活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

デザインすることとは

2012-12-05 10:21:47 | 活版印刷のふるさと紀行

 12月の初めにしてはひどく寒い日にギンザ・グラフィック・ギャラリー第316回企画展テセウス・チャンのヴェルクNO.20 GINZAにでかけました。

 テセウス・チャンはアートディレクターとしてシンガポールで大活躍の人で2000年にスタートしたマガジン『WERK』(ヴェルク)の独創性あふれるデザインで若者の心をとらえて有名です。今回の企画展ではGGGの会場そのものをメディアとしてとらえ、WERK20号を見せてくれているのです。

 会場に足を踏み入れると、正面壁面にカラー・アズレージョと見紛うほど、カラフルなブックデザインが展示されています。マスとして見えるのですがそばに寄ると1点、1点のデザインが微妙に違うのです。彼の制作する『WERK』は1000部程度の限定出版だそうですが、やはり、1部ごとに表情が異なるそうです。しかも、その色遣いの明るさが私にはシンガポールでした。あのシンガポール・エア・ラインのスチュアーデスの制服にはじめて魅せられたときの感動を思い出しました。

 冗談はとにかく、テセウス・チャンのデザイン哲学は五感を総動員して創造して破壊することにあるといいます。田名網敬一さんの紹介によると彼は《雑誌づくりは恐ろしいのと同時に刺激に満ちている》といっているそうですが、まさしく冒険的ですらありました。ともすると、デザインすることは多くの人に共感と好感をもってもらうことを優先してしまいがちですが、刺激的な冒険が若者をひきつけるのでしょうか。そのせいか、会場は若者でいっぱいでした。

 もっとも会場に姿を見せたご当人も小柄で、にこやかで、若々しいイメージを横溢させていました。

 それにひきかえ、来月、GGGでポスター展をされる松永真さんに「地下組織のボスだね。それで自転車に乗ったら」といわれてしまった私。革コートに革ハンティング、それにトルコで求めたグレーと黒と白の中東風のマフラーがアンダーグラウンドを連想させてしまったのでしょうか。

コメント
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