顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

似ている春の野草…また探してしまいました

2021年05月07日 | 季節の花
一年中ゴールデンウィークの身には、連休も関係ありませんが、去年と今年は特に人混みを避けてのSTAY HOMEを徹底したおかげで、春に撮った写真から似ている野草をまた探すことができました。

サギゴケ(鷺苔)   鷺の形に似て苔のように地面を這うので命名、コケではなくハエドクソウ科サギゴケ属の多年草です。グラウンドカバーとして人気が高く、近くのホームセンターで売っているのには驚きました。

白花の群生もありました。紫色のものをムラサキサギゴケ、白い花をシロバナサギゴケと呼ぶこともあります。

トキワハゼ(常葉爆)  似ていますね、同じハエドクソウ科サギゴケ属でもこちらは一年草、サギゴケより花が小さく、花期も遅く長い間咲いています。常に緑の葉と種子が爆ぜて飛ぶ性質から名付けられました。


ウラシマソウ(浦島草)  サトイモ科テンナンショウ属の宿根性多年草。
葉の下に隠れるように出る花は、仏炎苞という苞に包まれ、苞の中の花序から伸びた細い先端部を浦島太郎が釣り糸を垂れている姿に見立てた命名です。
 
マムシグサ(蝮草)  同じサトイモ科テンナンショウ属多年草、茎の斑模様が名前の由来になっています。

次の似たもの2種は、どちらも北米原産の帰化植物、観賞用として輸入栽培され野生化したものです。

ヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)    アカバナ科マツヨイグサ属の多年草。4枚の花弁、8本の雄蕊、先端に十字型の葯が付いた雌蕊が特徴です。

ユウゲショウ(夕化粧)  花はひとまわり小さくなりますが、同じアカバナ科マツヨイグサ属の多年草。花弁4枚で雄蕊が8本は同じで、雌蕊の先端は4つに分かれています。夕方になって艶っぽい花を咲かせるという名前が、今はほとんど昼間から花を開いています。

種も大きさも違いますが、雰囲気が似ていると思いませんか。

ネモフィラは、ハゼリソウ科ネモフィラ属の花です。約530万本が丘を青色に染める「ひたち海浜公園」が有名ですが、これは4月21日の拙ブログで紹介させていただきました。英名では「赤ちゃんの青い瞳(Baby blue eyes)」と呼ばれています。

サイズはずっと小さくなりますが、オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)は、オオバコ科クワガタソウ属の越年草です。別名は「星の瞳」、実の形から付いた今の名前から変えてあげたいようです。

ムラサキ科ワスレナグサ属の仲間は園芸種、野生種、交雑種があり区別が難しいとされています。
これはいわゆる園芸種のワスレナグサ(勿忘草)、明治時代に渡来し野生化もしています。

ノハラムラサキ(野原紫)もヨーロッパ原産の帰化植物、1936年に千葉県で発見され、本州、北海道の野原に拡がりました。 

逆川緑地…市街地の中の自然公園

2021年05月03日 | 水戸の観光

水戸市内を流れる逆川(さかさがわ)は、総延長6Km、流域面積は11K㎡の1級河川です。付近の川が東や南に流れるのに対し、千波湖東で桜川に合流するまで真北に流れているのが命名の由来といわれています。

水戸の台地は、水を通さない凝灰岩の上に水を通す礫層があり、降った雨が数十年かけて湧水となって滲みだしています。この逆川の両岸の河岸段丘からも湧水が数多く流れ込んで、小さい川ながらこの一帯を通ると水量が多くなり川幅も広がります。

両岸の斜面には、礫層がいたる所で露出しています。

あまり手を加えず、豊かな森と湧水を利用したこの水辺の緑地は、水生植物や野鳥の観察など街の中で自然が味わえる広大な公園になっています。

また、この湧水を利用して、水戸藩2代藩主徳川光圀公は、寛文2年(1663)飲料水に不自由していた城下の低地区に全長約10Kmの笠原水道を敷設、これは日本国内で18番目に古い上水道でした

浴徳泉の碑は、文政9年(1826)年(文政9年)に笠原水道の記念碑として建立されました。
碑面の題字「浴徳泉」は、当時の8代藩主斉脩の詩句の「今猶浴先君徳」から採用して9代藩主斉昭が隷書で記し、本文の「浴徳泉記」は彰考館総裁藤田幽谷の作です。

この笠原水源地の湧水はいまでも水戸市の水道にも利用されています。鬱蒼とした杉林に囲まれた竜頭供用栓から出ている水は、ポリタンク持参で汲みに来る人が絶えません。

光圀公の建てた茶亭「漱石所」の跡です。ここで上流から流される杯が自分の前を通り過ぎる前に詩歌を詠むという、曲水の宴をしばしば催したといわれています。
文豪も使った「漱石」という言葉は「石で口を漱ぐ(すすぐ)」という中国の故事から「負け惜しみの強い変わり者」という意味、光圀公も洒落心で名付けたのでしょうか。

豊富できれいな水を利用して木製のデッキや歩道などが随所に設けられています。

お子様が安心して遊べる水の広場や遊具の広場なども整備されています。

湿性植物エリアでは青、黄、白の三色の饗宴が見られました。

カキツバタ(燕子花)とスイレン(水連)、黄色はキショウブ(黄菖蒲)とコウホネ(河骨)です。

藤の花も色を添えています。

ラクウショウ(落羽松)の気根が出ています。

両岸の森は市内と思えないほど野趣に溢れ、GW期間中でもコロナ感染の心配も感じられないほどの静けさの中でした。