「ヒト」はミスをする生きものです。今回、二つの明らかなミスをしてしまいました(ここでこれから書くことの中にも、これまでに知ったかぶりをして書いたものの中にも、赤っ恥のミスがあるかも知れません)。
駐車場から雑木林に入ってすぐのところに生えている1mほどの若いカラスザンショウの葉に、アゲハの仲間の終齢幼虫を見つけました。葉には、食痕があります。一見してアゲハ(ナミアゲハ)でないことはわかり、モンキアゲハだと思い込んでしまいました。
《(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハの終齢幼虫がついていたカラスザンショウの若木 2020/06/16》
《(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハの終齢幼虫がカラスザンショウの葉に残した食痕 2020/06/16》
《カラスザンショウの葉にとまる(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハの終齢幼虫 2020/06/16》
《カラスザンショウの葉にとまる(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハの終齢幼虫 2020/06/16》
羽化させようと、この終齢幼虫を自宅に持ち帰り、100円ショップで買ったプラスチック製容器に入れて飼育しました。いっしょに持ち帰ったカラスザンショウの葉は、すぐに萎れてしまったので、庭のユズの葉を与えました。なんとなく元気のない幼虫でしたが、2020/06/26にユズの茎で前蛹となり、翌06/27には蛹化しました。
《前蛹になった(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハ 2020/06/27》
《蛹化した(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハ 2020/06/27》
しばらくは、プラスチック製容器のまま様子をみていましたが、羽化したときに翅を広げるスペースがないので、テラスの柱に蛹をつけた茎を張り付け、観察することにしました。この蛹、なかなか羽化する気配をみせてくれず、途中で死んでしまったのではないかと思うようになりました。そのうち、2020/07/11には蛹の上半分ほどが黒ずんできたので、「やっぱり(死んでしまったか!)」と思ってしまいました(出来上がった翅が透けて見えて黒くなったことに気づきませんでした)。明日、ほかのものといっしょに処分つもりでした。
《(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハの蛹の様子 2020/07/03》
《(モンキアゲハと思い込んでいた)クロアゲハの蛹の様子 2020/07/11》
ところが、早朝、庭でキュウリやシソ(アドバイスをいただいてから毎食3枚食べるようにしています)を採って、部屋に戻ろうとして、ビックリです。蛹をつけておいたところに黒いものがいるのです。「あっ、羽化している!」死んでいなかったのです。しかも、都合の悪い(?)ことに、モンキアゲハにしてはかなり小さい気がします。近寄ってみると、モンキアゲハではなく、クロアゲハの♀でした。
《羽化していたクロアゲハ♀ 2020/07/12》
《羽化していたクロアゲハ♀ 2020/07/12》
《羽化していたクロアゲハ♀(庭のエゴノキに放したところ) 2020/07/12》
言い訳になりますが、クロアゲハとモンキアゲハの終齢幼虫はよく似ていて、見分けるのがむつかしいそうです。
ウェブサイト『晶子のお庭は虫づくし/アゲハの幼虫について(見分け方)』には、アゲハの仲間の幼虫などの見分け方がわかりやすく書かれていました。幼虫については、モンキアゲハの幼虫は「第6腹節側面の斜帯は後縁で一度消失し、再び背中線の両側に平行に並ぶ短縦線となって現れます。第4、5腹節についても通常は背面で相接しません。(模様が交わらない)」とのことで、私が見た幼虫は、明らかに相接していました。また、モンキアゲハの蛹は「蛹の腹面の湾曲が強く、…側面から見た腹側線の体中央における屈折は90~100度程度で日本産の蝶の仲間ではその屈折がもっとも著しい。」とのことで、蛹化した蛹はそれほど屈折していませんでした。