。
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ガマズミ(莢蒾)も同じく少年時代のおやつ、ヨツズミと呼んで霜が降ると甘くなると言われていましたが、酸っぱさだけの記憶しかありません。
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スズメウリ(雀瓜)、灰白色の実は雀の卵に似ているからの命名との説もあります。
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ゴンズイは、ヒレに毒を持つ小魚のゴンズイから、何の役にも立たないという意味で名がついたそうですが、とんでもない!秋の山をしっかり彩っています。
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ヘクソカズラ(屁糞葛)の実、なんとも哀れな名は葉や茎に異臭があるからで、黄熟した実は昔からしもやけ、あかぎれなどの外用薬として知られています・。
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ウメモドキ(梅擬)は葉の形や枝の出方が梅に似ているから名が付きましたが、雌雄異株のモチノキの仲間です。晩秋いつまでも赤い実が残って小鳥の餌になり、排泄された種子からが発芽条件という自然の仕組みになっているそうです。
日が当り囀りさうな梅擬 高澤良一
梅もどき鳥ゐさせじとはし居かな 蕪村