私的図書館

本好き人の365日

『マイナークラブハウスの森林生活』

2009-06-03 18:10:00 | 本と日常
ピュアフル文庫から出ている木地雅映子(きじ かえこ)さんの

*(キラキラ)*『マイナークラブハウスの森林生活』*(キラキラ)*

を読みました。

どうやらシリーズ物で、これは第2巻にあたるみたいです。

舞台は、とある学園の高等部にある弱小文化部の集う洋館、「マイナークラブハウス」

そこにたむろする、文化系高校生たちの青春(?)が、明るく暗く描かれています。

面白いですよ。
着ぐるみのカエルを着たヒロインとか(笑)

登場人物たちの行動は表面上はとってもコミカルで会話も面白い。

ですが、その反面、内面は現実の生身の人間そのままで、シリアスでけっこう深刻。

そのチグハグさにクラクラして文章に酔ってしまいました。

思春期なんて遠の昔に通り過ぎてしまった者にしたら、昔の傷をエグられているようで痛いよ…

でも、残酷だなぁ~、なんて感想をもらしたとたん、作者に引っ叩かれてしまいそうな迫力があります。

親や教師や友達の残酷さ卑怯さに、幸運にもあまり触れる機会がなく、のほほ~んと生きてこられた方には刺激が強いかも知れません。

あるいは見たくないものは無視して、考えたくないことは考えないようにしている人は怒り出すかも。

たまにこういう直線的な小説をみかけますが、私はニガ手です。

もう少し、やんわりとお願いしたいです。

でも、きっとこういう小説に共感する子供たちはたくさんいるんだろうなぁ…

親を殺したいとか…
ここから抜け出したいとか…

ただ、解説で千野帽子さんが書かれていますが、「同調せずにいられる者」「ひとりで立つ覚悟がある者」こそが美しい、という作者の姿勢には共感できました。

自分より輝いている人(や物)に群がって、個としての価値観を放棄してしまっている人や、愛情という仮面の下で子供の個人としての存在を食い殺し続ける親を一刀両断!

まるで武士です。

ストリーキングの武士。(ほめてます☆)

この本の出ている「ピュアフル文庫」というのはあまりなじみがなかったのですが、この本の後ろのページに、天沢退二郎さんの『光車よ、まわれ!』が好評概刊と載っていたのでビックリしました!

復刊されていたなんて知らなかった!!

前から読みたくて、ずっと探していたんですよね。

木地雅映子さんも推薦らしいです。

さっそくネットで注文しました♪

届くのが楽しみです。