私的図書館

本好き人の365日

日本人であるとはどういうことか

2011-12-23 23:53:00 | 本と日常

暖房費がもったいないので、節電も兼ねて今年の冬はあまり電気を使わないようにしています。
夜のウォーキングで体をポカポカにしたり、長めのお風呂であったまったり、部屋の中でも厚着で過ごしたり。

冬場の簡単レシピは生姜スープ!
鶏ガラスープに大根とネギを入れただけなんですが、生姜をタップリ入れると体の中から温まります♪

最近お風呂の中で読み返している河合隼雄さんの『ナバホへの旅たましいの風景』(朝日文庫)という本の中で、アメリカ先住民ナバホ族が運営する小学校での授業の様子が紹介されていました。

遠足で谷に連れ出した子どもたちに「お前たちはアメリカ人か、インディアンか、それともナバホか」と聞く農業の先生。子どもたちが「ナバホ」と答えると、「ナバホであるとはどういうことか」と再び尋ねます。答えられない子どもたちに先生はこう教えるのです。

「この谷でとれるものを食べることだ」

人と自然がつながっている。自分たちの暮らす土地の風土を知り、採れる野菜や果物を知り、気温の移り変わりや、季節季節の太陽の暖かさを知る。
それがその土地で生きるということ。それが人間と大地の付き合い方…

この季節、東北地方では寒さはどのくらい厳しいのか、春に向けて農家や酪農家はどんな準備をしなくちゃいけないのか、雪下ろしや寒さ対策に何が必要なのか、その土地ではどんな花が咲き、どんな野菜が採れるのか、お正月にはどんなものを食べ、どんな行事があるのか、日本の政治家さんはちゃんとわかっているのかな?
飛躍しすぎかも知れませんが、最近の東日本大震災と福島原発事故関連のニュースを見ていてそんなことを考えてしまいました。

私の育った田舎では、お正月には近所の人が集って、小さな集会所で新年会を行います。
おじさん連中は朝から酒を飲み、お母さんたちは白い割烹着を着て料理や甘酒の用意(大きなかまどが外にあって、薪を燃やして火をおこし、大きな釜いっぱいに作ります)。子どもたちも甘酒だけは飲ませてもらえますが、どろどろの口当たりが私は苦手でした。
塩漬けのキノコだとか、煮物や漬物だとか、それぞれの家に自慢の料理があって、毎年女性陣はその品評会に余念がなかったり。

今は女の人の負担が大きいからと仕出しのお弁当に変わった所もあります。
普段はあまり口も聞いたことのない隣のおじさんが真っ赤な顔をしていたり、酔ってケンカしたりして、子供たちにとっては大人の力関係を何となく学ぶ場でもありました。

土地の食べ物を一緒に食べたり飲んだり、出き具合を話したり、そうしながら共に新年を祝う。そして子どもたちはそんな大人の姿を見て育つ。

その土地でとれたものを食べる…

それってけっこう大切なことなのかも知れませんね。