Il film del sogno

現実逃避の夢日記

マンダレイ

2006-03-16 01:56:00 | 日記
3/15(水)
トップニュースは春闘の回答。
はぁ~、ベア(ベースアップの略です)なんて言葉が、死語になって久しい。
壮年の知人が肩叩きにあったそうな。
駄目社員雇っているのも企業の甲斐性なんざんすがね、本当は。
会社一丸となって目標管理されて能力主義をされたら、そりゃ息が詰まる。
モノには程度ってもんがあります。

日比谷シャンテ・シネで【マンダレイ】鑑賞。
最終回、意外や妙齢の女性(グループ)多し。
良い気持ちにさせてくれる演目でないことだけは判っていた。

床に白線を引いただけのアブストラクトでシンプルなセットが観る者を驚かせた前作「ドッグヴィル」に続く、ラース・フォン・トリアー監督の“アメリカ三部作”第2弾。
今回ヒロインのグレースを演じるのは前作のニコール・キッドマンに代わり、「ヴィレッジ」のブライス・ダラス・ハワード。(ロン・ハワードの娘)
米国南部を舞台に、奴隷制の廃止?に燃えるヒロインと農園に雇われる黒人たちとの顛末を辛辣に描く。
前作同様ヒロインの善行は全て裏目に出る。

まぁ、悪意に満ちたラース作品の中では後味が良いほうである。
これも賛否分かれるだろうが、監督は確信犯であるから意図通り凹んでやることにする。(苦笑)
オリンピックやワールドカップと同じくらいの周期で(つまり4年に1度)鑑賞して、2~3日は、偽善や独善に関して柄にもなく思惟なんぞして人間不信になるのも悪くないかな。
ああ、グレースよ、何処へゆく。
はいはい、次(第三弾)は、いよいよ首都ワシントン(だそうです)。
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かもめ食堂

2006-03-15 02:02:00 | 日記
1/14(火)
コート着用。寒の戻り。
周囲に花粉の被害者ぼちぼちと。

夕刻、銀座へ。
シネスイッチで【かもめ食堂】鑑賞。
ヴェンダースの【アメリカ、家族のいる風景】と迷ったのだが、かもめ~は昼の部全てに立ち見の表示。
へぇ~そんなに入ってるの、と珍しく愛国者となり付和雷同。

北欧フィンランドで食堂を経営する女主人(小林聡美)。
ワケありで一人旅に来た旅行者(片桐はいり)。
荷物の誤配送で足止め食った謎の中年女(もたいまさこ)。
邦人は以上3名。
全編フィンランドでのロケ撮影。
森と湖と白夜の景観麗し。

原作は群よう子の書き下ろし。
『バーバー吉野』を撮った監督・荻上直子と、このキャスティングでおおよその雰囲気は判る。

おんな三人細腕繁盛(奮闘)記とはならない。
これは悪人が出てこないし、ヒロインたちに生活感もなく、ある種のメルヘンである。

出会いは一期一会、人生齷齪(あくせく)することなく、信念もって好きなことを・・・。
これはフィンランドでなくてもいい。
邦家の辺鄙なドライブ・インでも成立するんじゃないか。

敢えて異国に舞台をおいたのは、言語によるコミュニケーションなどより、人は目で語れるし、一杯のコーヒーや掌でむすんだおにぎりで気持ちが判りあえる、というメッセージであろう。

キャラの濃い片桐、芸達者が鼻につくこともあるもたいに比べ、ナチュラルな小林聡美が断然良い。

TVをほとんど観ないのでドラマは不案内だが、銀幕での彼女の最良作は【てなもんや商社】と【廃市】だと思う。
コメディアンヌとしても、シリアスな芝居も出来るというのは相当【カン】のいい女優である。

しっとり落ち着いた、良い映画でありました。
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俺たちに墓はない

2006-03-14 01:54:00 | 日記
3/13(月)東京はだったが・・・
早朝起床。寒し。昨日との温度差に身が縮む。
越後へゆく。
新幹線がトンネルを抜けると越後湯沢は、激しい吹雪であった。
新潟市内も一面雪化粧。昨夜から雪とのこと。
終日愛想笑いと難儀な商談。

都心に帰ったのは20:00過ぎ。
連日の新文芸坐通い。
本日の演目は【俺たちに墓はない】
松田優作主演のB級アクション。
監督は沢田幸弘、脚本・田中陽造 
共演は志賀勝・竹田かほり・岩城滉一・石橋蓮司・阿藤海などなど。

松田優作といえば、まずは『太陽にほえろ』でありましょう。
続いて【遊戯シリーズ】では、日活アクションのテイストを漂わせていたが、あの日本人離れした肉体や身のこなしは、若年層にたいそう人気があった。
本人は原田芳雄を相当意識していたようなのだが・・・。
『処刑遊戯』はハードボイルドの名作といっていいかもしれない。

79年製作の本作は、再見してみるとストーリーは凡庸で、演出の切れも感じられない。
三流のピカレスクロマンであり、破滅的な群像劇。
見所は優作のコミカルな擬態と竹田かほりのお色気くらいか。

新境地を開いたのは森田芳光監督の『家族ゲーム』『それから』と薬師丸ひろ子と共演した『探偵物語』の三本。
これは特筆していい仕事だと思う。
89年、ハリウッド映画『ブラック・レイン』が遺作となった。
享年40。
生き残っていれば、どうだったろう。
特別のファンではなかったが、あの特異なキャラはワールドスタンダードになりえたろうか。
そんな詮無い空想をしながら帰路についた。
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Aサイズデイ/霧の旗

2006-03-13 01:46:00 | 日記
3/12(日)
陽気良かれど風強き。
週末スキー行きの為、近所の宅急便支店より用具配送。5700円也。

午後、散歩に出る。
ついでに池袋・新文芸坐。
【Aサイズデイ】【霧の旗】を連続鑑賞。
13:50~のトークショウもあり。
若松孝二、佐々部清、ホスト役の福岡芳穂の掛け合いは面白かった。
著名監督の武勇伝、制作秘話、楽屋裏話、等々。
一方現在、映画監督協会には600人弱の登録あるそうな。
何年も作品を撮ってない者は珍しくない。
資金を集め、製作しても興行の問題あり。
300本を越える邦画が、上映されることなくお蔵入りの危機にあるとのこと。

Aサイズ~は崔洋一監督の音楽もの。
1989年大映製作。
原作である利根川裕の【喜屋武マリーの青春】は、その昔読んだことがある。
映画は未見でありました。
激しい気性のヒロインを中川安奈が熱演していたが、これはどうもお上品過ぎるようで違和感あり。
15年まえの作品ですから石橋凌や広田玲央名、余貴美子が若い若い。

霧の旗は、山田洋次の唯一のサスペンス。
この寅さん監督には、じつは『家族』『故郷』『同胞』のようなシリアスな秀作もある。
1965年、松竹製作。脚本は名手・橋本忍。
これを大画面で再見できたことは望外の幸せでありました
本作の魅力は知的で凛然たる倍賞千恵子につきる。
松本清張の同名小説の忠実な映像化であるが、この復讐譚にはモノクロ画面が良く似合う。(鮮明な画質でニュー・プリントだと思う)
細部に文句がないわけではないが、若き日の巨匠の意欲作に感心した次第。

そういえば山口百恵でリメイクされていたなぁ。
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こころ

2006-03-12 02:13:00 | 日記
3/11(土)
汗ばむくらいの陽気なり。
昼、散歩に出る。
駅前の本屋で立ち読み、逍遥していると路地に立看板。
出来心で階段を上る。
『当日券ありますか?』

龍昇企画「こころ」を観劇。
作:犬井邦益 演出:福井泰司
出演:龍 昇/直井おさむ/吉田重幸/栗原茂/稲田恵司/中野真希/黒木美奈子/大崎由利子/高村志穂 

小屋は江古田ストアハウス。
木戸銭3700円也。
100に満たない客席は満員御礼の盛況(但しお友達多し)。

ご存知漱石先生の名作を舞台化したもの。
私、先生、先生の妻などを時制を超えたダブルキャストが交互に演じる。
現在の私(中年)が、先生の過去の秘密(学生時代の三角関係から友人を自殺に追い込む)を知るのですね。
その先生も自殺してしまうのですが・・・。

『こころ』は中学の教科書に抄録があり、文庫で読まされた。
今考えると、ローティーンにはヘビーな話ですが、なぜ文部省は採用したのでありましょう。

明治のインテリの苦悩を21世紀に敢えて問う製作サイドの意図や如何に。
いまさら漱石でもあるまいに、と不遜に思っていたのだが、これが意外と面白かった。
役者良し、練られた脚本・構成、正攻法な演出など、真摯で好感持てる舞台でございました。
明治の男女は、現代よりよっぽど自分の意見をきちんとした言葉で話している。

古典は普遍にして常に観る者に何かを問いかける。
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シリアナ

2006-03-11 02:08:00 | 日記
3/10(金)時々

早朝から栃木県小山にゆく。
駅前徘徊。
何処へ行ってもマックやミスドやスタバってあるんだなぁ。地方色がなくなりました。
以前、野暮用で真岡線(休日はSLが走ってます)に乗った時、始発の下館駅前に古き良き時代の喫茶店を見つけて懐旧の情に浸ったことがある。
そこで食べたカレーがあまりに普通で感動した。(笑)

夕刻、丸の内TOEIで【シリアナ】を鑑賞。これは窓口で題名を言い辛いですな。なはは。

アンサンブルドラマの傑作『トラフィック』のスタッフが再集結して放つ社会派サスペンス。
監督・脚本はスティーブン・ギャガン。
前回は【麻薬】で今回は【石油】。
石油会社重役、CIA工作員、経済アナリスト、弁護士、中東の王族、出稼ぎ労働者・・・等々、多種多様な登場人物たちが織り成す駆け引きや陰謀のプロセスや断片が、タペストリーのように描かれ俯瞰される。
なかなか知的かつ刺激的な出来栄えでした。
ナレーションも状況説明の科白もなく、場面展開も早く、いやはや頭使いました。

役者は皆々渋いですが、ジョージ・クルーニーは本作でオスカー(助演男優賞)を獲った。
群像劇だから主役は居ないのですが、これは作品に対する評価だったかもしれない。

風変わりなタイトルは、イランとイラク、そしてシリアがひとつの民族国家を形成した場合の想定国家の名前。中東再建プロジェクトを指すワシントンのシンクタンクの専門用語だそうな。


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兵隊やくざ

2006-03-10 01:21:00 | 日記
3/9(木)
やや寒き。但しコートは着ぬ。

昨夜に続き、池袋・新文芸坐へ。
映画馬鹿にして天才勝新の【兵隊やくざ】を鑑賞。再見、というより何度見ただろう。
1965年、モノクロ、大映スコープ、103分。
監督は才人・増村保造、脚本は菊島隆三、撮影が小林節雄。 
共演はいわずと知れた田村高廣、女郎役に淡路恵子、憲兵が成田三樹夫、その他。
シリーズ第1作。
戦争映画ではあるが、邦画史上の名コンビによる青春映画の趣あり。
本作と喜八の【独立愚連隊】は、鑑賞後に稀有な爽快感が得られる傑作である。
大宮貴三郎&有田上等兵、コンビのキャラ設定が宜しい。
ガキ大将の二等兵とインテリの三年兵。
パワープレイと頭脳プレーが見事なチームワークを発揮して満州北部で大暴れする。
そういえば喧嘩のシーンはやたらにあるが、戦闘シーンが一切ない。

ラスト、二人は機関車を強奪してまんまと脱走する。
「これからどこに逃げる気だ?」
「大陸は広い。ヨーロッパまで陸続きですからねぇ~」

破天荒だが無邪気なカツシン。
邦画全盛時の“活劇映画”にニンマリして帰路に就いた。

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煙突の見える町/軍旗はためく下に

2006-03-09 01:51:00 | 日記
3/8(水)
快晴、暖かい。
群馬の太田へゆく。17号線を北上し殺風景な窓外を眺め、うたた寝をする。

夕刻、池袋の新文芸坐にて【煙突の見える町】【軍旗はためく下に】を鑑賞。
同劇場では《日本映画監督協会 創立70周年記念 映画監督が愛した監督 日本映画監督協会70年の70本+1》という長いタイトルの特集が組まれており日替わりで古い邦画を上映している。
いずれも再見であるが、いま観ても、全く色あせることがない傑作である。

煙突~は1953年新東宝製作。
見る場所によって4本にも3本にも、あるいは1本にも見えることで有名なお化け煙突がある東京の下町・北千住。田中絹代演じるヒロイン弘子は、戦争で行方知れずになってしまった夫との婚姻籍を残しながらも、足袋問屋に勤める隆吉(上原謙)と同棲生活を送っている。そんな2人の家の前に、ある日赤ん坊が捨てられて…。
原作は昭和27年に椎名麟三が「文学界」に発表した小説「無邪気な人々」。
監督は五所平之助。
舞台を昭和初期の下町に変え、そこに暮らす人々の哀歓を温かく、ユーモアを交えて描き出し、'53年ベルリン国際映画祭で国際平和賞を受賞した。
16ミリフィルム、当然モノクロであるが、細部の作り込みが凄い。
田中・上原は戦前のメロドラマ【愛染かつら】のコンビでもあり、高峰秀子、芥川也寸志を加えた名優達の味のある演技が堪能できた。

軍旗~は1972年、東宝製作。
これは後世に残る戦争映画の古典でありましょう。
原作はハードボイルドもので60年代の文学をリードした結城昌治の70年度直木賞受賞作品。
映画もドライなタッチをそのまま活かして謎解きの面白さで見る者をグイグイと結末へと導いていく。
監督は翌年『仁義なき戦い』でブレイクする深作欣ニ。
のちに実録もののトレードマークとなるスチール構成はこの映画のおよそ半分以上を占めていて、所謂深作スタイルが確立された作品としても興味深い。
シナリオは新藤兼人。

ヒロイン(左幸子)の夫(丹波哲郎)は戦死しており、戦友たちが主人公の真実の姿を語っていく、という構成は珍しいものではないが、敵前逃亡、上官殺し、果てはカーニバリズムと極限状況下の南方戦線での真実が明らかになってゆく。

軍隊という組織の不条理、戦犯責任、遺族保障問題、そして最後に「天皇の戦争責任」についてまで言及しようとしている。

平和ボケしている現代だからこそ見るべき作品。
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あなたのための今夜のわたし

2006-03-08 01:29:00 | 日記
3/7(火)
山手線を一周。コマネズミのように働く。
夕刻、大宮へ。
秘密結社のような宴席に出る。

隠れ家のような寿司割烹。
ウニ食す、上品な甘さ。
ツブ貝、赤貝、ともに良し。
和牛のタタキ、これもよろし。
レバ刺し、珍味なり。
三種巻物、創意工夫あり。
海鮮生春巻き、野趣あり。

料理は高貴なれど、話題はもっぱら猥談である。
テーマは、事後の余韻と後始末。
微に入り細を穿って体験談を披露し合う。
艶笑話も人間同様微醺を帯びるものなのか。

2次会でも話頭は転じられず、閨房について、ひたすら薀蓄を傾ける。

嗚呼、滑稽かな観念の秘事。
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夢の城

2006-03-07 01:15:00 | 日記
3/6(月)
待ちに待った春一番。
当然外出にはコート不要。

今年度の岸田戯曲賞をとった気鋭の劇作家・三浦大輔率いる劇団【ポツドール】の第14回公演「夢の城」を新宿THEATER/TOPSでソワレ観劇。

ネット上ではコテンパンに酷評されおり、酷い物見たさの好奇心で当日券で入場。

作者得意とするドキュメンタリー・タッチの無言劇。
無軌道な若者(男女8名)のワンルームでの日常生活が描かれる。
それは単に怠惰で破廉恥で不潔で不精にしか映らない。

前々作【激情】は面白かったのだが、今回はやりすぎだなぁ。
露出(悪)趣味につきあわされるのも楽じゃない。
評価する気はサラサラないが、かといって退屈もしなかった。

結構細かい計算や演出はしてましたな。
今風のオタクやフリーターを凝縮しサンプリングしたような感しで、これを見た若年層が不快に思うなら日本も少しは望みあるのかも。

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三月遅れの新年会

2006-03-06 01:22:00 | 日記
3/5(日)
快晴、暖かき。
実父を見舞う。大きな変化なし。
呼びかけても微動だにせず。
小一時間手足をさする。

午後、友人宅で宴会。
毎年新春4日に行う新年会が、友人(実はわが大恩人でもある)の都合で順延となったもの。

10人弱の常連メンバーは、年齢、職業、バラバラで年に一度、その場でしか会わないが、この会合は四半世紀続いている。
毎年各々ひとつずつ歳をとる。
趣味、芝居、映画、政治、風俗、身辺、共通知人の消息、等々を10時間近くダラダラとお喋りする。
傍で見れば相当奇妙な宴席に映るだろう。

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力道山

2006-03-05 05:23:00 | 日記
3/4(土)
晴天、暖かきかな。
居間でうたた寝をしているうちに夜があけた。ショック。
朝風呂に入る。ぬるめの湯に浸り瞑目する。
朝食にローストチキン・ベーコンエッグのスペシャルサンドを作る。
我ながらマメなり。
美味い。
自分で作ってこれだけ美味いのだから、誰かに作ってもらえばもっとおいしかろう。

散歩に出る。
川沿いの小路を散策すると、初春の柔らかい香りがする。

【力道山】を鑑賞。
ワーナーマイカルシネマズ板橋。
公開初日の初回 9:20~
劇場ロビーは【ナルニア国物語】と【ドラえもん】目当ての家族連れや弱年グループで結構な混雑。

わが演目は、観客たった5名で上映開始。

傑作【ペパーミント・キャンディ】や【オアシス】の名優、ソン・ギョングが稀代のヒーローを、【疾走】の情婦役に感心した中谷美紀が糟糠の妻を演じる。
これは相当なキラーキャストだと思う。

吹き替えなしでのリング上の実戦シーンは迫力あり。
当時を再現した美術にも感心。
タニマチと腹心で藤竜也・萩原聖人が好演。
日韓合同の力作であります。
残念ながら力作が必ずしも傑作になるとは限らないが・・・。

やはり実在した巨星を描くのは難しかろう。
観る者おのおのが、時間に醸成され思い出に修飾された鮮烈なイメージを持っている。
リアルタイムで本人を知らない世代であっても、周囲が伝説として熱く語れば人物像は固まる。
その一例に、本作も主人公が角界を去ったのは、民族的な出自によるもの、という最も世俗に通じた説を採っている。

実生活では愛人に生ませた子供がいたり、関脇時代は当人も格下の弟子をイビったという証言もあり、映画ほど純情でヒロイックなものではなかったのかもしれない。

昔は大手一般新聞のスポーツ欄にプロレスの記事が載っていた。
あれは何時頃からなくなっちゃったんだろう?と、不思議に思っていたが、狂騒とも言うべきブームが、東京オリンピック前にやや衰退してゆくのを示唆するシーンあり、得心した。

興行師と事業家としての側面も重要でありましょう。
近所に全盛時の力道山から1万円のチップを貰ったことを自慢する古老がいる。(赤坂のクラブでボーイをしていたそうな)
公務員の初任給が1万円前後だった時代でありますから、その成金趣味の程が知れる。
その人物評・・・『スケベで猜疑心の強いただの酒乱』。

大人物ほど、その虚実の陰翳は濃く、その孤独は底なしに深い。
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ウォーク・ザ・ライン/君につづく道

2006-03-04 06:57:00 | 日記
3/3(金)一時
終日つまらぬ業務。
ひなまつり。テーブルに桜餅。春の味。

銀座テアトルで【ウォーク・ザ・ライン】鑑賞。最終回、上品な勤め人で8割の入り。
黒い衣装を身にまとい“Man in Black”の愛称で親しまれたミュージシャン、ジョニー・キャッシュの生涯を、その自伝をもとに映画化。
メイン・ストーリーは副題の通り、恋愛を軸にしているが、'50~'60年代を代表するカントリー、ロカビリー、ロックのヒット曲が満載され、同時代(プレスリーやディラン)のアーティストの楽曲も堪能できる。
当時を再現した美術・衣装、プロダクションデザインが素晴らしい。
亡き兄への敬慕、父との確執、ドラッグ中毒からの生還などなど、ビッグ・スターの栄枯盛衰はドラマとしての彫りが深い。
白眉はなんといってもホアキン・フェニックスとリーズ・ウィザースプーンの吹替えなしの歌声でありましょう。
アカデミー5部門にノミネートだそうで、前哨戦のゴールデングローブ賞で作品、主演男優、女優の三冠を獲得している。
いやはや良かった、泣けた。
ラスト近くの監獄でのライブには体が震えました。
これはミュージカル部門のわが年度ベスト!
幸せな気分で、濡れた舗道にネオンが反射して瞬く、夜の銀座をハミングしながら帰路に就く。
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ダイヤモンド・イン・パラダイス

2006-03-03 01:13:00 | 日記
3/2(木)
山形県を訪れる。
市内及び長井へ足を伸ばす。
上空晴朗なれど時折雪もちらつくおかしな天候。流石に寒し。
車中窓外から臨む遠き稜線は、雪に覆われ、山脈の雄大なること、暫しその景観に絶句する。
昼食に蕎麦を頂く。コシあり、香り立ち、のどごし良く、大変な美味なり。
仙台経由で帰路に就くが、大宮で途中下車し、新都心のシネコン、MOVIXで【ダイヤモンド・イン・パラダイス】を鑑賞。
アベックが何組かで観客10数名。

東北の冷気から一転、映画は青い空、紺碧の海、白い砂浜で舞台はバハマ。
元007のピアース・ブロスナン演じる大泥棒とウディ・ハレルソン演じるFBI捜査官が追いつ追われつ捕り物を展開する、これはもうルパン三世の世界でありました。

殿方の見所は、サルマ・ハエックでありましょう。
四十路に王手の年齢であるにもかかわらず、ラテン系の褐色の肌を惜しげもなくさらし、グラビアアイドル顔負けの胸の谷間は、前列で鑑賞していたおとっつぁんの生唾飲む音が聞こえたくらいですから凄い。(笑)
お話は新味なく、強盗ものとしても詰めが甘いですが、舞台設定が豪華で、2時間弱、浮世の些事を忘れられたので、これはこれで良しとしよう。


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アサルト13 要塞警察

2006-03-02 01:41:00 | 日記
3/1(水)
終日冷たき雨が降り続く。

近所のシネコンで【アサルト13要塞警察】を鑑賞。3割程度の入り。
平日最終回にしては混んでる?なと思いきや、映画サービスディだった。
シニア料金の当方には関係ない。

脱出劇のカルト的名作として知られる76年のジョン・カーペンターの『要塞警察』のリメイク。まぁそれもハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』からのイタダキなのですが・・・。
イーサン・ホークは『トレーニング デイ』以降、警官役が続いておりますな。
吹雪で閉ざされた警察署を舞台に、警官、犯罪者が入り乱れての一大銃撃戦。
明快な設定、予想を裏切る展開、個性的な俳優たちの息詰まる心理戦・・・と、サスペンス・アクションの好材料は揃っているはずなのにどうにも乗れなかった。
贔屓のローレンス・フィッシュバーンやガブリエル・バーンも悪くなかった。
なのに詰まらない、締りがないと感じたのは何故だろう?
アクション物とはいえ人物の掘下げ方は、もう少し丁寧に描かないといけない。
あとは重要キャストを簡単に殺してはいけない。

帰路の雨 一層冷たき 駄作かな
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