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月の満ち欠けに時の流れを感じながら、皆でそれぞれの持ち時間を楽しく意味あるものにしていきたい。

金子みすず

2007-12-24 16:54:00 | 日記
  この連休を使って、私は「大漁」の詩を読んで以来気になっていた、金子みすず関連の本を数冊読んでみました。

      大漁

  朝焼小焼だ   大漁だ
  大羽鰯の    大漁だ。
  
  浜は祭りの   ようだけど
  海の中では   何万の
  鰯のとむらい  するだろう。

  夫に創作を禁じられ離婚し、26歳で自殺したみすず。どうして子供を残して死んだのか、と疑問に思っていましたが、夫の浮気による病気が彼女を蝕んで、育児にも支障をきたしていたこと等、よく事情がわかりました。
 
  そして、みすずの娘・上村ふさえさんのインタビュー記事(別冊太陽の「生誕100年記念金子みすず」) 「みなさんいろいろ言いますけど、きっと父だけが悪いのではなかったと思うんです。・・・・父もまたかわいそうな人なんですよ。小さい頃に母親と死に別れていますから」と語られるのを読んで、

 鈴と、小鳥と、それから私、
 みんなちがって、みんないい。 (「私と小鳥と鈴と」から)

 と詠ったみすずの心は、娘にしっかり引継がれていたのだなぁ、と感じました。

 しかし、みんないい、と分かりながら、実生活では家族がばらばらとなり幸せをつかめなかったみすず。みすずの死後、祖母に育てられながら、母には愛されていなかったとずっと思ってきたという娘。
 
 「いますごく、(母の)愛情をいっぱい感じられるんです。めずらしいことですよね、自分が70歳を過ぎて、はじめて母と娘になるってことは、ちょっとないでしょう」と今語る娘の言葉を聞いて、みすずはやっと天国で少し安堵できたでしょうか。

  今回みつけた素敵な詩です。

  ばあやのお話

  ばあやはあれきり話さない、
  あのおはなしは、好きだのに、

  「もうきいたよ」といったとき、
  ずいぶんさびしい顔してた。

  ばあやの瞳には、草山の、
  野茨のはなが映ってた。

  あのおはなしがなつかしい、
  もしも話してくれるなら、
  五度も、十度も、おとなしく、
  だまって聞いていようもの。

  「みんなちがって、みんないい」人達の声にしっかり耳を傾け、寄り添っていける生き方ができたら、わたし達には幸せがつかめるでしょうか。そんなことをみすずの詩から考えた連休でした。 


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