偕楽園表門の前にあるジュウガツザクラ(十月桜)は、名前の通り10月頃に咲き始める桜です。
図鑑によると、江戸彼岸(エドヒガン)とマメザクラ(豆桜)の交雑種である小彼岸桜(コヒガンザクラ)を原種として江戸時代に作られた園芸種で、開花時期は9月下旬~4月上旬頃、真冬にも断続的に咲き続け、春季には最も多くの花を咲かせ、花弁も大きくきれいである、と出ています。
さて、10月頃にパラパラと咲き始めた花は、同時期に園内で咲く二季桜(春と秋に二度咲く)に負けて、眼につきません。
11月、冬の間も数少ない花がひっそりと咲いていますが、目を止めてくれる方は少ないです。
12月、公園にくるお客さんもめっきりと減り、気付かずに素通りしてしまいます。
2月、偕楽園内は梅が満開になるので、数輪の花ではどうしても負けてしまいます。
そして春爛漫の4月、周りの桜が一斉に開き始めると同時に多くの花を、それも大きく色鮮やかな花を咲かせ始めました。(2021.4)
こうして最後はまるで別人(花)のような艶やかさで約半年の長い花期に幕を引きます。ご苦労様でした。
気のつかぬところに十月桜かな 高沢良一
一枝に一輪十月桜かな 片山由美子
木洩れ日のやうな十月桜かな 鈴木伊都子
俳句ではやはり、4月の元気のいい咲き方ではなく、寒い時期のひっそりと咲く様子を詠んだ句ばかりでした。
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