今日、9月21日は宮澤賢治の亡くなった日です。
1896年(明治29年)、現在の岩手県花巻市の商家の長男として生まれた賢治は、詩集『春と修羅』の他、『銀河鉄道の夜』、『注文の多い料理店』、『セロ弾きのゴーシュ』、『風の又三郎』など多くの作品を残し、いまも多くの人に愛されている作家ですが、生前に出版されたのは『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』のわずかに二点。
農学校の教師を退職した後、農民芸術を熱心に推進したり、農業指導などに取り組んだ賢治でしたが、1933年(昭和8年)9月21日、急性肺炎のため37歳で亡くなりました。
私が印象に残っているのは、嵐山光三郎さんの『文人悪食』(新潮文庫)の中で紹介されている宮澤賢治。
サイダーが好きだったというエピソードは、「雨ニモマケズ」のイメージからはちょっと想像できなくて、人間くさい宮澤賢治の一面を垣間見ることができます♪
学生時代、初めて「イーハトーブ」という言葉を知った時は衝撃でした。
日本の地名をこんな言葉に言い換えるだなんて、その発想がスゴイ! と思ったのです。
銀河鉄道の夜に登場する「ジョバンニ」に「カンパネルラ」、「セロ弾きのゴーシュ」、やまなしに出てくる「クラムボンはかぷかぷわらったよ―」なんて言葉。
夏目漱石や芥川龍之介、太宰治の作品の舞台となる古風な日本とは全然違う、ファンタジーのような世界。
詩集『春と修羅』にも多くの影響を受けました。
だから東日本大震災の折、ボランティアとして初めて岩手県に入った時は、被害に対するショックもありましたが、どこかに感激している自分もいたのです。
ここが賢治の見ていたイーハトーブなのかと―
先々月に公開されたアニメ映画、『グスコーブドリの伝記』も観に行きました。
とってもよかった♪
森や川、夜の闇に輝く朝日、地層に眠る太古の歴史に、鉱石の中に閉じ込められた光。
想像力が無ければ見えないものもあります。
相手のことを想像し、その気持ちを考え、悲しみや喜びを分かち合う。
話を聞いて涙を流し、自分のことのように落ち込んだりうきうきしたり。
思いやりや優しさは、想像力がなくっちゃ思い浮かびません。
そういう私自身、小学生の時夢中で化石採りをしたり、川辺で水切りをして日が暮れるまで遊んでいた時に感じていた感覚を、最近じゃ思い出すことも少なくなっているんですよね(苦笑)
最近忙しさにかまけて、自分の中の何かがくもってしまっている気がするので、この機会に宮澤賢治の作品を読み返してみようかな。