顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

水の都…、水戸の湧水を訪ねて ④

2018年08月09日 | 歴史散歩
桜の名所、桜山の北向き崖下にある「玉龍泉」は、一対をなす偕楽園の吐玉泉と同じ高低差を利用してつくられた、日本最古の噴水です。
二代藩主斉昭公は水理に詳しく、岡の中腹の水源から地下に鉄管を通じて円形の池の中央まで水を引き噴水を仕掛けました。その噴水は時には3メートル程に上り、炎暑の折は人々に涼を与え、田畑の灌漑に応用されたといわれています。
斉昭公は最初この白雲岡という地に偕楽園をつくる計画でしたが狭かったため、梅園の代わりに数百本の桜樹を植えて、休息所として一遊亭を建て、対岸に造った偕楽園の好文亭と一対を為させました。
玉龍泉上の斜面の急階段脇からもこんこんと清水が湧き出しています。ギボウシの花が涼しげに咲いていました。
「西の谷公園」は、総構えの水戸城の西側5番目の堀跡で、千波湖に流入する自然の谷を利用したと思われます。
東側の崖下の低い所に露頭している水戸層の岩の間から湧水が音をたてて滴り落ちています。
遠くに京成百貨店が見える谷の右手(地形上は東側)が特に湧水が多く見られます。
この一画に、二代藩主光圀公の家庭医学本「救民妙薬」や斉昭公開設の藩校「弘道館」の薬草園に因み、「水戸藩にまつわる薬草園の会」によって8種類458株の薬草が3年前に植えられました。
黄門様も使ったといわれる杖の材料、アサザが大きく育っていました。
夏草の中に埋もれつつある薬草園ですが、チコリは爽やかに咲いています。欧米ではよく知られたキク科の野菜ですが、和名はキクニガナ(菊苦菜)、高脂血症などに効果があるそうです。
那珂川以南の「東茨城台地」、千波湖右岸の崖には露頭からの湧水地点が数多くあり、どこも音をたてて小さな滝が滴り落ちています。湧水は年間水温が15度前後なので、一帯は温度がぐんと下がって涼しく快適です。
この水量の多い透きとおった水は、小川となって千波湖に流れ込んでいます。夏休みの低学年の子供達には、安全できれいな水遊びスポットとして賑わっていました。
ただ千波湖に流入すると、この時期に発生しているアオコの中に清流は埋没してしまいます。発生防止のためにいろいろな策は施しているようですが、効果は上がっていません。千波湖への流入量の確保と、下流への滞留なき流出が根本的な解決策とは思いますが…。