「フィンおばさん。ご迷惑をおかけするのをどうぞお許しください。でもこうするよりほかないのです。私は生きていけるだけのお仕事をみつけることができません。お医者様は静養しなくては病気は治らないと言います。でも私は他のかたの重荷になるのはいやなんです。ですからもうこれ以上誰にもご迷惑をかけないですむところに行こうと思います。おばさんから拝借したお金をお返しするために、身の回りの物を売りました。どうぞ私をこのままにしておいてください。人を呼んできて私を見せたりしないでくださるように。こうすることが罪深いことでなければいいと思います。でもこの世界には私のいる場所はないような気がします。私は今は死ぬのはこわくはありません。生きていて、正しい生活をすることができないで悪い人間になることを考えるとそのほうがこわいと思います。赤ちゃんによろしく。さよなら。さよなら。
ジェーン・ブライアント」
『昔気質の一少女(下巻)』より。 十七歳の身寄りのない少女ジェーン・ブライアントの遺書。
内容をそのまま引用するのはルール違反のような気もしましたが、あまりの文章につい書き込んでしまいました。
心がふるえた一瞬でした。
ルイザ・メイ・オルコット 著
吉田 勝江 訳
角川文庫
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