4/11(水)晴れ
9:30起床。故あって有給休暇を取得。愛犬の散歩と定番の朝食。昼前には地下鉄に乗り渋谷まで出張る。ユーロスペースにて3時間半に及ぶドキュメンタリー映画を鑑賞。公開からひと月以上経過して昼一回の興行。単身の高齢者ばかり12名で上映開始。そういえばインパクトと云う点では生涯ベストの一本≪ゆきゆきて神軍≫を30年以上前に鑑賞したのも当館だった。(場所は移転してますが・・)本作、8年を超える訴訟に係わった人々の言動を3時間半に纏めた記録。国相手の法廷(持久)闘争となれば個人(集団とはいえ)は圧倒的に不利である。組織に寿命はないが、残酷な時間の流れの中で人間は老い、そして無念のうちに死を迎える。夫々に去来する万感の思いはあろうが、勝訴となっても死者が生き返るわけでもなく健康な体に戻れるわけでもない。極めて寡作なこの監督が一貫して撮り続けているのは単なる事象ではなく、対象者の自己演出ではないか。ドキュメンタリーほど切り口や編集で印象が180度変わるものもあるまい。奥崎謙三や井上光晴ほど強烈な個性をもった人間ではないにしろ、カメラを向けられた時点で人々は期待される人物を演じるということがあるのだ。もちろん行政の怠慢、司法の理不尽さには怒りや憤りを覚えたが、人間とは何と強靭なようで脆弱な存在、つまりはこれほど不可解なものはない、と云うことを改めて感じ入った傑作。終映後、新宿へ移動して同好の士と寄席を楽しむ。今回の収獲は神田陽子の講談。目の前のお好み焼き屋で懇親。隣りのテーブルでは今年度ベストの邦画に主演していたお笑い芸人がもんじゃを肴に呑んでいた。さすが大都会。