活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

『徒然草のアノ「とぜん」?』

2012-12-23 12:36:09 | 活版印刷のふるさと紀行

  「とぜん」と聞いて思わず徒然草の徒然が浮かびました。そこで聞いたのです。『徒然草』のアノ「とぜん」?

 「そうだよ、あの徒然さ」 友人の答えがかえってきました。「へーえっ」でした。昨晩の、私と友人との会話の一こまです。

 少し説明がいりそうですね。彼は最近、1603年(慶長8)から翌年に印刷・出版されたキリシタン版の『日葡辞書』に夢中になっています。当時、ポルトガル語を学ぶ日本人の神学生、向こうから日本に来た宣教師、双方に愛用された辞書として有名です。当時の京洛地方、カミと、信徒の多い九州、シモで使われていたことばを克明に拾い出して発音記号をつけた日葡両用辞典だと思ってください。

 「いや、驚いたよ。あの辞書にボクのいなかのことばが出てくるんだよ。その400年も前のことばが封じ込められていまだに使われていることを発見したんだよ」。ちなみに彼は九州の秋月出身。コピーライター歴の長い男ですから、ことばには敏感です。

 その『日葡辞書』の話の中で出て来たのが、この「とぜん」の話題でした。

「いまの若い人は知らないが、ウチのおふくろなんかよく使ったよ。正月休みが終わって、東京へ帰ろうとすると、「とぜん」ということばが必ず出るんだよ。「さみしくなる」という意味だよ。

『つれづれなるままに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くればあやしうこそ物狂ほしけれ』 ひょっとして、この冒頭の「つれづれなるままに」を「心さみしきままに」と解釈もできるなといおうとしましたが、やめました。やっぱり、ちょっとちがうかな。国語の時間で習ったとおりでいいかと。

彼の名は萩尾 です。


 

 

 

 

 

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