信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

遠山郷、下栗の里

2015年12月11日 22時04分19秒 | Weblog
最近になく珍しく晴れ上がった木曜日、急遽ムスメ一家と下栗の里へ出かけることになった。
同じ長野県内ではあるが、飯田市からさらに1時間40分も山道を入って行く。
心の準備もないし、車に酔う心配が大であるし、しかし一人で出掛ける場所ではないし、
突然降ってわいた幸運と思い、同乗した。


下栗の里は、南アルプスを望む飯田市上村の東面傾斜面にある標高800m~1,000mの地区である。
最大傾斜38度の傾斜面に点在する耕地や家屋は、遠山郷を代表する景観を作る。
平成21年には「にほんの里100選」にも選ばれました。

市川健夫氏により「日本のチロル」と命名された下栗は、南アルプスを望む景観がすばらしく、
昭和43年に訪れた百名山登山家深田久弥氏は、自らの著書で「下栗ほど美しく平和な山村を私はほかに知らない」
と絶賛しています。
 近年では、にほんの里100選に選ばれたり、スタジオジブリがアニメ制作にあたり下栗を取材するなど
、様々なメディアを通じて下栗の里の名が全国的に知られるようになってきています。
 平成21年秋には、下栗の景観を多くの皆さんにご覧いただけるよう、里を俯瞰できる
「天空の里ビューポイント」が地元住民の手造りで開設・整備されました


とネットで検索すると紹介されているが、助手席でスマホからグーグルで地図を検索してアクセスを見ているうちに
車に酔い気持ち悪くなってきた。
飯田のインターから一般道路に降りて山道に入ったあたりから何度もこの道路をずっと進んでいいか
いや戻ろうかとかとかばかり車内での家族会議続きだが、やる気十分のムコが妻と姑が車酔いで静かになった隙に
もう遠山郷に踏み入れていた。
着いてしまえば何度も来れる場所ではなく、運が良かったとしか言えない好天と観光客が少なく
ひっそりとした山村を見て回った。
日本のチロルとかマチュピチュとか言われるあたりは確かに傾斜が急で同じ長野県内にこのような
村があるとは信じがたい。
東京の檜野原村が同じような急斜面の人家の景観で美しいと思っていたが、その非ではなかった。
ここで生活をしていくには限りがあると思うが、たたずまいには心の奥に感動が生まれる。

南アルプスの聖岳や兎岳が雪景色となって前面に迫っている。
狭い道路はすれ違いできず、しかも畑も田んぼもなく、道路に沿って人家があり、その傾斜は下を見ると
転がり落ちるほどである。
ぞっとするほどの景色だ。

山々は谷が深くビューポイントという村全体を真下に見下ろせる高台まで登っていったが
参道やこのビューポイントは村民が全部負担して作り上げたものと記されており、高齢者の住む
村なのにどれほどの時間と力とおかねの負担を背負ったのであろうと頭が下がる。

贅沢を抱えきれないほど身に着けてしまった現代人はこの山村を眺めると本当に必要なものが
取捨選択できるかもしれないと思う。
昼ご飯も食べず、時間を過ごし、夕暮れ時にまた飯田方面に戻ったが、心の準備もなく訪れた
遠山郷の下栗の里は幼い時に過ごした故郷の原風景と重なり、しっかり脳裏に焼き付いた。