顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

秋を告げる花

2019年10月02日 | 季節の花
いつの間にかすっかり秋の気配…、特に季節を感じさせてくれる好みの花が狭庭に咲き始めました。



秋海棠(シュウカイドウ)は、江戸時代に中国から渡来したといわれる帰化植物です。春に咲くバラ科の樹木の海棠(カイドウ)に似た花を秋に咲かせるので名がつきました。ベゴニアの仲間ですが、戸外でも越冬できるので野生化も見られます。
下記写真は春の海棠ですが、花が似ているというより色とイメージだけが似ている気がします。



杜鵑草(ホトトギス)は日本原産といわれるユリ科の多年草、山歩きでよく見かける黄色いタマガワホトトギスなど13種の固有種があるそうです。
花被片(花弁と萼)にある斑点が鳥の杜鵑(ホトトギス)の胸にある模様に似ていることから名前が付きました。

秋明菊(シュウメイギク)はキク科ではなく、アネモネの仲間でキンポウゲ科の宿根草、古くに中国からの帰化植物ですが、日本の気候に合いすぎて増え続け各地で野生化しているようです。
そういえば今朝の朝刊に、「菊」はキク以外の読み方がない、そして音読みである、と載っていました。

彼岸花(ヒガンバナ)は、曼珠沙華(マンジュシャゲ)の名の方が歌詞などにはよく使われています。
地面に花茎が顔を出すと1週間位でもう満開、約1週間で花が枯れると葉が伸び始め、冬から春にかけて球根に栄養を送り続け秋の開花の準備が終わる5月頃には葉も枯れてしまいます。
その咲き方や咲く時期のため死人花や地獄花などと呼ばれていましたが、最近ではリコリスという名前で園芸品種が出回っており、昔のイメージも薄れてきました。

誰が付けし秋海棠といふ愁ひ  今泉貞鳳
殉教の土の暗さに時鳥草  後藤比奈夫
枯れつゝも秋明菊に景色あり  及川貞
土佐はいま曼珠沙華國遍路行く  森澄雄