2/28(火)
曇天、肌寒きかな。
上野で【ゲルマニウムの夜】鑑賞。
小屋はこの映画の上映の為だけに建てられて『一角座』である。
昨年暮れ、映画の公開と同時にオープンし6ヶ月のロング・ランの予定。
公園改札口から、夕暮れの東京国立博物館正面を経由してひとけのない舗道を進むと、黒のロングダウンを身にまとった青年がポスターの盾看板を傍らに道案内をしていた。映画の支持者かボランティアか。
国際子供図書館前の西門から博物館敷地に入ると、右手に目指す『一角座』があった。
マンションのモデルハウスを思わせる劇場に入り、博物館常設展入場券付の映画鑑賞券を購入。2千円也。(常設展入場券は来年の1月までは有効だそうな。)
ロビーはなく、トイレも建物横に簡易式の物が建っている。
受付でパンフレットを眺めていると、妙齢の女性からエスプレッソ・コーヒーとチョコレートのサービスを受ける。
会場は、剥き出しの鉄骨に天井高くガランとした空間に、14X6で84の座席が階段状に並ぶ。
椅子はやや小ぶりではあるがその間隔は広く余裕あり。
中央真正面に着席。
スクリーン横に据え置き型のエアコンあり、暖房はしっかり効いており、音響も良し。
後方壁面には、映画のシーンを大きくパネルにしたものが4枚飾ってある。
19:00の最終回、観客はわたくしを含め5名である。
予告編もなく本編上映開始・・・・。
原作は花村萬月の芥川賞受賞のジュンブンガク作品。
これは雑誌掲載時に読了。
饒舌な告白録を思わせるその内容は、特異な生い立ちと環境のなかで冷徹に自己を見つめていた。
萬月は小説のテーマとして常に『神(宗教)、暴力、愛(セックス)』を扱う。
『笑う山崎』でファンになり『二進法の犬』でノックダウン『皆月』なんぞいいですねぇ。
と、まぁ新刊が出れば読む、つまり贔屓なのであります。
さて本作。
原作の忠実な映像化であったが、これは小説未読の観客には辛かろう。
手淫・交合・糞尿・殴打・・・。
始まって20分で若い女性が席を蹴って退場。
お気持ちお察し致します、お嬢様。
監督は怪優・麿赤児の子息で性格俳優・大森南朋の兄でもある大森立嗣。
父も兄も役者で出演。
舞台は岩手の山間部。
舞う雪は神々しく、一見茫洋たる佇まいの主人公はイエスの暗喩か。
冒涜を描いても猥雑でなく、暴力を描いても痛痒は感じない。
人間も禽獣も貴賎なく、生きる為の営みには、ある種の滑稽を帯びる。
不思議な映画でありました。
曇天、肌寒きかな。
上野で【ゲルマニウムの夜】鑑賞。
小屋はこの映画の上映の為だけに建てられて『一角座』である。
昨年暮れ、映画の公開と同時にオープンし6ヶ月のロング・ランの予定。
公園改札口から、夕暮れの東京国立博物館正面を経由してひとけのない舗道を進むと、黒のロングダウンを身にまとった青年がポスターの盾看板を傍らに道案内をしていた。映画の支持者かボランティアか。
国際子供図書館前の西門から博物館敷地に入ると、右手に目指す『一角座』があった。
マンションのモデルハウスを思わせる劇場に入り、博物館常設展入場券付の映画鑑賞券を購入。2千円也。(常設展入場券は来年の1月までは有効だそうな。)
ロビーはなく、トイレも建物横に簡易式の物が建っている。
受付でパンフレットを眺めていると、妙齢の女性からエスプレッソ・コーヒーとチョコレートのサービスを受ける。
会場は、剥き出しの鉄骨に天井高くガランとした空間に、14X6で84の座席が階段状に並ぶ。
椅子はやや小ぶりではあるがその間隔は広く余裕あり。
中央真正面に着席。
スクリーン横に据え置き型のエアコンあり、暖房はしっかり効いており、音響も良し。
後方壁面には、映画のシーンを大きくパネルにしたものが4枚飾ってある。
19:00の最終回、観客はわたくしを含め5名である。
予告編もなく本編上映開始・・・・。
原作は花村萬月の芥川賞受賞のジュンブンガク作品。
これは雑誌掲載時に読了。
饒舌な告白録を思わせるその内容は、特異な生い立ちと環境のなかで冷徹に自己を見つめていた。
萬月は小説のテーマとして常に『神(宗教)、暴力、愛(セックス)』を扱う。
『笑う山崎』でファンになり『二進法の犬』でノックダウン『皆月』なんぞいいですねぇ。
と、まぁ新刊が出れば読む、つまり贔屓なのであります。
さて本作。
原作の忠実な映像化であったが、これは小説未読の観客には辛かろう。
手淫・交合・糞尿・殴打・・・。
始まって20分で若い女性が席を蹴って退場。
お気持ちお察し致します、お嬢様。
監督は怪優・麿赤児の子息で性格俳優・大森南朋の兄でもある大森立嗣。
父も兄も役者で出演。
舞台は岩手の山間部。
舞う雪は神々しく、一見茫洋たる佇まいの主人公はイエスの暗喩か。
冒涜を描いても猥雑でなく、暴力を描いても痛痒は感じない。
人間も禽獣も貴賎なく、生きる為の営みには、ある種の滑稽を帯びる。
不思議な映画でありました。