小学生くらいの男の子でした。
本屋さんのレジで、私の前に並んでいた彼は、店員にポイントカードを作りませんか? と聞かれて、すすめられるままその場で手続きを始めたんです。
レジには店員が1人しかいなくて、しかも見るからに「新人」といった感じの青年。
手際が悪くてどんどん時間が過ぎていきます。
その時、申込書を書いていた少年が、
「後ろに並んでいる人に悪いので、先にレジを済ませて下さい」
と申込書を持って隣の空いているレジに移動してくれました。
おぉ~、なんていい子なんだ!
レジ係りの青年は、すでに打ち込んでしまった少年の会計を取り消すのにまたもモタモタ。
しかも少年にお礼のひと言も言ってない!
まったく、どっちが大人かわかりませんでした。
混んできた時はお客さんを待たせないために他の店員さんを呼び出すなりして対応するんだよ、新人くん!
それにしても、小学生の対応には感心させられました。
よくやった☆
最近、アメリカの作家ロイド・アリグザンダーの
『人間になりたがった猫』(神宮輝夫 訳 評論社)
を読みました。
魔法使いの飼い猫ライオネルが、ご主人さまに頼んで人の姿にしてもらい、人間たちの町に出かけて行くという物語。
猫のライオネルにとって、人間たちの町は見るもの聞くものすべて珍しいものばかり。
いい香りのする食べ物に、気のいい人たち。
大きな橋に、立派な建物。
ところがその町の町長は、お金のことしか考えていなくて、橋を渡る通行料を取ったり、都合のいい法律を作ったりしてやりたいほうだい。
でも、もともとが猫のライオネルには、町長の勝手なルールは通用しなくて、町に騒動が起こってしまいます。
何でも素直に口に出すライオネルがいい♪
「あなたが、ブライトフォード(町の名前)一のごろつき? なんだか、とてもちっぽけだなあ!」
人の姿になっても、あくまで自分は猫ですといい張るライオネルが可笑しいです☆
棚の上に飛び乗ったり、ネズミを追いかけたり♪
猫という視点から人間を見ることで、人間の強欲さ、思っていることを口にしないという弱さ、他人を利用しても何も感じない心の貧しさが描かれています。
もちろんロイド・アレグザンダーの魅力の一つでもある、とっても魅力的なキャラクターもたくさん出てきて、ライオネルを助けてくれるあやしい博士や、勝気ではつらつとした若い女性ジリアンなど、彼らがライオネルを助けて町長の理不尽な要求と戦う姿が読みどころです☆
個人的にはライオネルのご主人さまで、人間なんかになりたがってきっと後悔するぞ、と思っている魔法使いがお気に入り♪
たまにガッカリするような人間に出会うこともありますが、本屋さんの少年のような出会いもあって、まだまだ人間も捨てたものじゃないと思わせてくれます。
人間になった猫のライオネルは、最後、果たして人間のままでいたいと思うのか?
とっても楽しい読書ができました☆
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