ふと飲みながら再度、ヤマケイ文庫のドキュメント「気象遭難」「道迷い遭難」(両著者:羽根田治)を読む…
生々しい体験談が綴られているが、小生も遺体発見、道迷いなど経験しているだけに、改めて登山に対し気を引き締めねばならないと感じる
「道迷い遭難」の一事例では、父と年頃の娘が遭難した事例はリアルすぎて怖いが、やはり「気象遭難」に記載の「夏・台風 トムラウシ山―低体温症」は怖いこのケースは、愛知県の女性4人のパーティと福岡県の男女8人のパーティがほぼ同時に遭難し、それぞれ1名ずつ死者を出した小生が尊敬する山岳写真家・市根井氏曰く「こんなことを言うのもなんなんですが、登山者のマナーもなにもあったもんじゃありません。僕が遺体を見つけたときには、もう何人かの登山者がそこを通過していたようです。道の真ん中で死んでいる人の横を、知らん顔して通っていったんでしょうかね。ふつうだったら引き返して警察に届け出るとかしますよね」そう言って市根井は怒っているこのことは、地元・北海道新聞の記者も「遭難者を知らせぬ登山者」というタイトルで記事にしている以下北海道新聞記事引用
「遭難者を知らせぬ登山者」2002年(平成14年)7月27日
トムラウシ山で今月、本州の女性二人が遭難死した事故以来、やりきれない思いが胸を去らない。確かに今回の事故は、本州の登山客の認識の甘さを浮き彫りにした。本州客のガイド経験が多い古参の新得山岳会員は「おれはカネ払ってんだから責任持って頂上に連れてけ~というわがままな本州客は10人に3人はいる」と明かす。これは極端な例と思いたいが、やりきれなさを抱いた理由は、ちょっと違う。亡くなった2人のうち、愛知県の女性は12日午前10時半すぎ、山頂まで約2キロの狭い登山道で救助隊に発見された。この時点では既に亡くなっていたとみられるが、それは置こう。問題は、救助隊が新得町トムラウシ温泉側の登山道を出発する午前5時半ごろよりも前に、何人もの登山者が入山しているのに、「女性が倒れている-と知らせに戻ってきた登山者が、だれ一人としていなかった」(救助隊関係者)点だ。準備や認識不足の遭難は確かに自業自得だ。それでも、あの朝登頂したすべての登山者に問いたい。あなたがたは、下半身を寝袋に包み、あおむけに横たわっている女性のわきを通り過ぎたはずだ。声はかけたか。手は合わせたか。その後、極めた山頂での気分はどうだった。せめて、後味の悪さぐらいは感じたか。
この記事を読むたびに、武甲山麓で小生が遺体発見(第一発見者)した際に、無視せずに手を合わせ、すぐ警察に届け迅速な対応等をしておいて良かったとつくづく思う・・・
寝袋から半身出ている状態を見て寝ていると思ったのか。そうだとしても、とりあえずは声をかけて目覚めさせようとしなかったのか。
見知らぬ登山者同士が声を掛け合い、挨拶し合う登山道でそんなことがあるのだな。