ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

業態の構造変化

2006年06月28日 09時16分54秒 | Weblog
日本のセルフSSが10%を超えたようです。
かつてスーパーマーケットという業態が日本に出現したとき消費者は自分で買い物かごを下げて商品を手に取りレジで一括精算するオペレーションに不慣れで戸惑いもあったようですが、ある普及率を越えた時点で急速なスピードで全国に普及し今日では「スーパーマーケット」は全国どんな田舎町にでもあります。

これからセルフSSもスーパーマーケットと同様に急速に全国展開が進むはずです。

消費者は賢くなりました。石油価格の高騰により消費構造も変わっています。ガソリンスタンドの一方的な経営上の都合である「油外収益確保」のために無駄なものを売りつけられたり、強要されるような洗車ビジネスなどを極端に嫌う傾向が現れているようです。

それでも消費者の立場やニーズを省みず、当月の収益目標にあといくらで達成できるなんてことを考えながら店頭で毎日押し込み販売を強要する経営者もいるわけですから現場で働いているスタッフはたまったものではありません。これでは毎日「飛び込みセールス」をやらされているようなものです。それでも利益が出ないので給料は安いわけですからSSに優秀な人材が集まるはずもありません。ニートは増加してもSSで仕事をしようなどと考える人間は非常に少なくなってきました。夢のないビジネスですから人手不足も深刻な問題となるでしょう。

米国などでは同じ石油販売業者でも「ガスステーション」と「ホームヒーティング業者」は業態として区分されています。最近では日本の大手業者でも灯油やガスのホームエネルギー部門の拡充に力を入れています。ホームライフ事業部とかホームエネルギー部門独立開設の傾向は今後SSのセルフ化進行によりより明確化してくるはずです。

某大手企業では数年前から灯油配達を中止して販売店に移管してしまいました。いまになって灯油配送体制を再構築といってみてもすでに販売店の手に渡っている収益部門を返せとはいえません。SS部門だけの収益であれだけの企業が採算に合うビジネス展開が可能とはとても考えられません。これから灯油システムを構築して何とかしたいと考えているようですがすでに機動的な中堅業者により商圏を取り込まれてしまっています。エリアをターゲットとする灯油販売は先手必勝のビジネスなのです。

全国で石油販売業界の構造的な変化が発生していますが、一番理解できていないのが当事者である販売業者であるということも皮肉な事です。

しかし、業界自体の大転換期ですから先の見える石油販売業者には「次の時代」の新しい形での発展が見えてきているともいえるのでしょう。