活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

グーテンベルクより古いのが自慢

2012-12-08 15:30:03 | 活版印刷のふるさと紀行

  印刷図書館倶楽部の例会で印刷図書館のブログが話題になりました。さっそく見てみますと松浦 広さんの『図説 印刷文化の原点』の書評が掲載されておりました。

 偶然ですが、その日、帰宅すると大曲塾の吉田可重さんからその本が送られて来ているではありませんか。さっそく、その夜のうちに読み終えました。私がいちばんおもしろかったのは、日本で「印刷」ということばが使われ始めたのはいつで、だれが最初に使ったのかの論議でした。

 これについてはあらためてとりあげることにして、松浦さんはなかなかジャーナリスティックな切り口でいろいろ印刷文化の原点を紹介しておられ、「世界最古の印刷物」として日本の「百万塔陀羅尼」や中国の敦煌で発見された「金剛般若波羅蜜経」や韓国の仏国寺の「無垢浄光大陀羅尼経」があげられています。

 そこで、思いだしました。大曲塾の研究旅行で韓国の清州市の清州古印刷博物館で韓国には世界最古の金属活字本としてグーテンベルクの42行聖書よりも古い『直指』があると説明をを受けたときのことです。直指金属活字再現館という部屋があって人形が活字を鋳込み、組版を作り、印刷するプロセスまで見せてくれました。

 この高麗時代、1377年に清州興徳寺で刊行された『直指』、正確には「白雲和尚抄録仏祖直指心体要節」はフランスの代理公使が現物を本国に持ち帰ってしまったので、現在はフランス国立図書館に所蔵されています。下の写真は『直指』下巻の最終見開き三十九に宣光七年丁巳七月 日 青州牧外興徳治寺鋳字印施とあるいわば奥付けページです。「印施」が刊行当時、「印刷」を指していたのでしょうか。

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