今から177年前、水戸藩9代藩主徳川斉昭公が家臣や領民がともに休息できる癒しの空間として造園した偕楽園は、約100種以上の早咲き、中咲き、遅咲きと開花期の違う梅が約3000本、3月末日まで長い期間にわたって花を開きますので、梅の花一つ一つを充分に楽しむことができます。 (2月8日撮影)
早咲きの代表、「八重寒紅」は野梅性八重、すでに満開でお客様をお迎えする準備完了です。この時期の満開はこの種だけなので、樹により紅色の濃さに違いがあるのがよくわかります。
梅の紅白は材の色で見分けるとされますが、この梅は例外で材は白、白梅に分類されるそうです。不結実種とされています。
同じく早咲きの「冬至梅」、野梅性で一重と八重があります。結実品種ですが、受粉作業を行う虫の活動前に咲き切ってしまい、結実できない年もあります。
白い梅も老けてくると紅い色素が出てくることがあるとよくいわれます。桜の花は散り際に花芯の部分の赤が濃くなりますが、これは受粉後に花弁が必要なくなり萼から切り離されると、花弁で出来て幹に流れるアントシアニンが、花弁中心部に留まり紅い色素として残るためと言われています。写真の白梅も同じような現象なのでしょうか?
水戸の6名木「白難波」は李系難波性八重、図鑑では難波白ですが、水戸だけが何故か呼び方が変わってしまったようです。白さがいちだんと際立つ気がするのは、個人的な感じかも知れませんが…。
「難波紅」も李系難波性八重、雄しべが花弁より短く四方に射出していると出ていますが、八重寒紅との違いがよくわかりません。
水戸の6名木「月影」は野梅性一重、良果結実と出ています。軸と萼の緑色が特徴で青白い月の光のイメージがネイミングともよく合い、人気のある銘品です。
水戸の6名木「虎の尾」、李系難波性八重、これも名品として知られていますが、名の由来は蕊の曲り具合など諸説あって定かではありません。
窈窕梅林で見つけた「都錦」、李系で難波性八重、ほとんど結実しないようですが、花弁の裏が紅い裏紅性のため透かして見える淡い色が魅力的です。花つきがいいので盆栽に向いているそうです。
同じく盆栽によく使われる「大盃」、李系紅材性一重、濃い紅色と花弁と等長の長い雄しべが特徴です。
「風流」という梅を見つけましたが、所持する梅図鑑には載っていません。一重中輪桃色という情報しか入らず、しかもまだ開花前、期待をもたせるような蕾を撮ってみました。(窈窕梅林)
この地方には珍しく一日置きの小雪が降っていて花が縮こまるのが心配ですが、これから3月中旬にかけては、100種類以上の梅が次々と咲き誇ります。桜と違って梅は香りを楽しみながら、花を近くで眺め、種類ごとの梅の特徴を見て名をつけた先人に思いを馳せるのも楽しいことです。